データインバウンド
2026年の訪日旅行の新トレンド 地方都市に脚光、徳島742%増・旭川476%増も ーSkyscanner調査
2025.11.05
やまとごころ編集部Skyscannerは、検索・予約データと世界2万2000人を対象とした調査結果をもとに、2026年の旅行トレンドをまとめた「Horizons 2026」を発表した。調査によると、円安や多様な観光資源を背景に、日本は引き続きアジア太平洋地域で高い人気を維持。加えて、徳島や旭川などの地方都市が前年比数百%の検索増を記録するなど、訪日旅行先の関心が大都市から地方へと広がる傾向が鮮明となった。ここでは、日本が世界の旅行者の間でどのように注目されているかに焦点を当てながら、解説していく。
東京・大阪・福岡がAPAC人気トップ10入り、都市+文化観光に根強い支持
同調査のAPAC(アジア太平洋)旅行者に「最も人気のある目的地」では、東京・大阪・福岡が引き続き高い需要を集めていると報告されている。
その背景として、「円安が訪日旅行のコストを相対的に低くした」「食・伝統・アニメ・ポップカルチャーといった幅広い魅力がある」「国内旅行も堅調に推移しており、旅行体験全体としての質が上がっている」といった要因が挙げられている。このように、日本の「都市+文化」型観光が、APAC圏の旅行者にとって改めて魅力的な選択肢となっている。
▶︎APAC(アジア太平洋)旅行者に最も人気のある目的地
※項目は左から、平均予約リードタイム(日数)/平均旅行日数(日数)
徳島が前年比742%増で急浮上、“つながり”を求める旅志向が背景に
さらに注目すべきは、APAC旅行者の間で、よりディープな日本体験への関心が高まっている点だ。
調査によると、徳島が前年比742%増という大幅な伸びを記録し、APAC旅行者の検索増加率ランキングで2位にランクインした。これは、有名観光地から地方・第二都市への関心のシフトを示すものであり、文化的背景や地域の独自性を重視する旅行志向の表れといえる。旅行者の目的が「観光」から「つながり」や「意義ある体験」へと変化している現在、徳島のような地域にとっては大きな追い風となる。
▶︎APAC旅行者の間で注目度が高まっている目的地
※項目は左から、平均予約リードタイム(日数)/平均旅行日数(日数)/前年比注目度上昇率

東京は北中南米市場で検索数15%増、平均滞在12日で最長
AMER(北中南米)からの旅行者についても、特筆すべきデータがある。調査では、東京への検索が前年比15%増となっており、長距離旅行への意欲の高まりがうかがえる。
この伸びの背景には、円安による費用面でのメリットに加え、南北アメリカ大陸の旅行者が、長距離旅行に対してより積極的に計画・投資を行うようになっている傾向があるとされている。
▶︎AMER(北中南米)旅行者に最も人気のある目的地
※項目は左から、平均予約リードタイム(日数)/平均旅行日数(日数)
さらに、Skyscannerの渡航データによれば、東京はAMER旅行者の人気旅行先の中でも「最も計画的に準備される目的地」であり、平均リードタイムは96日で調査対象都市の中で最長を記録している。加えて、平均旅行日数も12日と最長であり、旅行者が十分な準備期間を経て、長期滞在を前提とした旅を計画していることがわかる。
「地域らしさ」求める旅へ 中規模・地方都市が新たな選択肢に
調査では、「主要都市だけでなく、第二・第三都市や文化・自然に根ざした目的地」への関心が増加傾向にあるとされている。日本においても、前項で挙げた都市以外の「地方・中規模都市」のポテンシャルが今後さらに注目される可能性がある。
これは、都市部の混雑や価格高騰を避け、より“深い体験”や“地域らしさ”を求める旅行者の志向が反映された動きといえる。
訪日客の地方都市への関心増加、前年比の検索伸び率は最大476%増
実際に、Skyscanner Japan株式会社の発表によると、2026年の旅行トレンドとして、海外からの日本旅行において“定番都市”から“地方都市”への関心が急激に高まっていることが明らかになった。
検索データ(2024年6月1日〜2025年5月30日/前年同期比)を分析した結果、地方都市への検索数が複数国で200%を超える伸びを示している。
例えば、韓国からの検索では旭川市が前年比476%増と最も大きな伸びを記録した。旭川は、日本で最も早く紅葉が見られる大雪山国立公園の玄関口として知られ、夏の避暑地としての魅力や四季折々の自然体験が注目されている。加えて、2024年12月には韓国からの直行便が就航し、アクセス向上も需要を後押ししている。
フランスからの検索では宮古島市が257%増加。透き通る海と白砂のビーチが魅力の宮古島は、都市部とは異なる熱帯リゾート体験を求めるフランス人旅行者のニーズに合致したと考えられる。
イギリスからの検索では高知市が206%増。高知は、桜の名所や郷土料理、歴史的な城下町の雰囲気などを楽しめる地域であり、都市の喧騒から離れた“ありのままの日本”を体験したい層からの支持を集めている。
その他にも、スイスやドイツからの沖縄県への検索がそれぞれ199%増、175%増と、山岳自然や離島、地域文化への関心の高まりが鮮明となっている。

調査では、地方都市志向の背景として「リラックスできる自然環境に身を置く」「その土地ならではの文化・暮らしを体感する」といった目的が挙げられている。この傾向は、旅行者が“せわしない都市観光”ではなく、個人の価値観に合った、ゆったりとした旅を求めていることを意味する。また、ローカルツアーなど“地域に根ざした旅”の需要も増加している。
地方シフトの中でも定番都市は健在 広島156%増、東京63%増
一方で、東京や広島といった従来型の人気観光地も引き続き海外旅行者から高い関心を集めている。例えば、オーストラリアから広島への検索数が前年比156%増、メキシコから東京への検索が63%増となっている。
“地方シフト”が進むものの、即座に“定番都市離れ”が起きているわけではなく、旅行者の興味が“定番+新興”へ広がっていることがわかる。
【編集部コメント】
訪日旅行者の選択肢が拡大中 “地域らしさ”が検索される理由に
旭川や高知などの地方都市が、訪日旅行者の検索急増ランキングで上位に入った背景には、「深い体験」「地域らしさ」を求める旅行志向の変化がある。特にAPACや欧米からの旅行者にとって、地方都市は混雑や高価格を避けつつ、文化的・自然的魅力に触れられる“新しい選択肢”となっている。
一方で、東京や広島など定番都市も依然として高い関心を集めている。主要都市に加え、地方都市も選ばれる時代。地域の魅力をどう言語化・可視化するかが、これからのプロモーション戦略の鍵となりそうだ。
(出典:Skyscanner, Horizons 2025-2026 Top trending destinations)
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