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旅行業界のアカデミー賞「ワールド・トラベル・アワーズ2021」から見る、グローバル視点で日本の何が評価されたのか?

2021.11.24

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「旅行業界のアカデミー賞」として知られるワールド・トラベル・アワーズ(WTA)2021年版のアジア部門が10月下旬に発表された。28カ国を対象に131のカテゴリーにおいて投票が行われた中で、日本は5年ぶりにアドベンチャーツーリズムのデスティネーションに選ばれたほか、昨年の4部門受賞から1部門増やした5部門を受賞するなどの嬉しい結果となった。今回は、同アワーズのアジア部門の結果をもとに、グローバルな目線で、日本のどのような点が評価されたのか、またアジア地域でどのような場所が選ばれたのか、見ていく。

 

旅行業界の世界最高峰、ワールド・トラベル・アワーズとは?

ワールド・トラベル・アワーズの設立は1993年。世界中の旅行・観光・ホスピタリティ業界を対象とし、優秀な観光地や企業・団体を表彰することで、世界の観光関連産業のサービス水準と業績を押し上げることを目的としている。投票は世界200カ国以上の業界専門家と消費者によるもので、数あるトラベル系の賞の中で最も格式高く、名誉ある賞となっている。今回の投票期間は2021年3月30日~9月1日までの約5カ月、オンラインで行われた。

賞は国別、地域別、世界の3つに分かれていて、アジア、アフリカ、カリブ、中央アメリカ、ヨーロッパ、インド洋、中東、北米、オセアニア、南米の全10の地域別部門での各カテゴリー優勝者と準優勝者が、世界レベルの審査にノミネートされる。2020年の世界部門では、日本からはリゾート建築デザイン賞をANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパが受賞した。

 

日本はアジア部門で5部門受賞

アジア部門は全28カ国を対象に、131カテゴリーにおいて投票が行われた。日本が「アドベンチャーツーリズム・デスティネーション」で受賞するのは、2016年以来実に5年ぶり。2017年~2020年の4年間の受賞者はスリランカだった。また、昨年はベトナムが受賞した「ヘリテージ・デスティネーション」にも日本が選ばれた。

日本では今年、北海道でアジア初のアドベンチャートラベル・ワールドサミットがオンラインで開催された。招致までの道のりはこちらの記事に詳しいが、2023年のリアル開催も決まるなど、アドベンチャートラベルのデスティネーションとして日本の認知度がますます高まっているといえよう。WTAは受賞発表の記事で、「年間を通じてアドレナリンが出るようなアドベンチャーを楽しめる場所が豊富にあることが受賞に寄与した」とした。世界部門でのライバルは、オーストラリア、アゾレス諸島、カナダ、チリ、エクアドル、ジャマイカ、モーリシャス、ニュージーランド、ラアス・アル=ハイマ、スリランカ、米国となっている。

またヘリテージ・デスティネーションに関しては、「ヘリテージ=遺産」が示すとおり、世界遺産など後世に引き継ぐ魅力を備えた旅行先として選ばれたと考えられる。日本の世界遺産は現時点で25件、2021年も7月に奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島と、北海道・北東北の縄文遺跡群の2件が追加されたばかりだ。世界部門でのライバルは、アルメニア、ブラジル、エジプト、ギリシャ、ロシアのサンクトペテルスブルク、サウジアラビア、ベトナムなどが挙げられる。

昨年「エアラインブランド」でアジア部門の初受賞を果たした全日空(ANA)は、同賞連続受賞とはならなかったが、過去3年連続受賞のベトナム航空を退けて、「エアライン・プレミアムエコノミークラス」に選ばれた。「スポーツ・ツーリズム・デスティネーション」には五輪開催地となった東京が2019年から3年連続で輝いた。シンガポールのリゾート・ワールド・セントーサが過去2年受賞した「テーマパーク・リゾート」は今回、東京ディズニーリゾートが受賞。2023年にはディズニーシーに新しいテーマポートがオープン予定で、さらに多くの観光客を引き寄せることになるだろう。

これとは別に、国別での投票結果も発表されており、日本国内では14カテゴリーにて優秀な企業やブランドが表彰された。

 

ベトナムがアジアのリーディング・デスティネーションに

アジア一のデスティネーションには、2年ぶりにベトナムが輝いた。同賞は2006年~2013年の8年間インドが連続受賞し、2018~2019年はベトナム、昨年は再びインドとなっていた。また、ベトナムは「グリーン・リゾート」にも4年連続選ばれていて、アジアの他の国々と比較して功績が目立つ。日本からの観光客も増えているベトナムは、外国人観光客数1800万人(2019年実績)。歴史的な風景、モダンな町並み、ビーチリゾート、東洋と西洋の文化が混在する独特の魅力があり世界中の旅行者を惹きつけるようだ。フィリピンは「ビーチ・デスティネーション」に2年連続、「ダイブ・デスティネーション」には3年連続選ばれ、競合しがちなタイを退けた。

「ニュー・ホテル」には日本から東京・京都・大阪・日光の6つのホテルがノミネートされるも、「The Hari Hong Kong」が、「ニュー・リゾート」には星野リゾートが手掛ける「星のや沖縄」「界・霧島」を含む日本の4施設がノミネートされるも、マレーシアの「One&Only Desaru Coast」が受賞となった。

 

来たる、世界決勝戦。オスカーは誰の手に?

世界の頂点を決めるグランドファイナルは、12月16日にロシアのモスクワで開催される。投票は今年9月27日~10月24日に行われ、既にクローズしている。各カテゴリーのノミネートはこちらを参照されたい。日本が、そして日本の企業やサービスが、世界を舞台にどう評価されるのか?ファイナルの結果が楽しみだ。

 

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