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2022年夏の旅行需要とトレンド予想、海外旅行者はコロナ禍前65%まで回復へ 

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世界各地で入国規制撤廃の動きが活発化している。旅行市場の回復に期待が高まる中、スペインの旅行調査会社ForwardKeys(フォワードキーズ)が、今夏7~9月の観光動向調査を発表。それによると世界の旅行者数は、コロナ禍前の2019年同期と比較して、全体で65%まで回復する見込みであることがわかった。今年前半(1月〜6月)の数値が同46%だっただけに、回復が加速しているといえる。とはいえ、地域によってその回復には偏りがあるとのことだ。また、ホリデーシーズンだけに都市訪問や観光よりも、ビーチリゾートの人気が高いことも明らかになった。

 

アフリカ・中近東地域ではパンデミック前の8割強まで回復

下の図は2022年第3四半期(7~9月、6月8日時点)の世界の旅行者数(国際観光客到着数)を2019年同期と比較したものだ。アフリカ・中近東地域は、今年前半よりも20ポイントアップの同17%減と予想され、今夏、最も好調のようだ。

▶︎全世界の国際観光客到着数の累計(2022年1~6月)および夏季(7~9月)(対2019年比、6月8日時点)


▲左より、北中南米、欧州、アフリカ・中東、アジア太平洋

続いて、北中南米は同24%減の予想だが、回復を牽引しているのは中米・カリブ海地域で、早期の国境開放による恩恵を受けているとみられる。逆に、南米は規制緩和が遅れたため、回復のスピードも遅い。

また、欧州は今年前半よりも16ポイントアップの同29%減との予想が出ている。これらの地域では未だコロナ前の水準には満たないものの、旅行需要の回復が顕著だ。

一方、アジア太平洋地域(APAC)は、同65%減と予想され、ほかと比べて出遅れている。長期化した厳しい入国制限の影響が大きい。

 

アジア太平洋地域の早期需要回復の鍵は?

ここ数カ月間、アジア太平洋地域でも入国規制の緩和が進んだ。下のグラフは、1月1日〜6月12日に、長距離旅行の渡航先として検索されたAPAC地域の国別シェアを表したもの。同地域内で、最も人気なのがインド(22%)だ。同国は、3月下旬より海外渡航者の隔離規制の撤廃を実施し、需要の復活に弾みをつけている。その他、フィリピン(8%)、インドネシア(7%)、オーストラリア(7%)が上位に並ぶ。これらの国では、移住者による帰省目的の渡航が目立つ。これは、欧米諸国で緩和初期に見られたような、旅行の再開は帰省客からという点と合致している。一方で、2位のタイ(15%)では、外国人観光客の休暇先として検索されている。日本はスリランカ、中国とともに3%だった。

同レポートでは、APAC地域に対して、レジャー需要の復興は、他地域の事例を参考にすべきと述べている。具体的には、消費者の旅行意欲を再燃させること、航空路線の早期再開と十分な座席数の確保、そして急速に値上がりする航空券代を適切な水準まで戻すことなどが求められる。中国の入国規制緩和などの動向が未だ不透明なままで、中国人旅行客なしで三度目の夏を乗り越えなければならない。

▶︎アジア太平洋地域への長距離フライトの検索、検索者全体に占める割合(2022年1月1日〜6月12日)

 

今夏のトレンド 海外旅行に求めるビーチの「癒し」

世界的な旅行トレンドは、コロナ禍を経て変化している。ForwardKeysの最新の航空券発券状況を示すデータでは、欧州のビーチリゾート地で回復が著しい。昨今、旅行者は混雑する都会を回避する傾向にあるが、その理由について、ForwardKeysのバイスプレジデントである、オリバー・ポンティ氏は、「都会で体験できる文化的な観光よりも、旅行者にとっては、パンデミックの疲れをいち早くビーチで癒す方が先決」と語る。

下の左表のビーチリゾートのランキングでは、地中海に面したビーチを複数有するトルコのアンタルヤが1位で、2019年同期比81%増の人気を集めている。ほかに、ギリシャ(図上では“GR”と表記)は、6都市が高順位につけている。これは、ヨーロッパ諸国の中で早期に国境を解放すると同時に、旅行需要の回帰を狙った積極的な発信を続けてきた功績だという。

また、一方で、右表の都市部では、ナポリ(イタリア)やイスタンブール(トルコ)、アテネ(ギリシャ)、リスボン(ポルトガル)がパンデミック前とほぼ変わらない数字を示している。これらは、いずれも地元のビーチリゾートへのアクセスがよいところだ。

▶︎2022年第3四半期の欧州各都市の国際観光客到着数(対2019年比)

(図・表出典:FrowardKeys, The summer travel outlook 2022 report)

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