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2025年1-3月インバウンド消費2.27兆円 中国が最多、2期連続2兆円超え

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観光庁が発表した、2025年第1四半期(1月-3月)の「インバウンド消費動向調査」(1次速報)によると、同期間の訪日外国人旅行者の総消費額(推計)は2兆2720億円に達し、前年同期(2024年1-3月期)と比較して28.4%の大幅な増加となった。

 

2024年10-12月期に続き、2期連続で2超円超え

以下のグラフは四半期ごとの旅行消費額の推移となっている。青い棒グラフで示されるように、今期は2024年10-12月期に続き、2期連続で2兆円を超えた。第1四半期としては過去最高の消費額を記録。なお、この期間中の訪日外国人数は1053万人と過去最高水準となったことが、消費額の押し上げ要因と考えらえる。

また、赤い折れ線グラフは、1人当たりの旅行支出額の推移を示しており、前期の23.6万円に比べると、わずかに減少している。

インバウンド消費額2025Q1-6

 

 

中国が最大の消費市場に、東アジア4市場で全体の6割近く

消費額を国籍・地域別に見ると、中国が5443億円(構成比24.0%)でトップに返り咲いた。前年同期比52.3%増と大幅な伸びを記録し、全体の消費額増加に大きく貢献した。

2位以下は、台湾3168億円(構成比13.9%)、韓国2824億円(同12.4%)、米国2188億円(同9.6%)、香港1534億円(同6.8%)と続く。上位5市場で全体の66.7%を占めており、市場の集中度は依然として高い。

インバウンド消費額2025Q1-1

特に東アジア4市場(中国・台湾・韓国・香港)だけで57%を占めており、日本のインバウンド消費が東アジアに強く依存している構造が改めて浮き彫りになった。

このような集中構造は、地理的な近さによる利便性が背景にある一方で、地政学的リスクや経済情勢の変動に左右されやすいという側面もある。

 

支出の内訳に大きな変化なし、宿泊・買物・飲食が中心

費目別の消費額構成比を見ると、宿泊費が33.4%と最も多く、次いで買物代(29.3%)、飲食費(22.5%)の順で多い。上位3費目が全体の約85%を占めており、支出構造には大きな変化が見られなかった。

インバウンド消費額2025Q1-2

宿泊費が全体の3分の1と比率が高い背景には、日本の宿泊料金水準や、オーストラリアなど長期滞在傾向のある旅行者層の影響があると考えられる。

また、買物代の比率が依然として高く、特に中国市場からの貢献が大きい点は、インバウンド観光における小売業の重要性を示している。なお、飲食費も主要な支出項目であり続けている。

インバウンド消費額2025Q1-3

 

1人当たり支出額緩やかに上昇、豪仏英国が高水準

2025年1-3月期における訪日外国人(一般客)1人当たりの旅行支出額は、推計22万1994円で前年同期比では5.2%増。総消費額の伸び(+28.4%)と比較すると1人当たり支出の増加は緩やかだった。これは前述のように、訪日客数の増加が総消費額の伸びを牽引したことを示唆している。

国籍・地域別に見ると、オセアニア(オーストラリアなど)や欧州からの旅行者の支出額は30万円を超える場合が多く、平均を大きく上回っている。

インバウンド消費額2025Q1-4

全国籍・地域の訪日外国人1人当たりの旅行支出を費目別で見ると、全目的(観光・レジャーに加え、業務や親族・知人の訪問目的で日本を訪れた外国人も含むもの)では、宿泊費が7万4370円、飲食費が5万138円、交通費が2万2301円、娯楽等サービス費が1万371円、買物代が6万4650円となっている。

宿泊費、飲食費、娯楽等サービス費はオーストラリア、交通費は英国、買物代は中国が最も大きい。

インバウンド消費額2025Q1-5

 

観光・レジャー客の滞在日数、フランスは16.7泊で最長

一方、観光・レジャー目的に絞った場合の旅行支出額は22万1285円。前年同期比で9.1%増となった。全目的と同様、宿泊費、飲食費、娯楽等サービス費はオーストラリアが最も大きかった。

また、観光・レジャー目的の旅行者の平均泊数(入国日と出国日から算出)は6.9泊。平均泊数が最も長かったのは、フランスの16.7泊、次いでイタリアの15泊となっている。最も短いのは韓国の3.7泊だった。

インバウンド消費額2025Q1-6

 

1人1泊辺りの支出額、最大の香港は4万円近くに

最後に、合計の旅行消費額トップ5の国籍・地域(韓国・台湾・香港・中国・米国)の、1人1泊当たりの旅行支出を見ていく。全目的での平均値は、2万4602円。観光・レジャー目的に限った平均は、3万1992円となった。

全目的では、トップ5の国籍・地域全ての支出額が平均を上回る結果となったが、観光・レジャー目的では、韓国と米国が平均を下回った。

トップ5の国籍・地域の中で、1泊当たりの支出額が最も高かったのは、全目的、観光レジャー目的共に香港で、全目的では、3万8892円、観光・レジャー目的では3万9853円となった。

インバウンド消費額2025Q1-7

訪日観光がもたらす経済波及効果は2倍の4.6兆円と推計

なお、観光庁の秡川長官は会見で、1-3月期のインバウンド消費額2.27兆円について、「訪日観光支出がもたらす経済効果は消費額の大体2倍くらいになる。1〜3月期の経済効果は4.6兆円程度と推測される」と話し、インバウンド観光が日本経済に与える貢献の大きさを改めて示した。
(図版出典:インバウンド消費動向調査2025年1-3月期)

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