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2023年インバウンド消費額 初の5兆円突破、円安や宿泊数増加が後押し。1人当たり旅行支出21万円台に

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観光庁は2023年通年の訪日外国人消費動向調査(速報)を発表。2023年の外国人旅行消費額総額はコロナ禍前の2019年比9.9%増となる、5兆2923億円で、過去最高となった。また、訪日客1人当たりの旅行支出は19年比33・8%増の21万2193円だった。

 

消費額5兆円目標を早くも達成

2017年に4兆円を初めて突破した外国人旅行消費額総額は、2019年には4兆8135億円となり、5兆円も目前だったが、新型コロナウイルス感染症による渡航制限の影響を受け、2020年からの3年間は低迷した。しかし、2022年秋以降の、国境を越えた移動再開を受け、2023年は序盤から2019年の水準近くまで回復。2023年後半には2019年同期を上回るようになり、総計で5兆円を超えた。訪日客数はまだ8割の回復ということを考えると、旅行消費額の伸びは著しいといえるだろう。

2023年に政府は新たな観光立国推進基本計画の目標「5兆円」を閣議決定したが、早くもそれを上回ったことになる。観光庁の髙橋一郎長官は会見で、その理由として円安や物価上昇、宿泊日数の増加などを挙げた。

なお、年間の円ドル平均レートを見ると、2019年は105~112円に対して、2023年は128~150円の間で推移するなど、大幅な円安が続いた。

 

消費額トップは台湾、伸び率トップはシンガポール

国・地域別の訪日外国人旅行消費額のシェアは、訪日客数2位の台湾が全体の14.7%を占める7786億円で初めてトップになった。ついで中国が7599億円(構成比14.4%)、韓国は7444億円(同4.1%)、アメリカが6062億円(同11.5%)、香港が4795億円(同9.1%)と続き、これら上位5カ国で全体の63.7%を占めた。ちなみに、2023年の訪日客数のトップ5は韓国、台湾、中国、香港、アメリカの順だった。

2019年比で最も消費額が伸びたのはシンガポールで98.0%増の1687億円だった。ほかにもアメリカ(同87.8%増)、韓国(同75.3%増)、カナダ(同73.6%増)、フィリピン(同70.4%増)などが大きく増えた。

旅行消費額を費目別に見ると、宿泊費が全体の34.6%と最も多く1兆8289億円、ついで買物代(構成比26.4%)、飲食費(同22.6%)、交通費(同11.4%)、娯楽サービス費(同5.1%)となっている。2019年と比べると、買物代のシェアが8.3ポイント減少したのに対し、宿泊費は5.2ポイント増加し、両者の構成比が逆転した。

 

1人当たりの旅行支出、最多はスペインで34万円

訪日外国人旅行者1人当たり旅行支出は21万2000円で、2019年比33.8%増となった。

国籍・地域別にみると、最も多いのはスペインで34万1562円、2位は2019年まで2年連続トップだったオーストラリア(34万604円)、ついでイタリア(33万5691円)、 イギリス(33万811円)、フランス(32万4092円)と続き、6位の中国と9位のシンガポールを除くと、トップ10には欧米豪が並ぶ。

また、費目別の各1位は、宿泊費がイギリス(15万62円)で2019年と比べると平均宿泊数は3.2泊増加。飲食費はイタリア(8万2455円)、交通費はスペイン(6万3454円)、娯楽サービス費と買物代は中国(2万3121円、11万9484円)となった。買物代の全体平均が5万5739円という中で、中国は突出して高いが、一般的に欧米豪よりもアジアからの訪日客の方が買物代にかける割合が多い傾向にある。

2023年10-12月期の消費額は1兆6688億円

なお、同時期に発表された2023年10-12月期の訪日外国人旅行消費額は推計で1兆6688億円で、2019年同期より37.6%増となった。

国・地域別の旅行消費額では、台湾が最も多く、2325億円で全体の13.9%、2位は中国で2322億円(構成比13.9%)、3位は韓国2145億円(同12.9%)、4位はアメリカ1879億円(同11.3%)、5位は香港1448億円(同8.7%だった)。

また、2023年第4四半期の1人当たりの旅行支出は2019年同期比28.0%増の21万8201円となった。国籍・地域別にみると、スペイン(39万2819円)、イギリス(38万6526円)、イタリア(36万8783円)の順で高い。2019年同期と比べて伸び率が高いのは、マレーシア(84.9%増)、イタリア(76.5%増)、台湾(74.9%増)だった。

 

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