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2025年1月〜9月の国際観光客数 11億人を突破、前年同期比5%増 ― UN Tourism

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2025年1月〜9月の国際観光客数が11億人を突破した。UN Tourism(国連世界観光機関)が発表した最新の「世界観光指標(World Tourism Barometer)」によるもので、前年同期比では約5000万人・5%の増加、コロナ前の2019年比でも3%の増となる。

観光サービスにおける高インフレや地政学的緊張が続くなか、旅行需要が年間を通じて堅調に推移していることを示す結果となった。

 

地域別動向、アフリカが10%増と全地域で最高の伸び

2025年1月〜9月における国際観光を地域別およびサブ地域別に見ていく。

ヨーロッパ

世界最大の観光地域であるヨーロッパは、2025年1月〜9月に6億2500万人の国際観光客を受け入れ、前年同期比で4%増となった。サブ地域別では、西ヨーロッパ(+5%)と南地中海ヨーロッパ(+3%)が堅調な実績を示し、北ヨーロッパ(-1%)はやや停滞気味だった。中央および東ヨーロッパは、依然として2019年水準を11%下回っているものの、8%増と力強い回復を続けている。

アジア太平洋
2024年同期比で8%増加し、コロナ前の水準の90%に達するなど、引き続き回復傾向にある。北東アジアは2024年比で17%増と際立っているが、依然として2019年水準を12%下回っている。

北中南米
この期間に2%の成長を記録した。第1四半期と第2四半期で3%の増加があったものの、第3四半期はわずかに減少(-1%)した。サブ地域間の結果にはばらつきが見られる。南アメリカ(+9%)が、第3四半期が横ばいだったにもかかわらず、最も高い実績を達成した。一方、北アメリカ(-1%)は、アメリカとカナダでのわずかな減少が響き、低調な結果となった。中央アメリカへの到着数は9月までに3%増加、カリブ海地域(+1%)は比較的穏やかな成長だった。

アフリカ
9月までの到着数が10%増加と、すべての地域で最も高い増加率を示した。北アフリカ(+11%)とサハラ以南のアフリカ(+10%)はいずれも二桁の成長を記録している。

中東
2024年同期比で2%増加した。これは2019年と比較して到着数が33%多く、パンデミック前の年との比較で最も力強い地域別結果となっている。

 

デスティネーション別、ブラジルが45%増で成長を牽引、日本も18%増

2025年1月〜9月で最も高い成長率を記録したデスティネーションは、2024年比45%増のブラジルだった。さらに、ベトナムとエジプト(共に+21%)、エチオピアと日本(共に+18%)、南アフリカ(+17%増)、スリランカとモンゴル(共に+16%)、モロッコ(+14%)と続く。これらのデスティネーションはすべて、すでに2019年の水準を上回っている。

 

旅行収支も堅調、日本・エジプトなどで観光収入が大幅増

国際観光収入
月次データによると、いくつかのデスティネーションでは、観光客による支出が堅調に推移している。この9カ月間の収入の伸びで最も実績が良かった国々は、日本(+21%)、ニカラグア(+19%)、エジプト(+18%)、モンゴルとモロッコ(共に+15%)、ラトビア(+13%)、ブラジル(+12%)、フランス(+9%)だった。

国際観光支出
国際観光支出では、アメリカ(8月まで+7%)、フランス(+5%)、ドイツとイタリア(共に+4%)といった大規模なアウトバウンド市場に加え、スペイン(8月まで+15%)、韓国(+7%)からも堅調な支出が見られる。

 

観光は想定内の成長、下振れリスクも依然継続

UN Tourismのズラブ・ポロリカシュヴィリ事務総長は、今回の結果を受け、「国際観光は、観光サービスにおける高いインフレや地政学的な緊張にもかかわらず、2025年に入ってから、到着数だけでなく、最も重要な収入面でも持続的な成長を続けている。特にアフリカとヨーロッパはその結果が際立っている」と述べた。

UN Tourismが2025年初頭に発表した予測では、年間の国際観光客数は3〜5%の増加と見込まれており、今回の1〜9月の結果はこの予測と一致する。ただし、高い旅行価格や地政学的リスクは引き続き下振れ要因として警戒が必要とされている。

 

【編集部コメント】

「回復」から「成長」へ──新興市場に光るポテンシャルをどう捉えるか

国際観光は2025年に入っても堅調で、1〜9月の訪問者数は11億人を突破。特にアフリカ(+10%)や南アメリカ(+9%)の成長が目立ち、ブラジル(+45%)やエチオピア、日本(ともに+18%)なども大幅に伸長している。旅行価格の上昇や地政学リスクが続くなかでも、需要が安定していることを裏付ける結果である。観光事業者にとっては、従来の主要市場に加えて、新興・回復市場への対応を強化する好機となるだろう。
(出典:UN Tourism, International Tourist Arrivals up 5% in the First Nine Months of 2025)

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