データインバウンド
2025年6月の訪日宿泊1412万泊、地方がけん引 福島・鳥取など高成長
2025.09.01
やまとごころ編集部観光庁が2025年6月の宿泊旅行統計調査(第2次速報)を発表した。
それによると、6月の全体の延べ宿泊者数は4945万人泊で、前年同月比2.4%減となった。これは3月以来、3カ月ぶりの減少である。この背景には、日本人延べ宿泊者数が3533万人泊(同5.1%減)と減少したことがある。5月に多かった旅行需要の反動や、夏休み前の閑散期が影響したとみられる。
一方、外国人延べ宿泊者数は1412万人泊(同5.3%増)で、5月までの勢いはないものの堅調に増加、全体の28.5%を占めた。アジアや欧米市場からの安定した需要が続いている。


インバウンド宿泊者数トップは東京都、大阪府は減少
都道府県別でみると、東京都が511万3470人泊で最多。次いで大阪府(202万1880人泊)、京都府(155万6230人泊)、北海道(77万9760人泊)、沖縄県(77万9200人泊)が続いた。

三大都市圏(※1)の外国人宿泊者数は1001万人泊で前年同期比3.3%増だったのに対し、地方部は411万人泊で10.6%増と、成長率で上回った。
▶︎都道府県別外国人延べ宿泊者数(2025年6月[第2次速報])と前年同月比

※前年同月比は、確定値との比較。なお、福島県、新潟県、佐賀県、沖縄県は標準誤差率が20%を超えており留意が必要。
外国人宿泊者数の伸び率トップは福島、鳥取も好調を維持
6月の外国人宿泊者数を都道府県別にみると、福島県が3万9060人泊で前年同月比86.9%増と最も高い伸び率を記録した。次いで、5月に1、2位だった鳥取県(75.7%増)、三重県(69.2%増)、さらに奈良県(65.3%増)、新潟県(58.2%増)と、地方部での高成長が目立った。一方、滋賀県(25.8%減)、高知県(20.1%減)、長野県(13.4%減)など、11県がマイナスに転じた。
なお、福島県の6月の外国人宿泊者数3万9060人泊のうち、約1万1000人泊が台湾からと突出しているが、昨年1月からの台湾との定期チャーター便の運航開始以来、台湾人宿泊者が3割〜7割を占めている。これは、地方空港の国際線がインバウンド回復の鍵となる好事例と言えるだろう。

中国・米国が宿泊市場を牽引、香港はSNS影響で低迷
国籍別では、中国が266万人泊(7.8%増)で3カ月連続でトップ、次いでアメリカ(184万人泊、21.4%増)、台湾(160万人泊、2.5%減)、韓国(142万人泊、1.8%減)、香港(40万人泊、41.5%減)と続く。大規模市場のアメリカに加え、ロシア(6万人泊、154.0%増)、インド(16万人泊、76.0%増)、ドイツ(18万人泊、72.2%増)などが大きな伸びを示した。
一方、トップ5の香港、台湾、韓国はマイナス成長となった。特に香港は、日本での地震に関するSNS上の情報の影響などもあり、前年同月比41.5%減と大きく落ち込んだ。
▶︎国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数(2025年6月[第2次速報])

※1 )三大都市圏とは、「東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫」の8都府県を、地方部とは、三大都市圏以外の道県をいう。
【編集部コメント】
6月宿泊統計、国内需要減少もインバウンドが下支え
6月の宿泊統計では、国内宿泊需要が減少する一方で、外国人宿泊が堅調に増加し全体を下支えする結果となった。特に地方部は前年同月比10.6%増と、都市圏を上回る成長を示している。福島県や鳥取県など、チャーター便や新たな国際線就航を契機とした伸びは、地方空港を活用したインバウンド誘致の有効性を示す好例である。今後は市場の多様化を踏まえ、自地域に合ったターゲット国を定めた戦略が一層重要になるだろう。
(出典:観光庁 宿泊旅行統計調査 2025年6月・第2次速報、7月・第1次速報)
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