データインバウンド
2025年アジア太平洋の旅行トレンド予測 、食、エンタメ、クルーズに注目ーTrip.com
2025.03.06
やまとごころ編集部Trip.com Groupが、今後の旅行トレンドを見据えたレポート「Momentum 2025」を発表した。 アジア太平洋地域6市場の旅行者から得た洞察に基づき、旅行の未来を形作るトレンドを予測している。
調査期間は2024年12月11日~20日で、対象はシンガポール、マレーシア、タイ、日本、韓国、香港の6000人、全員が過去2年間にレジャーで海外旅行をしたことのある成人となっている。
(図版出典:Trip.com, MOMENTUM 2025 REPORT)
料理ツーリズム:食体験の進化
料理ツーリズムに関心を持つ層は増加傾向にある。2024年初頭以降、Trip.comユーザーの60%が食関連のコンテンツを検索しており、フードフェスティバル、ホテルでの食事、ストリートフードツアーの人気が高い。
地域別では、香港とシンガポールは特にストリートフードツアーに熱意を示し、日本と韓国の旅行者は利便性と豪華さが融合したホテルのダイニングを優先している。
2024年には、東京、パリ、バンコクといった都市が食のメッカとなり、その多様で活気ある食のシーンが高く評価されたが、2025年も引き続き、食の体験が旅行の主要な動機付けになると考えられる。
なお、2024年の上位検索キーワードは、 「nearby food(近くの食べ物)」「snack streets(食べ歩き通り)」「takeaway(持ち帰り)で、人気のレストラン・タイプには 「farm-to-table(農場から食卓へ)」「buffet(ビュッフェ)」「 barbecue(バーベキュー)」などが並ぶ。また、「fine dining(富裕層向け高級レストラン)」や「local specialities(地元の名物料理)」、さらには「Tokyo-street food(東京のストリートフード)」や「Singapore cuisine(シンガポール料理)」のような食と目的地の組み合わせの検索も目立って増えている。
スクリーンツーリズム:映画やテレビ番組が旅行を促す
映画やテレビが旅行先の選択に与える力はかつてないほど強く、旅行者の70%が、スクリーンで見たものに触発されて旅行を計画している。 特にロマンティック・コメディや冒険映画の影響が大きく、ミレニアル世代の72%がそのトレンドを牽引、また、65歳以上でも48%が影響されている。
地域別では、メディアコンテンツに最も影響されているのがマレーシア。旅行者の91%がエンタメ作品をきっかけに旅行計画を立てたと回答した。『エミリー、パリへ行く』『Jalan- Jalan Cari Makan(国内の料理番組)』『ランニングマン(韓国のリアリティ番組)』の3つを挙げる人が多く、特に韓国のKコンテンツの人気が高い。 『ミッション・インポッシブル』『ハリー・ポッター』などの洋画アクション映画も、人々の旅行意欲を刺激し続けているようだ。
次に多いのがタイで、82%が影響されたと回答。『マスターシェフ ~天才料理人バトル!』や『料理の鉄人』といった人気番組が、海外でのダイナミックな食体験を求める旅行者を刺激している。映画では『ハリー・ポッター』『タイタニック』などが挙がった。
香港と韓国では共に、66%が影響されたと回答。料理番組の『白と黒のスプーン~料理階級戦争~』や映画『ロード・オブ・ザ・リング』『ラ・ラ・ランド』といったタイトルが挙がった。
クルーズツーリズム:船旅で非日常を味わう
2025年には風光明媚な海の景色、新鮮な海の空気、多様な船内体験を原動力に、クルーズ旅行が大きく成長する。クルーズの人気目的地はアジアでは東京、京都、済州(チェジュ)島、モルディブ、世界ではベニス、シドニーが人気だ。
▶︎クルーズ目的地人気ランキング
調査によると、44%の旅行者が船上での食事を重視し、38%がオールインクルーシブ・パッケージに惹かれ、31%がライブショーやエンターテイメントを魅力に挙げる。
シンガポール人旅行者の間では、手頃な価格(57%)、美しい景色(52%)、オールインクルーシブ(51%)がクルーズ旅行の最大の魅力となっている。
香港では、55歳から64歳の回答者(62%)は、美しい海の景色と新鮮な海の空気を求めており、65歳以上の回答者(78%)は、船内のダイニング・オプションを最も重視している。注目すべきは、香港からのZ世代旅行者が東京へのクルーズ旅を好む(34%)ことだ。
エンタメツーリズム:コンサートやスポーツ観戦を楽しむ旅
