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2021年8月世界の航空需要 国際線は改善も国内線デルタ株の影響で悪化、9月以降は回復と予測

2021.10.15

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IATA(国際航空運送協会)によると2021年8月の世界の航空需要は、国内線で7月よりわずかだが減少したことがわかった。業界全体のRPKについては2019年8月と比べて56%減だった。先月が53%減だったため、3ポイント悪くなっている。これはデルタ株による国内線の成績悪化が反映されており、特に中国の国内線の影響が大きい。
(なお、2020年はパンデミックの影響で世界の航空利用客は激減したため、記事中の伸び率比較は特記がない限り、すべて2019年同月比であることに留意されたい)

 

入国規制緩和措置で改善する国際線

国際線に関しては変異株の影響はそれほど感じられなかった。2021年8月の国際線のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は2019年8月と比べて68.8%減で、7月と比べると4.5ポイント減少率が小さい。6カ月連続の改善で、すべての地域でRPKが上向いている。

最も成績がよかったのは欧州線で、減少率55.9%とマイナスが最も少ない。ワクチン接種が進み、夏休みにかけて入国規制を緩和する国が多かったためだ。欧州以外の地域でも7月よりは改善しているが、アフリカはワクチン接種率5%未満ということで、往来の活発化が危険を伴うことはいうまでもないだろう。アジア太平洋も7月と比べるとわずかに改善しているものの、厳格な入国規制により引き続き厳しい数字であるのに変わりはない。

 

国内線、中国で激減

国内線のRPKの世界平均は、パンデミック前と比較すると32.2%減、回復傾向を示した7月の16.1%減より減少幅が拡大した。これは前述したように中国の国内線の落ち込みが大きかったためで、2019年同月比57.0%減となった。7月が2.5%減だっただけに、眼を見張るような悪化ぶりで、この一年で最も悪い数字となった。これを見ても、航空便がいかにパンデミック、特に変異株による新規感染拡大に脆弱であることがわかる。また、アメリカ、日本、オーストラリアでも7月より減少している。

もっともデルタ株による新規感染の拡大は8月末までには下火になっており、9月の実績は上向きになると予測できる。なお、ロシアの国内線は引き続き好調で、これで8カ月連続でパンデミックの水準を超えたことになる。

なお、10月初旬に行われたIATAの総会で、ウィリー・ウォルシュ事務局長は、「2020年の航空業界の損失は1377億ドルだったが、今年は520億ドルに、2022年には120億ドルに減少すると予想される。いまだ深刻な問題は残っているが、回復への道筋は見えはじめた」とし、国際線の回復のために「我々はワクチン接種を受けた人が移動の自由を制限されるべきではないと考えている」と改めて強調した。

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