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2025年中国人旅行トレンド 労働節に海外渡航急増、日本は安定の人気。中東関心高まる

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2025年労働節連休の中国人の旅行動向について、ドラゴン・トレイル・インターナショナルがレポートをまとめた。今年は、有給休暇を活用した長期滞在が増加し、渡航先も従来の人気の国、地域に加え、ビザの免除や緩和をした中東などの新興市場への関心が高まった。

中国国家移民管理局によると、5月1日から5日まで5日間の労働節休暇中、中国本土住民による国境通過は577万8000件に達し、前年同期比21.2%増となった。

以下に、主要なOTAや決済サービス各社が発表したトレンドを紹介する。

 

【Ctrip】近隣アジアは安定人気、クルーズ回復で日本が上位に浮上

Ctrip(携程旅行網、シートリップ)によると、海外旅行予約は前年比20%増となり、特に日本、韓国、タイ、マレーシア、シンガポール、アメリカ、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、イタリアが人気だった。クルーズの予約数は2019年を上回り、日本と韓国が上位を占めた。なお、この時期のクルーズ商品の多くは4月初旬までに完売していたという。

また、国内旅行では、家族旅行とドライブ旅行が人気を集め、ペット同伴可能なホテル予約が30%増加した。

 

【Mafengwo】多様な新興国が渡航先に、ビザ免除政策が後押し

Mafengwo(馬蜂窩、マーファンウォー)の発表したレポートでも、海外旅行の渡航先ランキングでは、日本、マレーシア、シンガポール、タイといった従来より人気のある国が上位を占めた。

一方で、渡航者数が著しく増加した国々は多様性に富んでいる。

急成長を遂げた渡航先トップ10は、ラオス、モロッコ、セルビア、ネパール、ウズベキスタン(+124%)、カザフスタン、サウジアラビア、カンボジア、アゼルバイジャン(+131%)、アルメニアで、ビザ免除政策が好影響を与えていることが示唆される。

 

【Qunar】若年層・高齢者の旅行需要が拡大、遠距離渡航先が急成長

Qunar(去哪儿旅行、チューナー)は、2025年のここまでの旅行総数が過去最高を記録したと報告。特に若年層(19~22歳、60%増)と高齢者層(60~80歳、40%増)で予約が増加した。年次休暇を利用して、連休を延長する旅行者が、前年比で30%増加した。

海外渡航先上位は、日本、タイ、韓国、マレーシア、インドネシア、シンガポール、ベトナム、オーストラリア、スペイン、フランスだった。一方、急成長した旅行先は以下の表の通り。特にカタールは700%増、コスタリカは650%増と驚異的な伸びを示し、ポーランド、チリ、ブルガリア、ケニア、モナコ、レバノン、ドイツ、ネパールがそれに続いた。

▶︎労働節に旅行者数の伸びが大きかった旅行先トップ10

中国人労働節旅行1

 

【Tongcheng】航空・ホテル価格の下落が旅行需要を後押し

Tongcheng(同程旅行、トンチョン・トラベル)によると、海外旅行の目的地上位10都市は、バンコク、マカオ、香港、東京、クアラルンプール、ソウル、シンガポール、アブダビ、ホーチミンシティ、ジャカルタだった。海外のホテルと航空券の価格が下落したことが旅行を促進したとみられている。

 

【Tuniu】長距離旅行はツアー主体、個人旅行は近距離に集中

Tuniu(途牛、トゥニウ)のレポートによると、海外への個人旅行が23%、団体旅行が18%増加しており、特に、ピーク時期を避けて旅行期間を長く取る傾向が見られる。近距離では日本、タイ、モルディブ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国、スリランカ、ベトナム、カンボジア、長距離ではUAE、トルコ、オーストラリア、ニュージーランド、ロシア、アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン、エジプト、モロッコが人気だった。

近距離の海外旅行者の間では個人旅行と団体旅行の両方が人気があったが、長距離旅行者の85%はツアーに参加している。表は労働節連休で人気だったツアー商品のトップ5。内訳は、近距離では日本(7日間:東京、富士山、京都、奈良、大阪)、シンガポール(5日間)、バンコクとパタヤ(6日間)、マレーシア(5日間)、スリランカ(6日間)が上位を占めた。一方、長距離ではトルコ(10日間)、セルビア・モンテネグロ・ボスニア(10日間)、ジョージア・アゼルバイジャン・アルメニア(11日間)、スペイン・ポルトガル(12日間)、オーストリア・チェコ・ハンガリー(12日間)が人気を集めた。

▶︎労働節休暇の人気ツアー商品トップ5(近距離、長距離別)中国人労働節旅行2

 

決済データに見る消費傾向、スイス・韓国で高支出

WeChat PayとAlipayのデータからは、中国人観光客が海外でも使い慣れたデジタルツールを利用する傾向が明らかになった。今年は、中国本土ユーザーによる海外でのWeChat Payの取引が37%増加した。Alipayの支出額では、香港、日本、マカオ、韓国、タイ、マレーシア、シンガポール、フランス、カナダ、イタリアでの 支払いが上位を占め、スイスは一人当たりの消費額が最も高かった。また、韓国では美容整形手術の人気により、旅行者の平均支払額が100米ドルを超えた。

2025年の中国労働節連休は、ピークを避けた長期休暇の傾向が見られ、海外旅行者数が全体的に増加した。日本を含む近隣アジアは依然として人気が高く、ビザ免除政策などが後押しとなり、新たな目的地への関心も高まっている。旅行会社は次なる夏休みシーズンの旅行需要にも期待を寄せている。
(出典:Dragon Trail International, China’s 2025 May Holiday Travel News Roundup

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