データインバウンド
2025年の世界観光客数は15.2億人、世界的に回復。欧州中東などで高い成長 ーUN Tourism
2026.01.27
やまとごころ編集部UN Tourism(国連世界観光機関)が発表した最新の「世界観光指標(World Tourism Barometer)」によると、2025年の国際観光客到着数(宿泊客)は推定15億2000万人に達した。これは前年比で約4%の増加(約6000万人増)となり、2019年比でも5%上回る水準だ。世界の国際観光はパンデミックからの完全回復を果たし、安定した成長局面へと移行していることが鮮明になった。
アジア太平洋の回復と中東の急伸
それでは、地域別の動向を見ていこう。
ヨーロッパ
世界最大の観光地域であるヨーロッパは、2025年に7億9300万人の国際観光客を迎え、2024年比で4%増、2019年比では6%増となった。西欧(+5%)と南欧・地中海欧州(+3%)が堅調に推移したほか、中・東欧も6%増と力強い回復を見せた。ただし、中・東欧は依然として2019年の水準を9%下回っている。
アジア太平洋
回復基調が続き、2025年の到着数は前年比6%増の3億3100万人に達した、ただし、2019年比では依然として9%下回っている。北東アジアが2024年比で13%増と成長をリード、南アジアはパンデミック前の水準を回復。完全回復に向けた最終段階にある。
北中南米
国際観光客到着数は2億1800万人で、前年比1%増の成長となった。2025年上半期は好調に推移したものの、第3・第4四半期には米国市場の伸び悩みが影響し、全体としては小幅な減少が見られた。サブリージョン別では南米(+7%)と中米(+5%)が成長をけん引。一方、カリブ海諸国(+0%)の一部は、年末に発生したハリケーン「メリッサ」の影響が出た。
アフリカ
国際観光客到着数は8100万人で、前年比8%増を記録。特に北アフリカ(+11%)の好調ぶりが目立った。
中東
2025年は3%の成長を記録し、2019年比では39%増という高い水準を維持。国際観光客数は1億人に迫っており、世界で最も回復が進んだ地域の一つとなっている。
日本のインバウンドも世界的な回復をけん引
目的地別に見ても、2025年は多くの国・地域で好調な動きが確認された。通年のデータがある国では、ブラジル(+37%)、エジプト(+20%)、モロッコ(+14%)、セーシェル(+13%)などが2桁成長を達成。また、11月までのデータでは、ブータン(+30%)、アイスランド(+29%)、ガイアナ(+24%)、南アフリカ(+19%)、日本(+17%)も力強い伸びを示している。
こうした回復傾向は、他の観光関連指標にも表れている。UN Tourismデータダッシュボードによると、2025年10月までの国際航空便の座席供給量(キャパシティ)と旅客数はいずれも前年比7%増(IATAデータ)。また、2025年11月の世界の宿泊施設稼働率は66%となり、2024年11月の同水準を維持した(STRデータ)。
2025年の観光輸出収入は過去最高の2.2兆ドル規模に
国際観光収入
月次データを見ると、2025年を通じて旅行者の支出は堅調に推移した。世界の国際観光収入は前年比5%増の約1.9兆ドルに達し、運賃収入などを含む観光による輸出総収入は、2025年に推定2.2兆ドルに達する見込みだ。
現地通貨ベースで収入の伸びが大きかった国は、モロッコ(+19%)、韓国(+18%)、エジプト(+17%)、モンゴル(+15%)、日本(+14%)、ラトビア(+11%)、モーリシャス(+10%)。また、主要な観光収入国であるイギリスとフランス(ともに+9%)、スペイン(+7%)、トルコ(+6%)も安定した成長を見せた。
国際観光支出
観光支出額の面でも強い需要が続いており、特にアメリカ(+8%)、フランス(+4%)、スペイン(+16%)、韓国(+10%)といった主要市場で顕著だった。
2026年の展望:成長の正常化と大型イベント効果に期待
UN Tourismは、2026年の国際観光客数が2025年比で3%〜4%成長すると予測している。過去数年に見られた急激な回復局面を経て、今後はより緩やかで持続的な成長へと移行していく見通しだ。
専門家パネル調査では、約58%が「2026年は2025年よりも良い年になる」と回答しており、観光市場に対するポジティブな見方が広がっている。
2026年には、イタリアで開催されるミラノ・コルティナ冬季五輪や、北米3カ国共催のFIFAワールドカップといった大型国際イベントも予定されており、世界的な人の流れをさらに後押しする要因となりそうだ。
一方で、地政学的リスクの継続、高止まりする旅行費用、航空路線の供給制約といった不確実性も残る。今後の観光市場は、単なる「数の回復」から、持続可能性と質的成長を重視するフェーズへと本格的に移行していくことになりそうだ。
【編集部コメント】
国際観光、完全回復で新局面へ
2025年の国際観光客数は15.2億人と、ついにパンデミック前を上回る水準に達した。中東の急伸、アジア太平洋の着実な回復といった地域別の動きに加え、国際観光収入や航空旅客数も堅調である。観光はもはや回復局面を終え、持続的成長と質的転換を志向する段階に入った。こうした変化は、異業種企業にとってもソリューション提供の可能性を広げる。たとえば、混雑緩和、高付加価値化、地域分散などの分野において、自社の強みが観光産業と交わる接点を見いだすチャンスといえる。市場の構造変化にどう応えるか、戦略的な視点が求められる時期である。
(出典:International tourist arrivals up 4% in 2025 )
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