データインバウンド

2023年5月世界の航空需要、国際線9割まで回復。国内線2カ月連続2019年を上回る

印刷用ページを表示する



IATA(国際航空運送協会)が発表した2023年5月の世界の航空需要によると、すでにパンデミック前のレベルを超えている国内線に加え、国際線も回復を続けており、2019年水準まであとわずかに迫っていることがわかった。

5月の総RPK*は、パンデミック前の2019年同月比では96.1%まで回復、前年同月比では39.1%増となった。国際線RPKは、すべての市場で堅調な伸びを示し、パンデミック前の90.8%まで回復。また、国内線RPKは2019年同月比5.3%増と、2カ月連続で2019年の水準を上回った。
(*RPK:有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)

 

国際線、中東地域でパンデミック前を大きく上回る

国際線RPKは完全回復へ向けて、全世界で引き続き順調に推移しており、5月は2019年同月比9.2%減で、4月と比べると7.2ポイントの改善だった。特に中東地域が目覚ましく、4月は2019年同月比マイナスだったが、5月は同17.2%増で、他の地域を大きく上回る回復ぶりを示した。特に中東と欧州を結ぶ路線は4月より27ポイント増え、同17.6%増だったほか、中東ーアジア、中東ーアフリカ路線も好調だった。

アジア太平洋はいまだ同31.3%減だが、今年序盤の各国での規制緩和以降、着実に回復が進んでいる。

 

日本の国内線も2019年比0.2%減まで回復

5月の国内線RPKは2019年同月比で5.3%増となり、4月に続き、パンデミック前を上回った。特に目立ったのが欧州地域で同22.4%増、中南米も引き続き好調で、同10%増。4月に初めて2019年の水準を超えたアジア太平洋地域は、引き続き中国の国内線の大幅な伸びが寄与して、同4.7%増だった。

その中国の国内線RPKは5月に2019年同月比7.8%増を記録。加速度的に伸びていたインドの国内線RPKは多少減速したものの、同8.4%増だった。

いまだ2019年水準を下回る日本とオーストラリアも、5月は大きく挽回し、日本は同0.2%減まで回復した。

 

平均搭乗率8割を超える

IATA事務局長のウィリー・ウォルシュはこの結果を受け、次のように話している。

「5月は満席の便も増え、平均搭乗率は81.8%に達している。特に国内線は、パンデミック前の水準で成長した。旺盛な旅行需要は、航空会社の収益性回復を支える一つの要素であり、 世界の航空会社は2023年に98億ドルの純利益を計上すると予想される。これは、特にパンデミックによる莫大な損失の後では、印象的な数字といえる。ただ、平均純利益率1.2%は、出発旅客1人当たりわずか2.25ドルにすぎず、さらなる回復が望まれる」

最新のデータインバウンド