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2023年第2四半期の旅行トレンド、長距離目的地の人気上昇、スポーツ観戦旅行にも関心高く

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エクスペディアが四半期ごとに発行している「旅行者インサイト」レポートの最新版が発表された。前回の2023年第1四半期のデータでは、旅行者の旅に対する安心感は高まっており、多くの旅行者がより先の計画を立て、夏に向けた休暇を楽しみにしていることが明らかになった。今回、第2四半期のデータを見ると、旅行への熱意は根強く、イベントを目的とした旅行や、北半球での春・夏の休暇を利用した旅行などの季節的なトレンドが戻ってきていることがわかった。なお文中や図に出てくるアルファベットは、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、LATAM(中南米)とNORAM(北米)を指す。
(図出典:expedia group, Q3 2023 Traveler Insights Report


検索件数は堅調に推移、ヨーロッパ・中東・アフリカで10%増

エクスペディア独自のデータによると、2023年第2四半期の検索件数は前四半期と横ばいで推移し、世界的に旅行への関心が持続していることを示している。地域別に見ると、EMEAが最も検索件数が伸びており、前四半期比、前年同期比ともに10%増加している。

2四半期を通して、世界的に前週比の検索ボリュームは変動しており、大型連休やイベントの前後に若干の上昇が見られた。たとえば、410日の週、EMEAでは検索ボリュームが前週比で20%増となった。この増加は、英国国王の戴冠式(56日)とリヴァプールでのユーロビジョン・ソング・コンテスト(5913日)など間近に迫ったイベントへの参加計画と関連している可能性があり、EMEAの旅行者はほぼ1カ月先まで検索していることが明らかになった。

各地域の検索数の推移(対前週比)


NORAM:北米 APAC:アジア太平洋 EMEA:欧州・中東・アフリカ LATAM:中南米 

また、ヨーロッパのいくつかの都市の検索数は、第2四半期に大幅に増加した。イタリアのフィレンツェの検索数は、前四半期比40%増、ローマでは同30%増、トルコのビーチリゾート、アンタルヤは、同70%増となった。ヨーロッパの都市は春と夏に人気の旅行先であるため、この検索数の増加は季節的な旅行計画に関連していると思われる。

 

旅行の検索期間、短期化が進む

2四半期に再浮上したもう1つの季節的パターンは、北半球に住む旅行者の検索期間は春から夏にかけて短くなり、旅行の計画にかける時間が短くなっていることだ。

世界全体では、検索期間0日〜60日の割合が前四半期比で10%以上増加したが、特に検索期間0日〜21日の割合は15%増加した。NORAMでは、0日~21日の検索割合が前四半期と比べて15%増加し、EMEALATAMでは0日~21日の割合が前四半期と比べて約10%増加した。

世界の旅行者の検索期間の推移(対前週比)

その一方で、旅行者は海外旅行の計画をさらに先まで立て続けており、検索期間0日90日の海外旅行検索は前四半期比で約15%増加した。これは、エクスペディアが行った「予約プロセス」調査で明らかになった海外旅行者の傾向と一致しており、通常、海外旅行に出かける人が検索をスタートしてから、実際に購入するまでの期間(予約プロセス)は平均85日となっている。また、予約してから旅までの期間も平均94日となっており、旅の3カ月前に予約を完了している、

 

2023年夏の旅行、ロングホールの旅行先が人気に

全地域の予約上位10都市を見ると、いずれの地域も、出発地域以外の長距離路線が人気を集めており、海外旅行需要が依然旺盛であることを示している。ロンドンとニューヨークは旅行者に人気のある旅行先で、全地域で予約上位10都市にランクインした。 

APACの人気旅行先としては、東京と大阪のトップ2は変わらず、ロンドンやパリなどの都市が順位を上げ、ニューヨークが新たにリストに加わった。EMEAの人気旅行先では、新たにイスタンブールとストックホルムがトップ10入りし、ニューヨークが2位をキープした。LATAMの人気旅行先では、ニューヨークとマドリードが順位を上げ、ロンドンが新たにランクイン。  NORAMの人気旅行先には、アメリカの2都市がランキングに加わった。

各地域における旅行予約先トップ10 
 *印は、4~6月期にトップ10入りした目的地
APAC:アジア太平洋 EMEA:欧州・中東・アフリカ LATAM:中南米 NORAM:北米

 

スポーツイベントが旅行のきっかけに

エクスペディアの調査では、旅行者の24%が特定のイベントや祭典がきっかけで旅行を思い立つとしている。今回のデータでは、主要なスポーツ大会が、旅行先の検索を大幅に増加させたことがわかった。 

たとえば、今年で2回目となるUEFAヨーロッパ・カンファレンスリーグ決勝戦が67日にチェコのプラハで開催されたが、この地域への第2四半期の検索は前年同期比で約15%増加した。また、610日にはトルコのイスタンブールで伝統あるUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦が開催されたこともあり、第2四半期のイスタンブールへの検索数は前年同期比で10%近く増加した。いずれの決勝もサポーターが熱いイングランドとイタリアのチームの対戦で(ちなみにどちらもイングランドのチームが優勝)、これらの地域への海外からの検索数の増加は、サッカーの決勝戦を直接観戦するために海外旅行を検討しているファンと関連している可能性が高い。

大規模なスポーツイベントが開催地市場に旅行者の強い関心を集める力があることを示していると言えるだろう。

 

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