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欧州の2024年夏の旅行需要、ビーチよりも自然、都市観光へシフト。アジアへのロングホール旅行も人気

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航空・旅行業界のデータ分析のスペシャリストForwardKeysが、欧州における2024年夏季旅行の見通しについて発表。欧州の旅行水準がパンデミック以前を回復し、また旅行者による旅行先への関心が変化していることもわかった。

 

パリ五輪が話題の中、最も検索された旅行先はロンドン

2024年1月から4月に検索された7、8月のフライト分析によると、ロンドン(ヨーロッパへのフライト検索でシェア5%)は、2024年夏の旅行先としての検索シェアが相対的に最も上昇(2023年同期比で1.9ポイント増)した都市となった。オリンピックが開催されるパリも同様の人気(同0.5%ポイント増)を示しているが、観戦でパリを訪れる旅行者は調査時期よりも以前に旅行を計画している場合が多いため、検索シェアは若干低くなっているという。ロンドンの人気は、パリ五輪がもたらしたポジティブなハロー効果(目立っている良い印象に引きずられて、別の項目も高く評価してしまう現象)と言われている。

この夏、最も人気のある欧州のデスティネーション。シェアと伸び率トップ10
(2019年7〜8月比)

また、イスタンブール(同0.4ポイント増)、ローマ(同0.7ポイント増)、ミラノ(0.7ポイント増)は相対的に人気を高めたが、パンデミック後数年は大きな需要があったギリシャ、ポルトガル、スペインの都市(アテネ、リスボン、マドリード、パルマ・デ・マヨルカ)は、欧州旅行者の嗜好の変化を反映し、人気を落としていることがわかる。

ただし、伸び率順の表を見るとわかるが、スペインのテネリフェ(同0.41ポイント増)はこのトレンドに逆行しており、トルコのイズミル(同0.25ポイント増)とともに、中位デスティネーションの中で最も高い関心を集めている。

また、アイスランドのレイキャビク(同0.21ポイント増)とドイツのミュンヘン(同0.15ポイント増)への関心の高まりは、休暇を過ごす人々の間で夏の気温が低いデスティネーションの人気が上がっていることを反映している。東欧では、アルバニアのティラナ(同0.07ポイント増)がここ数年来人気を伸ばしており、アルメニアのエレバン(同0.03ポイント増)とジョージアのトビリシ(同0.09ポイント増)がこれに加わった。

 

ビーチよりも自然や都市、地域別では中欧/東欧が人気

2024年7月、8月の欧州の都市への航空券発券データを分析したところ、2019年比では99%まで回復、2023年比では13%増となった。そして、消費者の好みが従来の太陽とビーチの観光地(2023年比8%増)よりも自然(同19%増)と都市(同14%増)の観光地にシフトしていることが明らかになった。

これは地域レベルでも反映されており、中欧/東欧(2023年比25%増)、西欧(同15%増)、北欧(同13%増)への国際線到着者数の前年比増加率は、南欧(同11%増)を上回っている。これは数年来、南欧全域で猛暑が続いていることもあり、旅行者が涼しい旅行先を選ぶ傾向にあることを示している。

この夏、欧州でインバウンド客に人気の地域は中欧/東欧(2019年7〜8月比/2023年7〜8月比)

 

 

欧州のアウトバウンド旅行者、アジアの目的地に注目

欧州発のアウトバウンド旅行も明確な傾向を示しており、この夏の欧州域内旅行(2023年同期比14%増)とアジア市場への長距離旅行(同16%増)が前年比で伸びている。

7月と8月の発券データによると、欧州からの旅行者は、特に北京(同132%増)、大阪(同66%増)、バンコク(同21%増)、コロンボ(同21%増)、クアラルンプール(同14%増)、東京(同13%増)へと足を伸ばし、異国の風景や文化を探索しようとしている。これらのデスティネーションは、接続性の向上、中国に入国する欧州人のビザ免除、有利なユーロ対円為替レートなど、様々な要因から恩恵を受けている。米国市場であるシカゴ(14%増)とマイアミ(9%増)の需要の緩やかな伸びも注目に値する。

この夏、欧州発アウトバウンド客に人気のデスティネーション(2023年7〜8月比)

この結果を受けて、ForwardKeysのインテリジェンス・マーケティング担当ディレクターであるオリヴィエ・ポンティは、「全体として、収益性の高い欧州からの観光客の誘致を目指す世界中の旅行先にとって、状況は明るい。パンデミックが引き起こした需要や予約の混乱ももはや過去のものとなり、2024年の夏シーズンは、ヨーロッパ内外の旅行において新たな基準となりそうだ」と話している。

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