2025年にはコンサートやスポーツイベントが旅行の主要な動機となり、エンターテインメント主導の旅行が急増する。 2024年にテイラー・スウィフトのErasツアーが世界的現象になったのは記憶に新しいが、回答者の約3分の2(66%)がライブ・イベントを中心に今後の旅行を計画している。 この傾向は地元だけにとどまらず、66%がすでにお気に入りのアーティストの公演を観に海外旅行をしており、コンサートが本格的な旅行体験となっているのがわかる。
2024年、スポーツ・ツーリズムはサッカーのUEFAユーロ2024のような大イベントが牽引していた。 2025年の現在も、サッカーがスポーツ観戦旅行のトップの選択であることに変わりはなく、僅差でバスケットボールと人気上昇中のF1が続いている。 熱狂的なファンは、これらのイベントに参加するだけでなく、試合日程やレース週末の合間に地元の名所やグルメスポットを探索するなど、補完的な体験を提供する旅行先を求めている。
2025年には、エンターテインメント旅行はさらに没入型になり、ファンは文化探索とライブイベントへの情熱を融合させるようになる。 このような需要の高まりは、より体験重視の旅行へのシフトを示唆している。
ソーシャルメディア主導の旅行計画
ソーシャルメディアのトレンドが旅行計画を立てる際に大きな役割を果たしている。 TikTokのようなプラットフォーム上のバイラル旅行コンテンツは、すでに旅行者の意思決定の45%に影響を与えていることがわかった。東京と京都はオンライン上の話題に基づいて最も訪問されたスポットとなっている。
また、ユーザーが「インスタ映え」する旅行先を求めているため、東京やバリなどの人気観光地はこのトレンドの恩恵をさらに受けるだろう。
▶︎SNSでバズったスポットは東京と京都
注目すべきマイクロトレンド
最後に、2025年のニッチでも大きく広がる可能性のあるマイクロトレンドを紹介しよう。アンケートでは、夜間の星空観察のために遠隔地への旅行を計画したり、 客室やレストランが水中にある水中ホテルに滞在したり、文化に浸るリトリート旅など、没入型の旅行体験が人気を集めた。
ユニークな体験を求める香港の旅行者には、星空観察旅行(36%)と水中ホテルステイ(35%)が人気だ。65歳以上では56%が星空観察ツアーに、ミレニアル世代では39%が水中ホテルステイに関心が高い。
18歳から34歳の若い日本人旅行者は、エコツーリズムやアドベンチャートラベル(50%)といったトレンドを好み、55歳以上の日本人旅行者は、豪華な隠れ家やウェルネス旅行(40%)に傾倒している。
マレーシアの旅行者は、水中ホテルステイ(43%)、星空観察旅行(35%)、普段なら行かないような場所や人里離れた場所でのグランピング(35%)、地元のファミリーとの文化体験滞在(35%)など、より体験的な旅行オプションに関心がある。
シンガポール人旅行者は、水中ホテルステイ(38%)と星空観察旅行(32%)に熱心で、女性の方が星空観察旅行(38%)を予約する傾向が強い。宇宙旅行も人気がある(23%)。
韓国の旅行者は、星空観察旅行、水中ホテルステイ、地元家庭での文化体験滞在など、没入型のアクティビティやユニークな体験を優先している。一方、かつて人気のあったボランティア・ツーリズムは下火のようだ。
ここまで見てきたように、「Momentum 2025」は、新しいインスピレーションとテクノロジーを活用し進化した旅のあり方を示している。これからは、より個人的で没入感のある体験によって旅は豊かになるといえるだろう。
最新のデータインバウンド
-
2025年2月の訪日客数325万8100人、2月初の300万人越え (2025.03.21)
-
観光デジタルマーケティング最前線、2024年の中国SNS「RED」のエンゲージメント・ランキングは? (2025.03.17)
-
旅行費用14%増でもレジャー旅行の人気は衰えず、アメリカ人の2025年春休み旅行先トップ10 (2025.03.13)
-
知る人ぞ知る日本の魅力! 外国人が見つけた隠れた名所ーBounce調査 (2025.03.10)
-
【宿泊統計】2024年12月外国人延べ宿泊者数1541万人泊。速報年間値は1億6360万人泊で19年比41.5%増に (2025.03.03)
-
中国SNS「Weibo」で最も効果的な発信をしているアカウントは? 2024年エンゲージメントランキング (2025.02.28)
-
2024年の日本人国内旅行消費額、過去最高の25兆円超え。宿泊旅行支出20兆円超で大きく伸びる (2025.02.25)
-
【訪日外国人数】2025年1月訪日客数前年比40.6%増の378万1200人、単月過去最高を30万人以上突破 (2025.02.20)
-
2025年春節の中国、海外旅行先は日本がトップ。家族旅行やドライブ旅行が人気 (2025.02.17)