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アジア太平洋地域の旅行態度指数発表、旅に積極的なのはどこ? ーブッキング・ドットコム調査

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入国規制により海外旅行の出足に遅れが出ていたアジア太平洋地域でも、今年序盤から回復傾向が続き、5月のこの地域の航空需要は2019年の7割まで回復、夏にはさらに上向くと予測されている。

そんな折、ブッキング・ドットコムがアジア太平洋地域間の旅行態度指数(APAC Travel Confidence Index)を発表した。アジア太平洋の11の国と地域の8800名を対象に、旅行に対する安心感をはじめとする、さまざまな質問を実施、その回答から国・地域による特徴がよく出る結果となった。中でも興味深いのが日本の旅行者で、慎重な傾向があるにも関わらず、旅に対してチャレンジを求める傾向があることがわかった。

 

旅行に対する意識の高さ、トップは香港、ついでインドと中国

まず最初に、旅行に対する安心感をランキングにしたところ、最も高い安心感を示した旅行者が多いのは香港だった。74%の人が「昨年と比較して今年の旅行回数を維持、あるいは増やす傾向だ」と回答している。2位は今年半ばの調査で世界一の人口となったインド、ついで中国が続いた。日本は11の国と地域の中で9位だった。

▶︎旅行に対する安心感の国・地域別ランキング

 

レポートでは、これら11の国と地域を、旅行の動機や優先事項・行動から次の4つのタイプに分けている。

意識の高い旅人(香港、インド、中国、台湾)
環境に配慮したサステナブルな旅行を積極的に求め、環境への影響を最小限に抑えながら旅行を楽しむ。エコツーリズムへの参加やサステナブルな宿泊施設に滞在するなど、地域社会を支援する。

快適さの追求者(シンガポール、オーストラリア)
快適さと利便性を優先し、贅沢な体験や、最大限にリラックスできる宿泊施設を求める。 パーソナライズされたサービスや上質なアメニティを重視。「意識の高い旅人」と同様、積極的に旅行を楽しむものの、旅行を決定する際はサステナビリティよりも快適さを優先する。

注意深い冒険者(ベトナム)
環境に対する責任感や地域社会を支援したいという思いに後押しされ、旅行に対して慎重で思慮深いアプローチを取る。不慣れな環境では不安を感じることが多く、旅の懸念事項を解消して安心感を得るためのリソースを積極的に求める。

国内派の現実主義者(日本、ニュージーランド、韓国、タイ)
「注意深い冒険者」と同様、旅行に対して不安を感じると同時に、サステナビリティに対する関心も薄い。現実的な旅や自宅近くでの滞在を好み、利便性、効率性、時間とリソースの最適化を優先する。 入念に計画された効率的でシームレスな旅行体験を求めており、限られた時間とリソースを最大限に活用する。

 

日本の旅行者、海外旅行に慎重もチャレンジ精神強く

日本は、国内派の現実主義者タイプと分類されたが、実際に季節や休暇の長短に関わらず、国内旅行を好む傾向が強いことがわかっている。

下の図は日本の旅行者の回答だが、夏も冬も国内旅行を選ぶ人が78%、長期休暇で国内旅行を選ぶ人が81%いる。コロナ禍の移動規制で、海外旅行の優先度が下がったことが影響しているようだ。

旅の目的について調査をしたところ、日本人の半数以上(52%)は、「日常のストレスから逃れるために旅をするのが好きだ」と回答。また、33%が「旅の経験によってチャレンジしたい」と回答しており、これは、APAC全平均の20%を大きく上回る。日本の旅行者は旅に対して、日常から離れ、チャレンジを求めている傾向が伺える。

旅のモチベ―ションについての質問に対し、日本で最も多かった回答は「リラックス」(53%)で、半数以上が安らぎのある休暇を求めていることが明らかになった。これはAPAC全体平均でも言えることだ。また、「食事」「健康」はAPAC全体平均と比較して高かった。この結果から、日本人は旅に対して総合的な楽しみをモチベーションとし、心身ともに活性化するアクティビティを求めていることが伺える。

 


一番の懸念事項は費用

最後に、旅行で一番懸念していることについて尋ねると、APAC全体の5人に2人が「費用」(42%)と回答。次に「COVID-19などの病気への感染に対する不安」(30%)、「仕事から離れること」(29%)と続いた。新型コロナウイルス感染症への不安もあるものの、「費用」が一番の懸念事項であることが明らかになった。

「費用」と答えた人はタイが最も多く(57%)、ニュージーランド(55%)、オーストラリア(51%)と続く。日本で最も多かった回答も「費用」(34%)だったが、一定数は「懸念なし」(27%)と回答している。この結果は、APAC全体平均の「懸念なし」(10%)を大きく上回り、日本はAPAC他国と比較して、旅行に対する懸念が少なくなっていることが伺える。

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なお、この調査は、各国における旅行態度と持続可能性への関心を掘り下げることを目的に、2023年4月〜5月にかけて、シンガポール、オーストラリア、中国、香港、インド、日本、韓国、ニュージーランド、台湾、タイ、ベトナムの8800名を対象にオンラインで実施された。旅行意欲、潜在的な旅行支出、旅行日数、旅行予定 回数、特に現在のマクロ経済情勢を踏まえた旅行傾向といった特定の指標に基づく指数を算出。また、旅行や予約に関する考慮事項、持続可能性に関する見解、市場ごとのその他の質問についても考察した。

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