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2022年夏 欧州フライト、混乱のなか力強い回復。ギリシャ・トルコはコロナ前の水準超え

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この夏、旅行需要の急増にうまく対応しきれず、飛行機の欠航や遅延などが相次いだヨーロッパの航空業界。スペインの旅行調査会社ForwardKeys(フォワードキーズ)の報告では、こうしたトラブルの中でも、7、8月の旅行先としてパンデミック前の水準を上回った国があることがわかった。好調な回復を後押しした要因や、今夏のヨーロッパ全体の航空需要を振り返るとともに、今後の見通しをお伝えする。
(図出典:ForwardKeys)

 

7-8月空の旅、トルコとギリシャへの旅行者数はパンデミック前越え

7、8月のヨーロッパにおける空の旅で、パンデミック前の水準を大幅に超えた旅行先がある。トルコとギリシャだ。国際線到着者数の2019年との比較で、トルコはパンデミック前の水準を9%、ギリシャは2%上回った。市場シェアが大きいヨーロッパの主要国で同水準を超えた国はほかにないものの、スロベニア(2019年水準の7%減)、アイスランド(同8%減)、ポルトガル(同10%減)と、この水準に迫る勢いを見せた国もある。

2022年7−8月の欧州の国際線到着者数変化(2019年比)

トルコの好調な回復ぶりを後押しする要因のひとつは、トルコリラの下落だ。また、現在ロシアからヨーロッパに向かう便の大半が禁止されている中にあって、トルコはロシアに市場を開放している点も回復の誘因となった。

ギリシャについては、パンデミック当初から旅行規制が比較的緩く、旅行者の受入に積極的だった点が大きい。

春の終わりから夏にかけて、欧州の航空業界での欠航、遅延といったトラブル騒ぎがなければ、あと5%はよい結果になったはずだと、ForwardKeysでは推測している。

 

ギリシャは出国者数でもパンデミック前の水準に

ヨーロッパにおける出国者数においても、最も回復したのはギリシャである。7、8月にギリシャからヨーロッパに向かう旅行者の数は、2019年と同じレベルを取り戻した。ギリシャのあとには、ポーランド(9%減)、スペイン(12%減)、イギリス(13%減)と続き、ヨーロッパ域内全体では、パンデミック前の22%減まで回復している。

ヨーロッパ以外の世界では、アメリカ市場が好調だ。2019年との比較では5%減までの力強い回復ぶりで、このあとにはコロンビア、イスラエル(いずれも9%減)、南アフリカ(10%減)、メキシコ(12%減)と続く。ヨーロッパを除く世界では、パンデミック前の31%減まで回復している。

 

2022年後半も順調に回復するも、人手不足解消は急務

現在、パンデミック後の旅行の回復に影を落とすと言われるのが、景気後退とインフレの影響である。しかし、その心配をよそに、航空券の予約状況は依然、好調だ。8月31日時点でのヨーロッパでの航空券予約状況はパンデミック前の21%減。26%減だった7、8月の航空需要との比較で見ても、回復は上り調子だ。トルコとギリシャは引き続き人気の旅先で、航空券予約状況はそれぞれ20%増、5%増と2019年同期の予約水準を超える。ポルトガルも3%減と、パンデミック前の水準まであと一歩に迫る。

一方、出発地として力強い回復を示すのがイギリスだ。今後3カ月のアウトバウンドの航空需要はパンデミック前の水準のわずか2%減。スペインが3%減、アメリカが5%減、アイルランドが6%減と順調に予約が入っている。

インサイト部門長のオリビエ・ポンティ氏によれば、現在、順調な回復を見せるレジャー旅行に加えて、ビジネス旅行の回復も追いついてきている。それでも、ポンティ氏は慎重な姿勢を崩さない。ロシアによるウクライナ侵攻が継続し、エネルギー価格に打撃を与えている。ヨーロッパ経済に悪影響を及ぼすこうした事態によって、消費者心理や企業の需要が損なわれる恐れがあると言う。また、航空券の予約は秋のピークとクリスマスシーズンにかけて集中しており、人手不足の解消にうまく対応できなければ、この夏に起きた混乱がさらに深まる可能性を指摘する。

 

 

 

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