データインバウンド
2022年の世界の旅行需要 ビーチリゾートが回復を牽引、トルコのアンタルヤはコロナ前の66%増
2022.11.21
やまとごころ編集部スペインの旅行調査会社フォワードキーズ(ForwardKeys)は2022年1月1日~10月18日までの航空券データをもとに、世界各国でコロナ前の2019年と比べてどの程度まで観光客が戻っているか調査を行い、2022年最もパフォーマンスが良かった国と都市のリストを発表した。
(図版出典:ForwardKeys)
カリブ海の国々が上位に米国の観光市場が後押し
国別リストの1位はドミニカ共和国、次いでトルコ、コスタリカ、メキシコ、ジャマイカの順だった。上位4カ国はすでにコロナ前の2019年と同じ水準まで海外からの訪問客が回復しており、トップのドミニカ共和国は2019年よりも5%上回る結果となった。
トップ20を見ると、中米とカリブ海の国々が多くランクインしている。要因としては、米国の観光市場が活発なことと、コロナ禍でも他の地域に比べて渡航制限が厳しくなく、より多くの観光客を受け入れた点が挙げられる。また、ヨーロッパでは8位にギリシャ、10位にポルトガルが入り、コロナ前の8~9割程度まで回復している。一方、中国のゼロコロナ政策に代表されるように、厳しい渡航制限を敷いてきたアジア太平洋地域では、6位パキスタン(2019年比で5%減)、7位バングラデシュ(同8%減)の2カ国だけがトップ20に入り、好成績を残した。こちらは友人や親族訪問を目的とした旅行、いわゆるVFRの増加によるものだ。
▶︎2022年に観光客が増加した国・地域トップ20(2019年比)
ビーチ休暇が回復を主導
都市別の1位はトルコ最大のビーチリゾートであるアンタルヤで、コロナ前の2019年同時期よりも66%も観光客が増えた。2位がサン・ホセ・カボ(メキシコ)で21%増、3位もメキシコのプエルト・バジャルタで13%増、4位プンタ・カナ(ドミニカ共和国)12%増、5位サン・サルバドル(エルサルバドル)10%増と続いた。他にもメキシコのカンクン、ジャマイカのモンテゴベイ、モルジブのマーレなど世界的なビーチリゾート地がトップ20に入った。なかでもアンタルヤが66%増と飛び抜けている背景には、トルコリラの弱さによる旅行のしやすさと、コロナ禍でも観光に開放的であり続けたこと、ロシアからの訪問者も引き続き受け入れるというトルコ政府の政策がある。
▶︎2022年に観光客が増加した都市トップ20(2019年比)
また、中東地域の各都市がランクインした理由としては、ビジネス出張が堅調に伸びているとともに、ドバイ世界博覧会や湾岸諸国でのF1グランプリ、カタールFIFAワールドカップなど世界的イベントの開催が観光客回復に大きく寄与している。
コロナ禍で海外旅行を控えていた人々が付加価値の高い旅行を求める、いわゆる「リベンジ旅」が人気となっており、豪華なビーチリゾートでの休暇は消費者ニーズに合致している。ただ、年末に向けてはロシアによるウクライナ侵攻の影響で、燃料価格の高騰やインフレなど旅行市場の回復を遅らせる可能性があるとフォワードキーズは予測している。
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