データインバウンド
2025年世界の旅行予測、伝統的な旅の価値観を壊し、自己成長を促す9つのトレンドとは? ーブッキングドットコム調査
2024.11.15
やまとごころ編集部ブッキングドットコムから、2025年の旅行予測が発表された。不確実性が高まる世界にあっても、臆することなく、旅行者は世界を体験しに出かけていく。2025年のキーポイントは、旅を通した自己成長と、自身や周囲との深いつながりだ。伝統的な旅の価値観から脱却し、旅の未来を形作る「9つのトレンド」を紹介する。
なお、本調査は、今後12~24カ月間に旅行を計画している33の国と地域の2万7713人を対象に、2024年7~8月にオンラインで実施された。
1 夜間観光
2025年は、夜間にアクティビティが行われる「夜間観光(Noctourism)」に注目が集まりそうだ。と言っても、ナイトライフスポットで休暇を過ごそうとか、夜を徹してパーティを楽しもうというのではない。宇宙とのつながりを体感するアクティビティのことだ。たとえば、星の光を一身に浴びる星浴体験(回答者の72%)や、一生に一度の宇宙イベントへの体験(59%)といった、暗い夜空を体験できる土地への訪問に関心が集まっている。
懸念される気候変動も、このトレンドに拍車をかける要因となっている。日中の暑さを避け、その分夕方や早朝の活動を増やしたり(57%)、夜間の活動を増やしたい(54%)という。また、半数を超える54%は、動植物保護のために、光害を最小限におさえた宿泊施設を選ぶと答えている。
こうした旅行者のトレンドに合わせ、都会の美術館や博物館といった施設でも、開館時間の延長といった検討も必要となってくるであろう。
2 不老不死へのパスポート
休暇とはリラックスするための時間、という考えは過去のもの。よりよいライフスタイルを選択する人々は、健康で長生きするための休暇、すなわち「長寿リトリート」に関心を寄せている。回答者の58%は、寿命と健康を延ばすことだけを目的とした休暇にお金を払うことをいとわない。
単にヨガを行ったり、青汁を飲んだりといった体験ではない。ボディバイブレーション(56%)、レッドライトセラピー(52%)、凍結療法(48%)、幹細胞治療(45%)といった最先端の体験へ関心をもち、また、時間を決めてコーヒーを飲んだり(37%)、点滴療法(31%)といった日常生活に取り入れられる新しいウェルネス・アクティビティを求めている。
3 AIによる旅行プランのサポート
2025年、旅行者は、訪問地の役に立つような本物の体験を見つけるために、テクノロジーを活用する。たとえば、回答者の41%は、地域やコミュニティーとより深く、積極的につながることができる旅行プランを練り上げるために、ブッキングドットコムのAIトリップ・プランナーのようなAIツールを利用したいと考える。
また、テクノロジーに注意深く向き合おうとしている旅行者もいる。半数近い44%の旅行者は、SNSでバズって大勢の観光客が押し寄せる事態が起こらないように、知られざる地を訪れても、インスタでタグ付けするのは控えると答えている。しかしその一方で、シェアすることが重要と考える層もいる。Z世代の47%、ミレニアル世代の44%は、タグ付けできない場所なら訪問を見直し、テクノロジーに頼って、シェアできそうな人が少ない代わりの場所を探すという。
4 多世代旅行
半数以上の回答者が望み、今後増えていきそうなのが、子どもにできるだけ多くの遺産を残す代わりに、一生に一度の思い出に残る旅行にお金を使うという考えだ。ただし、自分たちのためだけにそのお金を使うというわけではない。親世代は、子や孫の旅行費用を自分たちのポケットから出し、多世代での旅行で絆を深めたいと考えている。休暇費用を、成人になってから親に一部でも負担してもらったことがあると答えた旅行者は58%いる。ベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ)のうち80%は、次の旅行で子どもの費用を喜んで負担したい、78%は孫の費用を負担したいと答えている。
5 男性専用のリトリート
昨今、男性のメンタルヘルスや社会的プレッシャーといった話題がオープンに語られるようになった。旅の世界でも、孤独と闘い、男性同士のより強い心のつながりを持とうとする傾向が高まり、男性たちは、ウェルビーイングと自己成長に焦点をあてた「男性専用」の休暇を求めるようになっている。回答者の47%は、男性専用の旅を身近な男性に勧めたいと答えている。ミレニアル世代では58%、Z世代では65%と、数字はさらに高くなる。
