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2021年9月世界の航空需要、国際線は低調。国内線は中国の復調でわずかに回復

2021.11.11

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IATA(国際航空運送協会)によると2021年9月の世界の航空需要は、国内線で8月よりわずかだが回復したことがわかった。業界全体のRPKについては2019年9月と比べて53%減だった。先月が56%減だったため、3ポイント改善されている。これはデルタ株による感染再拡大で8月の国内線の成績が悪化した中国で、9月に入り移動制限が緩和されたことによるところが大きい。
(なお、2020年はパンデミックの影響で世界の航空利用客は激減したため、記事中の伸び率比較は特記がない限り、すべて2019年同月比であることに留意されたい)

 

国際線は低いレベルで足踏み状態

国際線に関してはほとんど変化がなかった。2021年9月の国際線のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は2019年9月と比べて69.2%減で、8月までは6カ月連続で改善されていたが、ここに来て足踏み状態といえる。

最も成績がいいのは欧州線で、8月より数字は悪いが欧州圏内の旅行需要の改善でパンデミック前の43%まで戻っている。ついで北米でこちらはパンデミック前の39%になっている。グラフにはないが、北米と中米を結ぶ短距離路線がパンデミック前の92%まで復活しているのは特筆すべきことだろう。

アジア太平洋は8月と比べるとわずかに改善しているものの、厳格な入国規制により引き続き厳しい数字であるのに変わりはない。

アフリカ、中東、南米では規制緩和が進み、とくにエジプトとチリは入国制限が解除されている。やまとごころ.jpで毎月掲載している世界一安全な国ランキング10月版でもワクチン接種率92%のチリが23ランク上げて8位に浮上したニュースを伝えている。

アメリカでは11月8日からすべてのワクチン接種者の入国を認める措置に移行したが、10月15日にそれが発表されるとアメリカと欧州を結ぶ北大西洋路線の予約が一気に増加したのことで、11月以降の伸びに期待したいところだ。

 

国内線は全般に復調傾向

国内線のRPKの世界平均は、パンデミック前と比較すると24.3%減で、8月の32.6%減より8.3ポイント改善した。これは前述したように中国の国内線の回復があったためだ。ただし、パンデミック以降最も成績のよかった今年4月の数字にははるかに及ばない。また10月以降も感染再拡大で需要の復活に影が差しそうだ。

一方、ロシアは9カ月連続でここにリストアップした国のなかでは唯一パンデミック前を上回る数字を記録している。国内の移動規制が比較的緩いため、国内旅行ブームが起きているためだ。10月後半に新型コロナウイルスの感染拡大で、9日間休業の大統領令が出されると、航空券の予約サイトの検索件数が一気に増えたという。

このなかで日本は8月と比べて唯一減少幅が広がったが、人流の多かった五輪や夏休みが終わり、緊急事態宣言も継続されていたからと思われる。

 

なお、11月3日に行われた記者会見でIATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、「アメリカの国境がヨーロッパの旅行者に開放されることが発表された後、予約が大幅に回復した。欧米双方からの旅行需要は好調で、非常に前向きな展開だ。今年序盤に、第3四半期の初め頃にはこうした事態が起きると予測していたので、それよりも少し遅れてはいるが、好ましい兆候である。国境を閉鎖している他の国々に対し、今こそ規制撤廃と国境の再開を始める時が来たというメッセージとなるだろう」と話した。

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