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コロナウイルスによる航空業界への影響は? 減便・運休で航空各社大減収 1年続くと2兆円の可能性

2020.04.21

刈部 けい子

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新型コロナウイルス感染症の拡大で、日本への入国制限が厳しくなるに連れ、国際線の減便・運休が続いている。国内の航空会社19社が加盟する定期航空協会が4月上旬に発表した数字によると、2月~5月の各社の旅客収入は5000億円押し下げられるとの見通しだ。3月23日の時点では4000億円以上の減少見込みとしていたのが、従来の見通しを1000億円拡大したことになる。また、当初1兆円規模としていた年間の減収見込み額だが、現在の状況が1年続いた場合、2兆円の減収となる可能性がある。

インバウンド、アウトバウンド双方で減少

現時点で日本が入国拒否をしているのは(出入国管理及び難民認定法に基づき上陸拒否を行う対象地域)、73カ国・地域となっている。これにはJNTOの重点20市場(=訪日客数上位国)に加え、EUに加盟していない欧州16カ国や中東5カ国、中南米6カ国、アフリカ4カ国なども含まれている。

逆に日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置をとっている国・地域はさらに多く、182カ国・地域ある。

このように、インバウンド、アウトバウンド共に入国制限がかかっている影響で、航空便の利用者は大幅に減少した。全日空や日本航空は4月の国際線については当初の運行計画と比べて9割を超える減便をしていたが、5月も同様の減便となるとの発表があった。本来ならばゴールデンウィークを含む時期であり、大きな痛手と言えるだろう。

では、実際どのような減便になっているのだろうか。4月15日の成田国際空港と羽田国際空港の出発便と到着便を調べてみた。

たとえば、羽田空港では出発全141便のうち12便は出発したものの、129便が欠航していた。運行した便でも旅客数が一桁台の便もあるという。

▲やまとごころ編集部調べ

IATA(国際航空運送協会)の発表でも、2020年第二四半期のスタートは世界で70%の減便、アジアで75%、欧州では90%の減便を予想。今年1年間の旅客数は前年比で48%減少する見込み、航空会社の旅客収入は前年比55%減となる3140億ドル(約33兆6700億円)の減収となる見込みとしている。

訪日客数、3月は前年同月のわずか7%

16日に発表された3月の訪日客数は、前年同月比9割減の19万4000人だった。グラフを見てもお分かりのように、2019年3月の訪日客数は276万人だったので、2020年3月は、わずか7%しか訪日していないことになる。減便・運休に拍車のかかった4月にはこの数字は限りなくゼロに近くなることも予想される。

2019年の訪日客数の伸び率は前年比2.2%で、東日本大震災の影響で伸び率がマイナスに転じた2011年以来の低い伸びだった。外国人旅行消費額総額でも前年比6.5%増と伸び率は低迷。そこへ来ての今回の新型コロナウイルス感染症の拡大による世界の旅行需要の冷え込みで、今年の数字は非常に厳しいものと言わざるをえない。

UNWTOが3月26日に発表した予測では、2020年の世界の旅行者数は20%から30%減少するとしている。一方、公益社団法人日本経済研究センターは4月9日、新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年度の訪日外国人旅行者数は前年比で約9割減少し、訪日インバウンド需要創出額は3.6兆円のマイナス、GDP0.7%押し下げられるとの予測を示した。

 

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