データインバウンド
1年以内の旅行意欲 若い世代ほど高い傾向、海外旅行1位はハワイ —JTB総研調査
2022.08.26
やまとごころ編集部3年ぶりの行動制限がない夏休み、人々はどのような意識を持って旅行に出かけているのだろうか。株式会社JTB総合研究所は、コロナ禍における日本人の旅行意識調査を定期的に実施してきたが、今回12回目となる「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化と旅行に関する意識調査(2022年8月)」の結果を発表した。調査は感染拡大の第7波が押し寄せた7月19日~24日に実施され、全国20歳以上の男女6561人を対象にインターネットによるアンケート形式で行われた。
(図・表出典:株式会社JTB総合研究所「コロナ禍におけるこれからの日本人の海外旅行意識調査」より)
国内・海外旅行ともに若い世代ほど積極的
アンケートの結果を見ると、今後1年間に国内旅行を予定している人は全体で41.1%と、前回3月の調査から1.9 ポイントの微増だった。世代・男女別では、最も意向が高いのは男女20代(51.1%、55.0%)で、前回調査からそれぞれ4.6ポイント、4.8ポイント高くなった。一方で、これまでの調査で男女20代に次いで旅行意欲が高かった60歳以上男性が38.7%に留まり、前回調査よりも5.7ポイントの落ち込みとなった。女性50代も32.7%、女性60歳以上も33.1%と低い結果だった。ワクチン接種が普及したとは言え、重症化リスクが高い高齢者においては旅行に慎重になっている傾向が読み取れる。
海外旅行に関しては、国内旅行よりも意向は低く、1年以内に予定している人は全体で11.2%に留まった。前回と比べても0.6ポイント増とほぼ横ばいだった。世代別にみると、男性20代が22.5%、女性20代で25.8%といるのに対し、女性50代と60代では4.7%と大きな差が出た。若い世代ほど海外旅行にも積極的である傾向が明らかとなった。
国内旅行の出発時期、年内が8割
1年以内に旅行意向のあると答えた人のうち1017人にさらに詳しい予定を聞いたところ、出発時期については、8~9月が52.7%、10~12月が32.9%と年内が8割以上を占めた。8~9月の割合が最も高かったのは男女とも40代で、子育て世代が夏休みや9月の連休を利用して旅行を計画しているものと考えられる。10~12月と回答した人は男性50代と女性60歳以上で43%もいるので、まだ秋の行楽シーズンや年末年始にも旅行需要がありそうだ。
年内の国内旅行、約半数が申し込み済み
国内旅行の申込み状況は、52.7%が「予約はまだしていない・計画している段階」と答えた。全体的には男性よりも女性のほうが予約済みである傾向が出ているが、男性20代では64.5%が予約済みと最も高い数値を示し、旅行意欲だけでなく、旅行実現のために具体的な行動も起こしていることがわかった。
第7波の影響で近場の国内旅行が主流
今後予定している国内旅行の行き先については、関東が26.0%、中部16.1%、関西が13.8%の順に多かった。東北、九州、沖縄では前回調査より居住地域内旅行が微減したが、他の地域では居住地域内旅行が増加した。特に中部では11.1ポイントと大きな伸びを示した。域内旅行が増えた背景には、一部の道府県で実施されている県民割やブロック割などの旅行需要喚起策の効果に加え、第7波の感染再拡大によって遠出を控えようという意識が働いているものと見られる。
検討中の海外旅行先1位ハワイ、愛着ある場所を好む傾向
今後、1年以内に国内旅行を予定している1017人のうち、さらに時期を問わず今後海外旅行も検討している372人に具体的な行先を聞いたところ、1位ハワイ、2位ヨーロッパ、3位台湾という結果が出た。その行先を選んだ理由トップ5では「その場所が好きだから」「日本人が訪問しやすい国・地域だから」を一番に挙げる人が多かった。ハワイを選んだ人の中には「定期的に行っている場所だから」と答えた人が25.7%、台湾を選んだ人の中には「今だったら混雑していなそうだから」と答えた人が19.0%いた。海外旅行に行けるようになったら、距離が近いかどうかよりも、自分にとって愛着のある国へ行きたいと考えている様子がうかがえる。
今回の調査では、3年ぶりの行動制限のない夏休みを迎え、旅行意欲の高まりが期待されたが、実際は前回調査より1.9ポイントの増加に留まり、予約行動もまだ半数が予約していない状況だった。ただ、世代別では20代男女の旅行に対する積極性が顕著に表れており、コロナ禍では重症化リスクの少ない若い世代が旅行需要回復の牽引役になりそうだ。
株式会社JTB総合研究所による「コロナ禍におけるこれからの日本人の海外旅行意識調査」の結果はこちら
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