データインバウンド
2022年世界の航空需要、2019年比7割まで回復。最も需要が旺盛な市場は?
2023.02.09
やまとごころ編集部IATA(国際航空運送協会)は2022年12月、および2022年通年の世界の航空需要及び結果を発表した。それによると、2022年の業界全体のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は2019年と比較して31.5%減まで回復。2021年の年間RPKは2019年比で58.4%減だったため、2022年は大きく改善したことがわかる。旅行制限が撤廃され、乗客が非常に強い旅行意欲を示したことの表れと言えるだろう。地域別に見ると、北米がパンデミック前の水準の9割まで回復し航空業界をリード、中南米も8.5割とそれに続いた。
また、国際線の年間RPKは2019年比で37.8%減、国内線の年間RPKは2019年比で20.4%減だった。いずれも前年より改善されているが、特に回復の遅れていた国際線が大きく挽回した。
一方、2022年12月の総RPKは前年同月比39.7%増で、パンデミック前の2019年同月比では76.9%(23.1%減)まで回復している。国際線RPKは、同75.1%(24.9%減)、国内線RPKは同79.9%(20.1%減)となった。
それではここから、国際線、国内線の2022年通年と12月の実績を見ていこう。
国際線、2019年比6割強まで回復もアジアは3割にとどまる
国際線の年間RPKは2019年比で62.2%(37.8%減)まで回復、前年比では、152.7%増と2倍以上の伸びとなった。航空需要の高まりと世界的な規制緩和を背景に、全地域で高い伸びを示した。特に、アジア太平洋地域の伸び率は、2021年比363.3%増となり、最も大きな回復を見せたが、2019年比ではまだ68.2%減であり、世界の他の地域がすでに7〜8割近くまで戻してきているのに比べると、3割強にとどまっており、最も回復が遅れているのは変わらない。
また、2022年12月単月の国際線RPKは、世界平均で2019年同月比24.9%減となり、全地域で堅調に推移した。
地域別に見ると、アジア太平洋では引き続き高い前年比伸び率を示しており、12月の国際線RPKは前年同月比302.7%増(2019年同月比48.1%減)となった。特にアジア域内の国際線RPKは勢いを維持しており、2019年12月の水準の79.1%まで回復。他の地域とを繋ぐ路線では回復の度合いにばらつきがあるものの、強い回復傾向は2022年末まで継続した。
欧州も好調に推移し、前年同月比46.5%増(2019年同月比14.5%減)となった。
アフリカは前年同月比がアジア太平洋に地域に次いで高く、118.8%増(2019年同月比14.2%減)、中東は前年同月比69.8%増(2019年同月比16.3%減)となった。
2019年のレベルに最も近づいたのは北米で、6.9%減。前年同月比では61.3%増だった。
国内線、北中米・欧州はパンデミック前の水準に、中国は回復遅く
国内線の年間RPKでは、地域別に見ると中南米はほぼパンデミック前の水準(2019年比0.5%減)に戻り、欧州(同3.1%減)や北米(6.5%減)もあとわずかのところまできている。
12月の国内線RPKの世界平均は、2019年同月比で20.1%減となっており、10月以降の3カ月間は安定的に推移している。 国内主要市場を見ると、中国が再び回復の兆しを見せ、前月より14ポイント以上改善した。ただ、12月単月でも2019年同月比55.5%減、年間を通じたRPKは54.4%減と2019年の水準にはまだ遠い状態だ。
アメリカは年間の国内線RPKが2019年の94.1%まで回復した。12月も2019年同月比8.7%減と、引き続き堅調に推移している。
主要市場で年間成績が最もよかったのはブラジルで、国内線RPKが2019年の94.6%に達し、完全回復まであと一歩の水準まで前進した。12月は2019年同月比9.3%減だった。
インドは、感染再発の懸念が薄れたことから、2022年の国内RPKが大幅に増加。2019年の85.7%まで回復した。特に12月は2019年同月比3.6%減と大きく改善している。
日本も2022年の国内線RPKは急速に回復し、2019年の74.1%まで戻した。12月の国内線RPKも11月より改善し、2019年同月比8.7%減だった。
オーストラリアも同様の回復を見せ、年間の国内線RPKは2019年の81.2%まで回復し、2021年から約43ポイントの大幅増となった。
最後に、2021年9月以降の国際線と国内線の航空券の販売数の推移を見ると、2022年の国内線の航空券販売数は、2019年比70〜90%の間で推移した。一方で、国際線の販売は、2022年1月の時点で、同40%前後だったが、3月にかけて大幅上昇に転じると、2022年9月以降は、国内線とほぼ同じ水準となった。
▶︎国際線(赤)と国内線(青)の航空券販売の推移(2019年比)
IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は2022年の実績について、「この1年のあいだに、ほとんどの国や地域が新型コロナウイルスによる渡航制限を解除し、人々は旅行の自由を取り戻し、楽しんだ。この勢いは、中国の再開に対する一部政府の過剰反応にもかかわらず、2023年も続くと予想される」と話した。
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