データインバウンド
2024年世界と日本の旅行トレンドの違い、円安・物価高が与える影響は? ーアメリカン・エキスプレス調査
2024.04.15
やまとごころ編集部アメリカン・エキスプレスが発表した2024年の旅行トレンド「2024 Global Travel Trends Report」についてはすでにこちらに掲載済みだが、今回、同調査から日本における旅行の最新動向が紹介された。そこで、日本と世界7カ国平均を比べて、相違点を見ていく。
なお、この調査は、2024年1月31日~2月8日の間に、少なくとも5万ドル(約750万円)以上の収入があり、通常時は年に1回以上旅行する成人で、日本、カナダ、英国各1002人、インド1005人、メキシコ1006人、オーストラリア1007人、米国2005人でを対象にオンラインで行われた。
(図版出典:「アメリカン・エキスプレス・グローバル・トラベル・トレンド・レポート」)
2024年の日本人海外旅行意向15%止まり、国内旅行重視続く
昨年と比較した日本人の2024年の海外旅行意向については、昨今の航空運賃の高騰や、円安の影響を含めた渡航先での物価高を敬遠したのか、「海外旅行に出かける回数を増やす」と回答した人は15%にとどまり、世界7カ国平均(32%)の半数に満たない結果となった。
なお、国内旅行については引き続き旺盛で、「国内旅行に出かける回数を増やす予定」と回答したのは34%で、「同じくらい国内旅行に出かける予定」と回答したのは60%だった。ただ、日本の回答者で2024年のゴールデンウィーク期間に「旅行を予定している」と回答したのは18%で、そのうちの86%が行き先を国内旅行としている。
家族旅行を計画している人が突出して多い日本
「2024年は誰との旅行を計画しているか」を聞いたところ、世界7カ国平均では「家族」が43%で、ついで「恋人・パートナー」(32%)だった。日本も同様に「家族」が1位だったが、67%と突出して多く、2位に入った「自分(一人旅)(11%)」との差が大きく開いた。日本の回答者の「家族(67%)」という回答結果は、調査対象の7カ国中で最も高くなっている。
また、「2024年は誰と気ままな思いつき旅行をする可能性があるか」という質問に対し、「家族」と回答したのは世界7カ国平均で41%だったのに対し、日本では「家族」との回答が51%を占め、こちらも調査対象の7カ国中で最も高い値になった。
旅行期間にも日本と世界の差
2024年に計画している旅行について期間を聞いたところ(複数回答)、世界7カ国平均では1位が「1週間の旅行(47%)」、2位が「週末旅行(41%)」、3位が「1~2週間の旅行(36%)」となった。一方、日本の回答者はおよそ8割が「週末旅行(76%)」と答えた。次いで多かったのは「1週間の旅行(31%)」で、3位が「1~2週間の旅行(5%)」となり、週末旅行または1週間以内での旅行が大多数を占める結果となった。欧米豪などでは長期休暇を取る習慣があるが、有給休暇の取得率が低い日本では、1週間を超える休暇を取得して旅行に出かけるよりも、週末の時間を活用するなどで気軽に旅をすることを想定している傾向が見られる。
日本ではウェルネスツーリズムへ高い関心
2024年にどのような旅行を計画しているか聞いたところ、世界7カ国平均は上位から「ビーチでの休暇(51%)」「大都市への訪問(42%)」「ロードトリップ(40%)」となったが、日本の回答者は上位から「ロードトリップ(41%)」、「大都市への訪問(31%)」、「スパやヨガリトリートなどのウェルネスツーリズム(26%)」となった。「ビーチでの休暇」は11%とかなり少なく、調査対象国の中で、日本は「ウェルネスツーリズム」への関心が非常に高いことがわかった。
また、「2024年に旅行を計画している主な理由は」という質問への回答で、「セルフケア」を挙げた人は日本の回答者の23%を占め、1位の「家族や友人を訪問(29%)」や2位の「行きたかった旅行先を訪れたい(24%)」に次ぐ、3番目に多い結果となっている。このことからも、旅行中にゆっくりと心身のリフレッシュを図ろうとする意識の高まりがみられる。
旅における優先度は「宿泊施設」か「食べ物」か
最後に、旅行で最も妥協したくない要素について、世界7カ国平均では1位が「宿泊施設(53%)」で、2位が「食べ物(52%)」となっているが、日本の回答者が最も妥協したくない要素は「食べ物(58%)」次いで「宿泊施設(47%)」となり、「食べ物」への比重が高いことがわかった。
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