弱みを見せない男らしさといった伝統的な期待から解放され、日常的なストレスを切り離し(29%)、休息して若返り(30%)、自己成長を求めたい(24%)。また、家族や友人との関係改善や、新しい人間関係のつながりを築くことも非常に大切だと考えている。
こうした旅行を望んでいるのは、男性の側だけではない。女性も男性にそうしてほしいのだ。女性の56%はパートナー、36%は男友達、28%は兄弟、20%は父親に、自身の健康を優先してほしいと考えている。
6 幅広い年齢層が挑むアドベンチャートラベル
わくわくドキドキの旅は若者のもの、と考えているなら、考えをあらためよう。中高年の旅行者の間で、アドベンチャートラベルを楽しむ者が増えている。ベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ)の5人に1人(23%)が、アドベンチャートラベルに興味があると答えている。
乗馬(31%)やワインパーティ(27%)への参加から、冒険的要素が強いものでは、世界最大級の川でのカヌー下り(19%)、世界最高峰でのトレッキング(18%)、さらには、スカイダイビング(11%)、サンドサーフィン(11%)、洞窟ダイビング(10%)、南極でのキャンプ(9%)、火山ボーディング(8%)といったスリリングな冒険に興味を示す者も1割近くいる。
7 ニューロインクルーシブ
発達障害を脳や神経の違いによる多様性ととらえる考え方として、neuro「脳・神経」とdiversity(多様性)が組み合わさった「ニューロダイバージェント」という言葉がある。ニューロダイバージェントな旅行者が必要とするニーズに対し包括的にアプローチしようというニューロインクルーシブと呼ばれる動きが、2025年に加速しそうだ。
ニューロダイバージェントであるため、旅行中にネガティブな経験をしたことがあると答えた者は49%、旅行の選択肢が狭まったという者は半数いる。多くはAIのようなテクノロジーが、自身の、そして同行者の不安を軽減してくれることを望んでいる。たとえば、AIに最新の旅行情報や、空港やホテルで空いている場所を提案してもらったり、また、空港やホテルにセンサリー・ルーム(感覚過敏の症状をもつ人が安心して過ごせるように配慮した部屋)を設けたり、騒音を遮断したりする方法も求めている。
8 ヴィンテージ服の購入
旅行中の洋服は、旅先のヴィンテージショップで購入する。これが2025年のトレンドだ。旅行者の半数以上(51%)は、休暇前でなく休暇中に服を購入したいと考えている。中でもZ世代での回答は63%に上る。
旅行者の56%は旅行で倹約し、68%は経験を最大限に楽しむために予算を切り詰めている。ヴィンテージショップなら、お財布に優しい。海外のほうが品質もよいし(31%)、掘り出し物にも出合える(35%)ことは、なにより冒険の重要な要素である。旅先との文化的なつながりをもつアイテムを持ち帰れるという意味でも、古着は今、冷蔵庫のマグネットにかわって、新しい人気のお土産になりつつある。
9 空港体験
2025年、空港は単にゲートを急いで通過するだけの場から、楽しくユニークな体験をする場へと注目を集めることになる。回答者の3分の1以上(34%)は、空港を理由にどこかを訪れたいと考え、60%はユニークな空港施設に興味を示している。
このトレンドをリードする存在が、Z世代とミレニアル世代だ。43%は空港を基準に旅行先を検討すると言う。快適に仮眠がとれるスリープポッド(Z世代37%、ミレニアル世代35%)や、スパ(Z世代31%、ミレニアル世代29%)、ミシュランの星付きレストラン(Z世代22%、ミレニアル世代24%)など、空港に特別な価値のある旅行先を好む。2025年、旅は空港で飛行機に乗る前から始まり、目的地と同じくらいワクワクするものになるだろう。
2025年世界の注目スポットランキング
最後に、レポートで報告されている2025年に旅行者の注目を集めそうな、10のスポットを紹介しよう。これらのスポットは、穏やかなビーチでの休暇から、文化の拠点、冒険にあふれた景観といった幅広い体験を提供しているのが特徴だ。トップ10のランキングのうち、日本からは8位に、沖縄の那覇がランクインした。
三亜(中国)
トリエステ(イタリア)
ジョアン・ペソア(ブラジル)
トロムセー(ノルウェー)
ウィレムスタット(キュラソー)
ティニュ(フランス)
サンペドロ・デ・アタカマ(チリ)
沖縄・那覇(日本)
ビリャホヨサ(スペイン)
テキサス・ヒューストン(アメリカ)
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