データインバウンド
経済的に豊かなミレニアル世代が求める旅、主役は「行先」から「体験」へ ーARIVAL調査
2024.10.25
やまとごころ編集部アメリカでは、経済的に豊かな若い旅行者が従来の固定観念を覆すような旅行決定のプロセスを踏むようになっており、それがオペレーター、OTA、旅行先などに大きな影響を及ぼしていることがわかった。体験やアクティビティに焦点を当てたビジネスを展開するARIVALの調査レポートをお届けする。
経済的に豊かな若い層が変化を牽引
かつて、日帰りツアーやアクティビティ、観光名所のチケットなど、旅の体験の購入は、旅の行先や宿泊先を決めた後にするものだった。 ロンドンであろうとハワイであろうと、旅行者の情熱や夢は行き先そのものに向けられていた。 旅行先の決定、移動手段、宿泊施設、これらが旅行計画の最初に考えられる要素であり、アクティビティや観光はその後、時には出発直前や到着後に計画されていた。
ところが、このような旅行者の購入行動に関する常識は変わりつつあり、若い旅行者、特にミレニアル世代の、旅行や体験に積極的に投資できる経済的に豊かな層がその変化を牽引している。
可処分所得の多い若い旅行者(18~44歳で世帯年収15万ドル以上)は、全旅行者の14%を占める。 大半は現在28歳~43歳のミレニアル世代だが、18歳~27歳のZ世代も含まれており、彼らが旅行計画に新たな風を吹き込んでいるのだ。
やりたい「体験」に基づき、行先を決めるが7割超
モノよりも体験を重視する旅行が増加していることは以前から知られていたが、最新の調査によって、その変化を主導しているのが誰なのかが明らかになった。経済的に豊かな若い旅行者は、他の旅行者と比べ、「行きたい場所の決定は、主に体験したいことに基づいている」と答える割合がほぼ2倍となった。 75%(4人に3人)は、「ツアー、アクティビティ、アトラクションが目的地決定の主な原動力だった」と答えており、これは他の年齢層や収入層の旅行者の平均である41%と比較して非常に高い割合だ。
▼体験が目的地選択に与える影響
左より、低所得(5万ドル以下)、 中間所得(5万〜14.9万ドル)、経済的に豊かな若い世代(18〜44歳、年収15万ドル以上)、 経済的に豊かな中年以降(45歳以上、年収15万ドル以上)
彼らは、旅行中により多くのツアーやアクティビティに参加し、より多くのアトラクションを体験する。また、他の旅行者に比べて消費額もはるかに多く、事前に計画を立てる傾向が強い。 約59%が、「旅行先での体験をすべて事前に計画し、予約する」と答えており、他の旅行者の25%と大きな差がある。
このことは、旅行者の行動だけでなく、その心理や動機にも大きな変化をもたらしている。 旅行者の立場で考えてみると、以前は「あそこに行きたい。そこでできる最良の体験は何だろう?」だったが、 今は「これがやりたい。 それをするのに最適な場所はどこだろう?」に変わっているのだ。
体験ファースト志向が、観光マーケティングにもたらす影響
旅行体験部門、さらには旅行業界全体にとって、行先ファーストから、体験ファーストへの変化がもたらす影響は大きい。体験のオペレーターは自分たちの顧客層を特定し、どのようにリーチするかを学び、自分たちの提供する体験に目を向かせる必要があるだろう。
また、観光地のマーケティング担当者は、ホテルの客室を埋めることに注力するのではなく、旅行者が訪れたいと思うような現地体験に焦点を当てるべきだ(それが結果として客室を埋めることになる)。そして、宿泊施設や交通手段を提供する企業は、提供するサービやメッセージに体験を組み込み、体験重視の旅行者とつながる必要があると、レポートは伝えている。
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