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世界で最も住みやすい都市ランキング2022、ウィーン首位 パンデミック前の上位国が返り咲き

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英国の政治経済誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が2022年の「最も住みやすい都市」ランキングを発表した。この調査は、世界172の都市を対象に、安定性、医療、教育、文化・環境、インフラの5項目を数値化することで、住みやすさを評価するもので、2020年をのぞき、毎年ランキング形式で公表されている。

2022年の調査は2月14日〜3月13日に実施された。新型コロナウイルス感染症による様々な規制が緩和されたことを背景に、文化・環境、医療、教育の評価スコアは向上したものの、インフラはほぼ横ばい、安定性は悪化した。評価スコアの世界平均は、1年前の69.1から73.6(100点満点)に上昇したが、 パンデミック前の平均値である75.9を下回る水準にとどまっている。

 

ウィーンが昨年12位からトップに再浮上

そんななかで、トップに立ったのは、2018年、2019年と1位だったオーストリアのウィーンだ。ウィーンは2021年の調査では、美術館やレストランが閉鎖されるなどの影響もあり、12位までランクダウンしていた。ウィーンの魅力は安定性と優れたインフラ、充実した医療、豊富な文化や娯楽の機会に支えられているという。なお、ウィーンの評価スコアの内訳をみると、安定性、医療、教育が100で、文化・環境のみ96.3だった。

2021年のトップ10は1位のオークランド(ニュージランド)を含めニュージランド2都市、オーストラリア4都市、日本2都市、スイス2都市という顔ぶれだったが、今年のランキングではトップ9までを西ヨーロッパとカナダの都市が占めた。いずれもワクチン接種率が高く、規制緩和によりパンデミック前の生活に戻っている都市だ。2019年5位で2021年は18位だったカナダのカルガリーが3位に浮上したように、パンデミック前にランキング上位にあった都市は、安定性、充実したインフラやサービス、豊富な娯楽を背景に順位が回復している。そして、10位を大阪とメルボルンが分け合った。

大阪は昨年2位からのランクダウンだったが、評価の総合スコアは昨年の94.2から0.9ポイント上がっており、安定性、医療、教育が100で、文化・環境が83.1、インフラが96.4だった。一方、昨年4位の東京は、トップ10圏外に後退した。

また、2月14日のロシアによるウクライナ侵攻により、キーウ(ウクライナ)は調査対象から外れ、ロシアのモスクワ(15位)とサンクトペテルブルク(13位)両都市は、治安の悪化、検閲、欧米による制裁措置の強化などにより、スコアが低下した。さらに、ワルシャワ(ポーランド)やブダペスト(ハンガリー)などの周辺国もリスクの高まりで順位を落としている。

なお、昨年までは140都市を対象にしたランキングだったが、今回新たに33都市が加わり、その3分の1は重慶をはじめとする中国の都市だった。また、前述の通りキーウが外れたため、総数は172都市となっている。

 

住みにくい都市はシリアのダマスカス

ランキング下位の10都市はほぼ順位が変わらなかった。そのうち7都市が中東・アフリカ地域にあり、2021年の調査と同様、シリアの首都ダマスカスが最下位になった。これらの都市はいずれも戦争、紛争、テロが要因となり、5つのカテゴリーすべてでスコアが低かった。

この1年で最も順位を上げたのは32ランクアップで7位に入ったフランクフルト、続いて同じくドイツのハンブルクとデュッセルドルフがそれぞれ31と28ランクアップし、16位と22位になった。逆に最も順位を下げたのは、ニュージーランドのウェリントンで46ランクダウンの50位。同じくニュージーランドのオークランドも首位から33ランクダウンの34位。オーストラリアのアデレードとパースはそれぞれ27と26ランクダウンの30位と32位となった。これを見ても分かる通り、昨年はパンデミック当初国境を閉鎖していたために感染者が少なく、住みやすさが保たれていた都市が上位に入ったが、今年はそれが逆に弱みになっていると言えそうだ。

 

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