データインバウンド
サステナブル旅行を重視する意識、日本は世界より15ポイント低く ーブッキングドットコム
2025.05.26
やまとごころ編集部サステナブルな旅行への関心は世界的に高まりを見せる中、日本の旅行者においてもその意識は着実に上昇している。一方で、旅行先の地域社会に対する貢献意識や、観光客に対する地元住民の評価については、世界平均に比べて日本は依然として低水準にとどまっていることが、ブッキングドットコムのサステナブルな旅行に関する調査からわかった。
本調査は、旅行予約サイトのブッキング・ドットコムが2025年1月に実施したもので、世界34カ国・地域の旅行者3万2,000名を対象にオンラインで行われた。
今回は、日本の旅行者と海外の旅行者の回答結果を比較しながら、傾向を読み解いていく。
サステナブルな旅行への意識、日本は世界平均を下回る
「旅行に関してよりサステナブルな選択をしたい」と回答した旅行者は、世界全体で93%に達した。

日本の旅行者でも85%が同様の意向を示しているが、サステナブルな旅行を「重要」と考える割合は世界の84%に対し、日本では69%と15ポイントの差があった。

2016年時点でサステナブルな旅行は「重要」と答えた割合は世界で42%、日本では25%にとどまっていたことを踏まえると世界で倍増、日本では3倍増近くまで大きく伸びた。しかし、依然として日本の水準は世界平均を下回っている。
地域経済への還元意識、日本は世界より10ポイント低く
旅行中に「支出が地域コミュニティに還元されるようにしてほしい」と回答した割合は、世界で73%、日本で63%だった。

また、「観光地を訪れることで、来たときよりも良い状態にして帰りたい」と回答した人は、世界で69%、日本では59%と、いずれも過半数を占めており、訪問先にポジティブな影響を与えたいという意識が高まっていることがわかる。
日本では観光客への評価が厳しめ、地域との距離感も
調査開始から10年目となる今回の調査では「コミュニティ」に焦点を当てており、旅行者自身の行動に加え、自分の居住地を訪れる観光客に対する意識も聞いている。
その中で、自分の住む地域を訪れる観光客に対し、好意的な感情を持つ旅行者の割合には世界と日本で大きな差があることがわかった。
「地元で目にする観光客はたいてい、または常に地元の慣習や伝統を尊重している」と回答した人は、世界では53%に達した一方、日本では26%にとどまった。
また、「観光客が地元のビジネスの支えになっている」と感じている人の割合は、世界平均の54%に対し、日本では18%と大きな差が見られた。観光客の行動に対する受け止め方には、地域社会との関係性や価値観の違いが反映されていると考えられる。

観光によるマイナスの影響、世界も日本も共通の懸念
観光客の増加に伴い、地域社会では交通渋滞(世界・日本ともに38%)、ゴミ問題(世界35%、日本37%)、観光地の混雑(世界30%、日本36%)、生活費の高騰(世界29%、日本17%)といった課題が挙げられている。旅行者の多くは訪問地にポジティブな影響を与えたいと考えているが、受け入れ側の住民には依然としてこうした懸念が根強い。
そうした中、地域に「十分な環境資源がある」と感じている割合は、世界で48%に対し、日本では40%となっており、世界平均に対してわずかであるが下回っている。

こうした地域社会の負担や不安に対して、観光客数の制限を支持する声は比較的少なく、世界で16%、日本で15%にとどまった。一方で、持続可能な解決策として「地域への投資」を求める傾向が強まっており、旅行者が期待する支援としては、公共交通機関の改善(世界38%、日本35%)、廃棄物管理体制の整備(世界37%、日本19%)、環境保全の取り組み(世界32%、日本21%)が上位に挙がっている。
地域と旅行者の接点づくりがカギに
調査結果から、日本の旅行者はサステナブルな旅行への関心は高まっているものの、地域コミュニティへの貢献意識や観光客への好意的な感情は世界平均を下回っていることが明らかとなった。
旅行業界としては、地域との連携を強化し、観光が地域経済や暮らしにもたらす良い効果を具体的に示す取り組みが求められる。また、旅行者に対しては、サステナブルな選択が地域社会にどのように貢献するかを伝える情報提供が重要となる。
出典:ブッキング・ドットコム 2025年版「サステナブル&トラベル」調査
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