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持続可能な都市を評価するGDSインデックスのトップ40 2024年版が発表、伸び率の高さで熊本評価

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観光地がいかに持続可能であるかを世界的に評価する指標である「2024年版GDSインデックスレポート」が発表された。

4つの区分(都市運営、サプライヤーの実績、環境実績、社会発展度)に分かれた70以上の項目を基に、多角的な視点で評価が行わ、対象となる世界中の100以上の都市の中で、トップ40にランクインした都市が判明した。

なお、GDSインデックスを運用しているのは、オランダのアムステルダムを拠点とする国際会議協会(ICCA)が中心となって運営しているGlobal Destination Sustainability Movement(GDSムーブメント)だ。同団体は、国際会議や展示会など、MICE分野における各都市での持続可能性を推進しており、コンサルティングやアカデミーフォーラムなどのサービスを提供し、幅広くサポートしている。

それでは早速、同レポートの内容を見ていこう。

 

最も持続観光な観光都市フィンランド:ヘルシンキ、北欧が上位を占める

2024年のGDSインデックスにおいて、ヘルシンキがスコア92.43%で1位を獲得し、世界で最も持続可能な観光都市としての地位を確立した。2023年のランキングでは4位だったが、2024年は、都市運営、サプライヤーの実績、環境実績の3部門で1位、社会発展度で2位と、総合的な高評価を得ている。

ヘルシンキは持続可能な企業を支援し、観光開発のためのリソースを増やすことで、観光の社会的持続可能性の向上に投資している。また、2030年までにカーボンニュートラルを達成するという野心的な目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入や低排出交通システムの構築を進めるなど、環境面での取り組みを積極的に行っている。ヘルシンキ地域では、バス車両の30%以上が電化され、今後10年間で30kmを超える新しい路面電車の導入も予定されている。

観光分野では、インクルーシブ・ツーリズムの開発や、観光開発への地域住民の参加を促進することで、多様な人々にとって魅力的な観光地作りが目指されている。持続可能な企業を支援し、観光開発のためのリソースを増やすことで、観光の社会的持続可能性を高めている点も注目に値するだろう。

 

アジア太平洋地域から5都市がランクイン

2位はスウェーデンのヨーテボリ(インデックススコア90.83%)。次いで、デンマークのコペンハーゲン(同88.19%)、ノルウェーのベルゲン(同86.49%)、デンマークのオーフス(同85.68%)と続き、トップ5を北欧都市が独占する結果となった。

また、アジア太平洋地域からも複数の都市がランクインしており、シンガポールが7位、シドニーが10位、韓国の高陽市が16位、オーストラリアのメルボルンが34位、タイのソンクラーが34位に入っている。

 

地下水の豊富さが特徴の熊本、伸び率の高さで評価高

日本の都市は、トップ40には入らなかったものの、前年度からの伸び率が評価される、Most Improved Destination Awardを熊本が受賞。前年比18.88ポイント増のスコアを記録し、顕著な成長を示した。なお、同賞の3位には高松市もランクインしている。

地下水の豊かさから「水の都」として知られる熊本は、水管理プログラムの優位性に加え、将来を見据えたモビリティ計画、サプライヤーとの循環経済の実践、多様性・公平性・包摂性に関する研修の実施など、総合的な持続可能性戦略が高く評価された。

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