データインバウンド

海外在住者に聞く、訪日旅行の障害になる日本の水際対策は?

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日本は6月10日に外国人観光客に門戸を開いたが、7月に入国したのは7900人。訪日外国人が増えないのは入国の際のハードルが高いためだが、多言語で日本の観光情報を発信する訪日観光メディア「tsunagu Japan」を運営する株式会社D2C Xが行ったアンケート調査を見ると、現在の水際対策が継続される場合、訪日旅行を見送る・おそらく見送ると回答した人が7割を超えることがわかった。

調査は海外に居住するユーザーを対象に2022年7月1日~7日にオンラインで実施し、世界52カ国・地域の1717名の回答結果を得た。有効回答者の内訳は、東アジア866、東南アジア493、欧米豪331、その他地域27となる。
(図・表出典:株式会社D2C X「海外に居住するユーザーを対象とした日本の水際対策に関する意識調査」) 

訪日できなければ、6割が他国へ旅行

まず、「現在の水際対策がしばらく継続される場合、日本への旅行を見送りますか」との質問には、72.0%が訪日旅行を見送る・おそらく見送ると回答した。

また、「訪日旅行を見送る場合、代わりに何をしますか」には、63.3%が日本以外の国へ旅行する、20.5%が自国で旅行するという回答結果となった。

同じ質問を地域別で見ると、欧米豪地域では、現在の水際対策が継続される場合、81.4%が日本以外の地域で旅行をすると回答している。一方、アジアでは、日本以外の国へ旅行すると答えた人が54.2%いるのと同時に、水際対策緩和まで待つ人も同じようにいることがわかった。

 

訪日最大のネックは自由のない「団体旅行」

それでは、現在の水際対策で何が一番問題と捉えられているのか。「何が緩和されれば訪日したいと思いますか」との質問には、「団体旅行のみ(添乗員の常時同行)」が71.2%と最も多く、ついでビザ取得必須と出国前72時間以内のPCR検査陰性がともに4割近くあった。

同じ質問を地域別で見ると、東アジアや欧米豪は団体旅行のみが8割前後と東南アジアの4割と比べると圧倒的に多い。前者はリピーターが多いことから個人行動にも慣れていること、後者はFIT旅行形態が基本であることが考えられる。

また「ビザ取得必須」についても東アジア、欧米豪共に多く、コロナ前にビザなし入国が認められていた国、地域が多いことが要因と思われる。

なお、東アジアでは、団体旅行に次いで出国前72時間以内のPCR検査陰性の緩和希望が多い。東南アジアでは、団体旅行に次いでマスク着用が要緩和項目の次点となり、ビザ取得やPCR検査よりもマスク着用緩和の方が優先順位が高い結果となった。

やまとごころ.jpではこれまでにも各市場の現地の声を聞いてきたが、やはり訪日旅行を推進する上で「団体旅行でしか訪日できない」というのがネックになっているという指摘が多い。

政府も段階的な水際対策の緩和を検討している。上記の調査で4割が問題視している「入国の際の72時間前のPCR検査陰性証明」に関して、9月7日より、ワクチン3回接種証明の提出で免除になることが、8月24日に発表された。

今後は段階的に入国上限数を増やすとのことだが、現状では1日の上限2万人で入国者5000人程度にすぎない。それを考えれば、インバウンドを増やすためには、ビザ免除や個人旅行解禁といった大きな動きが欠かせないだろう。

 

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