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7割の訪日客がサステナブルツーリズムを重視、台湾・タイ・インドネシアで意識高くー観光庁調査

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観光庁が行った「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」の後半は、持続可能な観光への関心について行われたアンケートの調査結果を見ていく。回答したのは、中国、韓国、台湾、香港、米国、タイ、マレーシア、インドネシア、豪州、欧州からの旅行者4012人で、20〜30代が6割以上を占めた。

前半の調査結果はこちら。
>>>訪日客が一番困ったことは? 3割がごみ箱の少なさを指摘、言語の問題をあげる人が増加ー観光庁

 

東南アジアからの訪日客のサステナブルツーリズムへの意識、7割超え

今回取り上げる観光庁による持続可能な観光に関するアンケート結果では、サステナブルツーリズムが実践できる旅行地として日本を選ぶ旅行者が、全回答者の68%にのぼることがわかった。

国、地域別で見ると、特に台湾やタイ、インドネシアでサステブルツーリズムを重視する傾向がある。3カ国において、サステナブルツーリズムを「とても重視した」「多少は重視した」と回答した人の合計は、全体の8割を超える結果となった。一方で、般にサステナブルなライフスタイルへの意識が高いと思われる欧米豪からの訪日旅行者で、サステナブルツーリズムを重視すると回答した割合は5〜6割で、全回答者と比較すると低かった。

日本がサステナブルツーリズムの旅行先として相応しい理由として、全回答結果では、自然環境への配慮(53%)や文化・伝統の継承(51%)が高かった。地域ごとの調査結果で見ると、東南アジアで「リサイクルや廃プラ削減、温室効果ガスの排出削減が適切に行われている」点も高く評価されている(59%)。また、欧米豪では「バリアフリー、宗教、LGBTなど多様な観光客を受け入れる環境が整っている」点や「災害や感染症など、旅行者の安全安心の確保が適切に行われている」点を評価した回答者が35%前後いた。

一方で、日本がサステナブルツーリズムの旅先を目指す際の改善点についての調査も行われた。回答者の割合が高かったのは「混雑や渋滞等への対応不足」「観光地の慣習やマナー等の説明不足」「リサイクルや廃プラ削減、温室効果ガスの排出削減の努力不足」の主に3点だった。東南アジアとその他地域では、他の地域に比べ、「自然環境の配慮や動物保護など、生態系の保全への配慮不足」を改善点として挙げる割合が多い。また、「改善すべき点はない」との回答も5割ほどにのぼっている。

サステナブルツーリズムの認証・表彰の認知度、Green Destinations最も高く

また、「サステナブルツーリズム」に関する認証・認定・表彰・ラベルの認知度について、全回答者で見ると「Green Destinations(グリーン・デスティネーションズ)」や「Japan Sustainable Tourism Standard for Destinations(日本版持続可能な観光ガイドライン)」「Sakura Quality(サクラクオリティ」の認知度が高い結果となった。Green Destinationsの「世界の持続可能な観光地トップ100選2023」には日本から10カ所が選出され、北海道のニセコ町はシルバーアワードを受賞している。

また、地域別で見ると、認証について「知っているものはない」と回答した割合が5〜6割の地域が多い中、東南アジアでは42%となっており、サステナブルツーリズムの認証などへの関心の高さがうかがえる。

(図版出典:令和5年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」調査結果)

 

▼Green Destinationsの「世界の持続可能な観光地トップ100選」2023年版はこちら
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