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2022年5月世界の航空需要、インフレ 燃料高騰でも旅行需要旺盛。国際線アジア太平洋で大幅回復

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IATA(国際航空運送協会)によると、2022年5月の世界の航空需要は国際線の伸びが引き続き世界の回復を牽引する一方で、国内線に関しては横ばいだった。

5月の国際線・国内線を合算した総RPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は前年同月比83.1%増だった。2019年5月比では31.3%減となり、パンデミック前の水準の7割近くまで回復してきている。

世界的なインフレ、ジェット燃料価格の高騰、消費者マインドの低下にもかかわらず、旅行需要は回復が続いており、国際線予約は、5月に一時的に国内予約を上回り、海外旅行への高い意欲が持続していることが確認された。その一方で、急速な需要回復は航空会社や空港の職員不足を直撃し、フライトの欠航や遅延、長時間かかる搭乗手続きや、到着便では荷物をすぐにピックアップできないなどの混乱が起きている。

 

国際線は渡航規制緩和のアジア太平洋で回復が加速

国際線RPKは、世界平均で前年同月比325.8%増となり、2019年同月比では35.9%減だった。上のグラフをご覧いただくとわかるが、今年に入って回復が目覚ましい。

特に、アジア太平洋地域の多くので渡航規制が大幅に緩和されたことで、国際線の回復が加速した。この地域の国際線RPKは前年同期比453.3%増となり、2022年1月の103.5%増から大きく上昇。パンデミック前の水準ではまだ3割弱であるが、このポジティブなトレンドは今後も続くと予想される。

次に伸び率が大きかった欧州では前年同月比412.3%増(2019年同月比20.9%減)だった。ロシアのウクライナ侵攻が続いているなかで、欧州を拠点とする航空会社には侵攻当初同様、大きな影響は見られないようだ。

中南米と北米では4月の伸びよりも縮まったものの、それぞれ前年同月比203.4%増と180.5%増で、2019年の水準に向け順調に回復している。4月同様、欧州-中米(2019年同月比8.6%増)、中東-北米(同31.8%増)、北米-中米(同10.8%増)の各路線はパンデミック前のレベルを超えている。

中東も引き続き力強い回復を見せ、前年同月比317.2%増(2019年同月比10.0%減)だった。一方、アフリカに関してはワクチン摂取率の低さが響き、他の地域よりも伸びが鈍い。
 

日本とインドの国内線が大きく伸びる

5月の国内線RPKの世界平均は、前年同月比0.2%増となり、2019年同月比23.3%減だった。多くの国内市場では顕著な改善が見られるものの、中国の国内RPKは、新型コロナウイルス感染再拡大による旅行規制のため、前年同月比73.2%減と、3カ月連続で大幅に減少した。

先月を上回る伸びを示したのは、インドと日本だ。インドは前年同月比405.7%増と驚異的に伸びたが、これは前年5月にデルタ株が猛威を振るって感染者が急増し、人流が途絶えたことからくる。日本の国内線RPKは規制緩和の影響で前年同月比132.7%増となり、2019年同月比も27.8%減まで縮小した。

アメリカの国内線はここ2カ月と同様、前年同月比26.1%増の弱い伸びにとどまっている。燃料価格の高騰に加え、需要急増による労働力不足が続いており、せっかくの旅行意欲に水を差している状況にある。とはいえ、2019年同月比では4.7%減と、ほぼパンデミック前の水準には戻っている。2019年同月比で言えばほかにも、ブラジル2.0%減、オーストラリア5.9%減まで回復している。

 

IATA事務局長、旅行回復を楽観視するも

IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、5月の結果を受けて、次のように話した。
「旅行需要の回復が続いている。欧州内や中東ー北米ルートを含む多くの主要な国際線ルートは、すでにパンデミック前のレベルを超えた。COVID-19の規制を完全に撤廃することが今後の課題であり、オーストラリアは7月初めに、最も新しい規制撤廃国となった。このように旅行回復に関しては楽観的に見ることができるが、そのなかで例外は中国で、国内旅行が前年同月比73.2%減という劇的な落ち込みを見せた。ゼロコロナ政策を続ける中国は、世界の他の国々と歩調を合わせておらず、それは中国の旅行回復の遅れが如実に示している」

 

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