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2023年11月 世界の航空需要99.1%まで回復、好調な国内線が全体の伸びを支える

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IATA(国際航空運送協会)によると、2023年11月の世界の航空需要(総RPK*)は前年同月比では29.7%増となり、2019年の水準まではあと0.9%に迫った。

国際線RPKはパンデミック前の94.5%まで回復、国内線RPKは2019年同月比6.7%増となった。
(*RPK:有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)



 

国際線は北米、中南米、中東地域が回復を牽引

11月の国際線RPKは、2019年同月比5.5%減と、10月からほぼ横ばいとなった。2019年同月比では、北米、中南米、中東が2019年同月の水準を上回り、北米はこれで8カ月連続、中南米は4カ月連続、中東は3カ月連続でプラスとなった。ただし、北米は2019年同月比7.4%増と前月より2.2ポイント増えたのに対し、中南米、中東に関しては伸びは減少した。

アジア太平洋地域の国際線RPKは2019年同月比17.0%減と他の地域よりも遅れているが、前年同月比では 63.8%増と他地域より伸びは大きく、回復傾向は続いている。また、欧州は2019年同月比2.9%減、アフリカは2019年同月比約3.4%減で、パンデミック前の水準回復もまもなくだろう。

 

国内線は中国、アメリカで好調続く

一方、国内線RPKは11月も2019年同月比で6.7%の増加を示し、4月以降連続してパンデミック前の水準を上回り、総RPKの伸びを支えている。

モニターしている市場別では、中国の伸び率が2019年同月比10.9%増となり、前月よりも大幅に改善。過去10年間で同月の輸送量の水準が相対的に最も低かった2022年11月から見事な回復を示した。続いて好調なのがアメリカで、2019年同月比9.1%増となり、過去最高を記録した。感謝祭前後の航空需要の高まりが、国内RPKを押し上げた。

インドも国内線の輸送量は安定しており、2019年同月比0.2%増だった。一方、10月は2019年の水準を上回ったブラジルは減少に転じ、1.6%減だった。

オーストラリアは2019年同月比0.9%減と順調に伸びており、完全回復まであと一歩となった。


日本については、2019年同月比8.1%減だった。2019年同月比では、2023年6月に3.9%増とピークにを迎えたその後は台風による欠航などの影響で、マイナスが続いた。とはいえ、年間成長率は5.9%に達している。

 

各国政府に求められる脱炭素化の加速

IATA事務局長のウィリー・ウォルシュはこの結果を受け、「我々は、飛行機による旅行がピークとなった2019年を超えようとしている。経済的な逆風があっても、人々は空を飛ぶことを躊躇しない。海外旅行はパンデミック前の水準を5.5%下回っているが、その差は急速に縮まっている。また、国内市場は4月以降、パンデミック前の水準を継続的に上回っている」と述べた。また、それと並行して、航空機の脱炭素化のためには、「持続可能な航空燃料(SAF)への移行の緊急性を認識した各国政府が、SAF生産の急速な拡大を促す包括的な政策措置を最終的に実施する年になることを期待している」とした。

 

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