データインバウンド
アジア太平洋12市場のMZ世代へ旅行調査、3人に1人が次の旅行予算29万円超、体験とSNSがカギにーKlook
2023.09.28
やまとごころ編集部日本を訪れる観光客の中で8割以上を占めるアジア太平洋の国や地域の、訪日客数の中で最も多い年齢層にあたるミレニアル世代・Z世代はどのような旅行スタイルを好むのか。アジアの都市を中心に旅行に関するアクティビティ・現地ツアーのオンライン予約を扱うKlookが、アジア太平洋地域12市場の18歳~40歳の男女2400名を対象に、旅行に関する意識調査を行った。
その結果、回答者の3人に1人は次の旅行でアジアの平均月収(1069米ドル)の2倍以上(2000米ドル:約29万8000円)を消費する予定であることが判明。特に旅行先の「体験」にお金をかけることをいとわない旺盛な消費欲が読み取れ、旅行市場ではミレニアル世代、Z世代の消費をどれだけ獲得できるかが重要なポイントになってきていることがわかった。
調査は2023年7月1日~14日、マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナム・中国・香港・日本・韓国・台湾・オーストラリア・インドを対象にインターネットで行われた。
国内旅行志向も海外旅行先では日本が人気
それでは調査結果を詳しく見ていこう。
まず、「直近6カ月で計画している旅行の形態」について尋ねたところ、国土が狭く旅行と言えば「海外」が一般的なシンガポールと香港を除く10市場では、いずれも国内旅行を計画している人が最も多く、特に日本は国内旅行志向が最も強かった。
また、12市場のうち、長距離の海外旅行よりも短距離の海外旅行を計画している人が多いのが日本を含む8市場。短距離の海外旅行よりも長距離の海外旅行を計画している人が多いのは、中国、韓国、台湾、オーストラリアの4市場で、中国は香港に次いで長距離の海外旅行への意欲が高い。渡航制限が長く続いた中国では、近場の海外旅行だけではなく、ロングホールの旅行にも積極的なことがわかる。
続いて、「次の旅行先」を挙げてもらった。日本市場を除くと、インド以外の10市場で、日本がトップ3にランクインした。また、国内を第一に上げた市場を加えると、日本を除く11市場のうち8市場で日本が海外旅行先のトップになっている。特に訪日リピーターが多い台湾市場(76%)、香港市場(52%)に加え、韓国市場(51%)でも5割を超えて日本旅行ブームが現れた結果と言える。一方、日本市場では、韓国、シンガポールが人気の行き先となった。
中国・香港は突出して高い消費意欲
それでは「次の旅行の予算」についてはどうだろう。全体回答者の3人に1人が、次の旅行でアジアの平均月収(1069米ドル=約15万9300円)の2倍にあたる2000米ドル(約29万8000円)以上の予算があると判明した。国内旅行が圧倒的に多い日本市場は、次の旅行の予算も過半数が1000ドル以下と、フィリピン市場と並んで低い結果となった。一方、中国、香港市場は、予算1000ドル以下がわずか10%となっており、全体的に消費意欲が高い傾向にある。特に中国は予算3000ドル以上が6割、5000ドル以上が2割近く占めており、突出して高い消費意欲が伺える。
「旅行先での体験にお金をかけたいと思うか」という質問に対しては、全体の44%が「とてもお金をかけたい」と回答し、「ある程度お金をかけたい」と回答した人を含めると体験への意欲がある人は85%にも及ぶ。特に、ベトナム市場(71%)、インド市場(60%)、タイ市場(59%)、フィリピン市場(52%)の旅行者は体験に対しての意欲がとても高いことがわかった。その一方で日本市場と韓国市場(共に22%)の旅行者は体験への投資意欲が比較的低めの傾向があるようだ。
体験をカテゴリー別に見ると、全体では「自然・アウトドア体験」(57%)にお金をかけたい傾向が強く、「テーマパーク」(48%)、「文化体験」(48%)が次いで人気だった。日本人旅行者には、国内旅行の「温泉、マッサージ」(50%)の人気が高く、「テーマパーク」(43%)、「アウトドア、自然体験」(42%)と続く。また中国や香港の特色として「エクストリームスポーツ」の人気が比較的高いことが伺えた。
9割超がSNSを旅行の情報収集源に
最後に旅行の情報収集源について尋ねると、全体の93%がSNSから影響を受けていることがわかった。特にタイ、中国、インド、ベトナム、マレーシア、フィリピン市場では6割前後が常にSNSで行き先や行動についていの情報を得ていると答えた。逆に日本市場ではSNSに影響されない層が24%、SNS以外でも情報を得ている層が52%と、SNS一辺倒ではないことがわかる。
そのSNSの中でも最も影響力があるのはInstagramで、全体の72%がInstagramを利用して旅行を計画していることがわかった。以降はFacebook(67%)、TikTok(55%)と続く。一方、他市場に比べてSNSから影響を受ける人が少ない日本では、Facebookの代わりにTwitter(現X)が影響力を持っていることもわかった。
以上の調査の結果を受け、Klookの共同創業者兼COOのエリック・ノック・ファー氏は、「旅行の新時代を迎え、体験は次世代の旅行者、特にミレニアル世代とZ世代の間で、お金をかけてでも得たい新しい価値として現れた。ユニークな体験やアクティビティは、旅行プランの中で彼らが最初に注目するものとして優先されており、旅行者の85%が休暇中に体験に投資することを望んでいる。この顕著な変化は、本物の体験に対する彼らの欲求が高まっていることの証しであり、彼らの決断は、次の旅行の冒険に乗り出す前に、検索エンジンや旅行ガイドのような従来の情報源よりもSNSによって後押しされている」と述べている。
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