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航空会社ブランド価値ランキング、コロナ禍で意欲的な展開見せたデルタ航空 4年連続1位

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新型コロナウイルス感染症の急速な拡大を抑えるため各国政府が厳しい渡航制限を行ったことで、パンデミック下の航空業界の業績は大幅に悪化し、ブランド価値を大きく失った。渡航制限の緩和と人々の移動再開に伴い、多くの航空会社のブランドは再び成長しつつあるが、まだパンデミック前の価値には戻っていない。

そんななか、世界最大級の独立系ブランド価値評価機関であるブランド・ファイナンスが2011年から発表している航空会社と空港のブランド価値ランキングの2022年版が公開された。ここでは、そのランキングを各航空会社や空港の取り組みとともに見ていく。なお、ブランド価値とは特にブランドの評判に関連して得られる収益などの現在の価値を指す。

 

コロナ禍でもブランド確立に積極的なデルタ航空

航空会社ランキングの1位は、アメリカを代表する航空会社であるデルタ航空だった。4年連続1位となったデルタ航空は、前年比27%増加の73億米ドル(約9791億円)と評価され、競合他社を大きく引き離し、世界で最も価値のある航空会社としてトップの座を維持した。同航空は、需要の少ない時期にも既存のルートに加え、新たに大西洋横断の6路線を導入、さらにロンドン、パリ、アムステルダムなど、ヨーロッパ各地に新たな提携ハブを開設。また、アエロメヒコ航空(ブランド価値42%増の3億米ドル)、ヴァージン・アトランティック航空(ブランド価値37%増の4億米ドル)、大韓航空(ブランド価値15%増の13億米ドル)、中国東方航空(ブランド価値4%増の23億米ドル)など、世界中の航空会社に投資し、より充実した乗り継ぎ便を提供することで、デルタ航空のブランドを確立している。

 

全日空がトップ10に浮上

デルタを始めトップ5のうち4社までをアメリカの航空会社が占めたが、トップ5の顔ぶれは2021年のランキングと変わらなかった。しかし、6位以下は変動があり、エアカナダとルフトハンザがそれぞれ3ランクアップの6、7位。逆に中国国際航空と中国南方航空はそれぞれ2ランクダウンの8、9位。そして10位には、昨年の12位から浮上した全日空(26.7%増の23億米ドル[約3085億円])が入った。日本航空は、イベリア航空(31位)、シンガポール航空(15位)、ジェットツー・コム(32%増、36位)に次いで、4番目に大きく伸びた31%増で、15位から13位にランクアップしている。

 

次に航空会社のブランド力を見てみよう。ブランド・ファイナンスは、ブランド価値の算出に加え、マーケティング投資、株主資本、経営成績の評価指標からなるバランス・スコアカードを通じて、ブランドの相対的な強さをランキングにしている。それによると、世界最強の航空会社ブランドには、カナダ第2位の大手航空会社であるウエストジェット航空が選ばれた。ブランド力指標(BSI=Brand Strength Index)で100点満点中の84.0点を獲得したのだ。カナダ全土で24路線を新たに開設し、カナダの顧客にブランドへの親近感を持ってもらうことで、ブランド・アイデンティティを強化した。パンデミックの影響から着実に回復しており、現在では1日500便以上の運航を実現している。また、日系の2社もランクイン、全日空は83.7点で2位、日本航空が80.3点で7位、ともにAAA-の格付けとなった。

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*上記の表は2022年1月1日時点の評価であり、その後に発生したロシアのウクライナ侵攻による影響は含まれない

 

世界一ブランド価値のある空港はパリ・シャルルドゴール

世界で最も価値がある空港には、パリ・シャルルドゴール空港が28%増の7億6300万米ドル(約1020億円)で2021年に続き1位を堅持。英国ヒースロー空港がシンガポールチャンギ空港と入れ替わって2位に浮上し、日本からは6、7位に羽田(20%増の3億7900万米ドル[約507億円])と成田(43%増の3億2000万米ドル[約428億円])がぞれぞれ入った。

(図出典:Brand Finance Airlines 50 2022)
*記事中のドル円換算は1ドル134円で算出

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