データインバウンド
2023年夏の旅行トレンド、海外旅行先候補にアジア地域が急上昇。休暇でデジタルデトックスも
2023.05.15
やまとごころ編集部世界最大級のオンライン旅行会社、エクスペディア・グループが、独自データと調査を元に四半期ごとに発行する旅行者インサイト。2023年1~3月期(第1四半期)のデータ分析レポートが発表された。1月8日に中国でのゼロコロナ政策が終了して以来、アジア太平洋を目的地とする検索件数は著しく増加している。夏に向けた旅行の予約状況、人気の旅行先などをお伝えする。
(図出典:expedia group, 2023 Q2 Traveler Insights)
アメリカから中国・香港・台湾への検索数が大幅増
エクスペディア・グループのサイトで2023年1~3月期に検索された件数は、前四半期と比べて世界全体で25%増加。欧州・中東・アフリカでは30%増加した。
対前年同期比では、世界全体で10%増加。アジア太平洋では65%増と際立った伸びを示した。中でも、1月8日に中国でゼロコロナ政策が終了したことで、世界での中国行きの検索数の伸びが目立った。直後の1月9日の週には対前週比で約10%増加している。また、アメリカからアジア太平洋へ向かう検索数は2023年1~3月期に大きく伸び、中でも香港への検索数は前年同期比75%増、台湾へは同50%増、中国へは同35%増だった。
▶各地域の検索数の推移(対前週比)
NORAM:北米 APAC:アジア太平洋 EMEA:欧州・中東・アフリカ LATAM:中南米
検索期間が長期化、先の旅行プランの見通しが立つ
旅行を検索する期間は四半期を追うごとに長くなり、旅行者はより先の計画を立てるようになっている。180日以上先の予定を検索するケースは、対前四半期比で、アジア太平洋と中南米でそれぞれ75%増え、世界全体では30%増加した。
世界全体では最も伸びが大きかった検索期間は91~180日先で、対前四半期比で60%増えた。特に伸びが大きかった地域は、欧州・中東・アフリカ(90%増)と北米(45%増)だ。欧州・中東・アフリカでは、国内旅行だけでなく、海外旅行でもこの期間での検索が伸びている。
▶世界の旅行者の検索期間の推移(対前週比)

夏の旅行先、検索数が多いのは気温の高い土地、プール付きの滞在先も人気
前回のレポートでは、2022年10~12月期の時点で、半年以上先にあたる2023年6月~9月の旅行検索が前年同期を大きく上回ったこと、旅行意欲が高まり、事前の準備期間が長くなりつつあることが報告された。
今期もこの傾向は続き、特にアジア太平洋では、夏期旅行の検索需要が対前年同期比の120%増に達した。欧州・中東・アフリカでは40%増となり、世界全体で50%増えている。
6月~9月の旅行先として検索された中で人気なのは、メキシコのカンクン、スペインのパルマ・デ・マヨルカ、バルセロナ、インドネシアのデンパサールといった気温の高い土地だ。
また、水辺の滞在先も人気だ。と言っても、ビーチとは限らない。エクスペディアの絞り込み条件で「プール」が選択されるケースは、欧州・中東・アフリカで最も多くなっている。北米、アジア太平洋、中南米でも「プール」は二番目の選択肢だ。
実際、アメリカでは、2月後半から5月末頃までの祝日のない期間では、土日に1日有休を足した短期休暇の予約先として、プール付きの宿泊施設が優先的に予約されている。ホテルやバケーションレンタルのオーナーは、「プール付き」の部屋があればこの点を前面にアピールしたいところだ。
エクスペディアが発表した夏の旅行予測によると、アメリカの旅行者については、6月~8月の予約に勢いがある。この時期のフライト検索は対前年同期比で25%増加。関心を寄せている海外旅行先はヨーロッパとアジアで、3桁増だ。

欧州・中東・アフリカ地域の人気旅行予約先トップ10に東京が浮上
人気の旅行予約先は前回のレポート同様に、ビーチと主要都市が中心だ。世界全体では、ニューヨーク、ラスベガス、ロンドンが不動のトップ3。パリが8位から5位へ順位を上げ、ホノルルがトップ10圏外から9位に浮上した。
地域別では、アジア太平洋の旅行先として東京の1位は変わらないが、大阪、ロンドン、パリ、台北が順位を上げ、ホノルルが圏外から浮上。
欧州・中東・アフリカの旅行先では、前回トップ10圏外だった東京とベルリンがランクイン。中南米地域では、トップ10の顔ぶれは前回と変化なし。北米地域では、ドミニカのプンタ・カナとパリが新たにトップ10に加わった。
▶各地域における旅行予約先トップ10
*印は、1~3月期にトップ10入りした目的地
APAC:アジア太平洋 EMEA:欧州・中東・アフリカ LATAM:中南米 NORAM:北米
旅行予算は昨年より多く、心身の休息を旅に求める
2023年1~3月期に世界全体で検索が行われた件数は、前年同期、前四半期のいずれと比べても増加し、さらに、より遠方への旅行が計画されている。このデータから、過去数年間で失われた機会を取り戻そうという旅行者の意気込みの強さが感じられる。それを裏付けるデータが、2023年にWakefield Researchと実施した調査結果にも表れている。ここ数年間できなかった旅行の埋め合わせとして、今年はより多くのレジャー旅行を計画している旅行者が72%。昨年と同程度かそれ以上に旅行を計画している旅行者が83%。1回の旅行にかける費用については、81%が昨年と同じかそれ以上費やすつもりという。
旅行スタイルについては、今後12カ月の間に、PCやSNSを完全に遮断し、リラックスした旅行を計画している旅行者は62%にのぼり、多くの消費者が心身の休息と回復を旅に求めている。
消費者が全速力で旅行の検討を進める中、旅行会社や各事業者は、旅行者がリラックスできるアクティビティや顧客ロイヤルティを提供し、ペントアップ需要にしっかり応えていくことが重要になると、レポートは結んでいる。
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