データインバウンド
2024年インバウンド消費額8兆円突破で過去最高。1人当たり旅行支出22.7万円、欧米豪の伸び率高く
2025.01.17
やまとごころ編集部観光庁が1月15日に発表した2024年訪日外国人消費動向調査(速報)によると、外国人旅行消費額総額は前年より53.4%増の8兆1395億円と過去最高を更新。2019年比でも69.1%増となり、訪日客1人当たりの旅行支出は22万7000円に達した。
消費額8兆円目標を早くも達成
2024年の訪日外国人旅行消費額は、コロナ禍を経た急回復に円安効果が加わり、2023年後半から2019年の水準を上回り続けた結果、8兆円を突破した。同日発表された年間訪日外国人数も2019年の3188万人から約500万人増えて3686万9900人と過去最高を更新、これで2024年は消費額、訪日客数ともにコロナ禍前の数字を上回ったことになる。訪日客数が直近の伸び率で推移し、さらに高付加価値化と泊数増加を図ることにより、2030年の政府目標である消費額15兆円も視野に入る状況といえるだろう。
なお、2024年の平均円ドルレートは141~161円で推移し、2019年(105~112円)より大幅に円安が進んだ。
消費額トップは中国、欧米豪市場が伸び率高く
国・地域別の訪日外国人旅行消費額のシェアは、中国が全体の21.3%を占める1兆7335億円で2019年以来のトップになった。中国の訪日客数は、韓国に続き2番目に多い。ついで台湾が1兆936億円(構成比13.4%)、韓国が9632億円(同11.8%)、アメリカが9021億円(同11.1%)、香港が6584億円(同8.1%)と続き、これら上位5カ国・地域で全体の65.7%を占めた。ちなみに、2024年の訪日客数は、韓国、中国、台湾、アメリカ、香港の順だった。
アメリカの消費額は2019年比で179.5%増と最も大きな伸びを示した。ほかにもカナダ(同163.1%増、1763億円)、イタリア(同152.4%増、817億円)、シンガポール(同135.7%増、2008億円)、スペイン(同134.4%増、674億円)、オーストラリア(同131.0%増、3509億円)など、欧米豪市場における伸び率が高かった。
続いて、旅行消費額を費目別に見ると、宿泊費の2兆7366億円が全体の33.6%と最も多い割合を占める。ついで買物代2兆3994億円(構成比29.5%)、飲食費1兆7460億円(同21.5%)、交通費8672億円(同10.7%)、娯楽サービス費3886億円(同4.8%)となっている。買い物代が最大シェアを占めていた2019年と比べると、2023年と同様に、宿泊費の支出が最も大きいことがわかる。
1人当たりの旅行支出、最多はイギリスで38.3万円
1人当たりの平均旅行支出は22万7000円で、2019年比33.8%増、2023年比6.8%増となった。
国籍・地域別にみると、最も高かったのはイギリスで38万2829円、2位はオーストラリア(38万2311円)、ついでスペイン(37万714円)、 フランス(36万1321円)、イタリア(35万6521円)と続き、10位のシンガポールを除くと、トップ10には欧米豪が並んだ。
また、1人当たりの支出額に関して、費目別に詳細をみていくと、宿泊費に最もお金をかけているのは、イギリスで17万948円(全市場平均7万6842円)だった。なお、イギリスは、2019年と比較すると、平均宿泊日数が1.2泊増加して13.2泊だった。次に、飲食費が最も高いのはイタリアで8万4210円(平均4万8962円)。交通費は6万8266円のスペイン(平均2万4326円)、娯楽サービス費はオーストラリアの3万214円(平均1万898円)、買物代は中国で11万9373円(平均6万6165円)だった。中国1人当たりの旅行支出は27万7747円だったので、旅行支出の4割近くを買い物に費やしていることになる。
2024年10-12月期の消費額は2兆3108億円
なお、同時に発表された2024年10-12月期の訪日外国人旅行消費額は推計で2兆3108億円で、2023年同期比37.3%増、2019年同期比90.5%増となった。同年4-6月期の2兆1402億円を上回り、四半期として過去最高を更新した。
国・地域別の旅行消費額では、中国が最も多く、4373億円で全体の18.9%、2位は台湾で2970億円(構成比12.9%)、3位はアメリカ2683億円(同11.6%)、4位は韓国2639億円(同11.4%)、5位は香港1613億円(同7.0%だった)。
また、2024年第4四半期の1人当たりの旅行支出は2019年同期比28.0%増の23万7000円となった。国籍・地域別にみると、イギリス(40万9784円)、オーストラリア(39万9809円)、スペイン(37万6785円)の順で高い。2019年同期と比べて伸び率が高いのは、台湾(91.5%増)、アメリカ(77.3%増)、タイ(73.3%増)、マレーシア(71.1%増)などだった。
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