データインバウンド

2023年 世界の航空需要はパンデミック前の94.1%まで回復、国内線は過去最高を記録

印刷用ページを表示する



IATA(国際航空運送協会)は、2023年12月、および2023年通年の世界の航空需要を発表した。それによると、2023年の業界全体のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は2019年と比較して5.9%減、前年比では36.9%増となり、パンデミックの影響から力強く回復した年となったことがわかった。

また、国際線の年間RPKは2019年比11.4%減まで回復したものの2019年の水準を下回ったままだった一方で、国内線RPKは2019年比3.9%増となり、パンデミック前を上回ると同時に過去最高を記録した。

2023年12月の実績については、総RPKは2019年同月比で97.5%(2.5%減)まで回復した。国際線RPKは、同94.7%(5.3%減)まで回復、国内線RPKは同2.3%増となっている。

 

国際線、欧州が初めてパンデミック前を上回る

12月の国際線RPKは、2019年同月比5.3%減と、11月からは小幅な変化にとどまり、地域別でも成長率はわずかな変動にとどまった。

2019年同月比では、北米が引き続きリードし、5.5%増。中南米も1.6%増となった。欧州もまた初めてパンデミック前を上回り、0.8%増となった。北米はこれで9カ月連続、中南米は5カ月連続、プラスとなっている。一方、11月まで3カ月連続でプラスだった中東はここにきてわずかだがマイナスに転じた。

アジア太平洋地域の国際線RPKは2019年同月比17.5%減で、前月からほぼ横ばいだった。国際線RPKの増加率が全地域の中で最も低かったアフリカは、2019年同月比6.6%減だった。

また、路線別でみると、北米ー南米路線は2019年比で5.4%増となり、12月はトップの伸びだった。北米ー欧州間でもRPKは引き続きパンデミック前の数字を上回り、2019年12月の水準を5.3%上回った。アフリカーヨーロッパのルートもパンデミック前の水準を初めて上回り、1.2%増となった。

 

中国、インドで国内線が好調

国内線RPKは12月も2019年同月比で2.3%の増加を示し、4月以降連続してパンデミック前の水準を上回り、総RPKの伸びを支えている。

モニターしている市場別では、中国が引き続き好調で、2019年同月比8.4%増と最も改善した。続いて好調なのがインドで、2019年同月比6.0%増だった。

アメリカもプラスだが、伸び率は0.4%増で、直近の数カ月と比較して伸び率が大幅に縮んだ。日本は、経済状況と国内消費の減速を反映して、国内RPKの縮小が確認され、2019年同月比7.9%減となった。ブラジル、オーストラリアも引き続きパンデミック前の水準を少し下回る成績で推移している。


 

2024年の航空旅行は従来の成長パターンへ

IATA事務局長のウィリー・ウォルシュはこの結果を受け、次のように述べた。
「パンデミック後の力強い回復は2023年も続いた。12月の輸送量は2019年のレベルをわずか2.5%下回っただけだ。第4四半期は好調で、航空会社が2024年にはこれまでのような成長パターンに戻る準備を整えたと言える。旅行の回復は朗報だ。しかし、パンデミック後の世界で航空旅行のメリットを最大限に生かすためには、政府は戦略的なアプローチをとる必要がある。つまり、需要を満たすためのコスト効率の高いインフラを提供し、2050年までにCO2排出量ネットゼロの目標を達成するために持続可能な航空燃料(SAF)の生産にインセンティブを与え、明確な費用対効果をもたらす規制を採用することである」

 

最新のデータインバウンド