データインバウンド
2025年12月訪日宿泊は1547万人泊、島根や三重で好調。年間速報値1億7787万人泊で過去最高を更新
2026.03.02
やまとごころ編集部2025年12月の訪日外国人延べ宿泊者数は、1547万人泊(前年同月比2.3%減)となり、11月に続きマイナスとなった。延べ宿泊者全体は5359万人泊(同4.2%減)で、年末需要期ながら減少幅が拡大した。外国人宿泊者の構成比は28.9%と高水準を維持している。
なお、観光庁は2025年1〜12月の年間値(速報値)も公表した。それによると、外国人延べ宿泊者数は1億7787万人泊(同8.2%増)で過去最多を更新。日本人延べ宿泊者数が4億7561万人泊(同3.8%減)で、合計した延べ宿泊者数(全体)は6億5348万人泊(前年比0.8%減)となった。なお、延べ宿泊者全体に占める外国人宿泊者の割合は27.2%で、2024年(25.2%)から上昇。全体では微減となったものの、前年同様、日本人の減少を外国人の増加が一定程度補う構図が続いている。
インバウンド減速で年末需要も前年割れ
宿泊者数全体では、前年同月比4.2%減の5359万人泊だった。このうち日本人延べ宿泊者数は3812万人泊(同4.9%減)と減少幅が拡大。外国人延べ宿泊者数は1547万人泊(同2.3%減)で、前月(11月:同3.7%減)に続くマイナスとなった。これまで日本人宿泊者数の減少を補ってきたインバウンド需要も、12月は下支えとはならなかった。
なお、最新の2026年1月(第1次速報)では、全体で前年同月比5.3%減の4628万人泊と、減少幅がさらに拡大。外国人延べ宿泊者数も1320万人泊(同12.9%減)と大幅な落ち込みを示しており、年明け以降のインバウンド動向には一層の注視が必要だ。


三大都市圏減少続く一方、地方部は2.8%増と堅調維持
地域別に見ると、三大都市圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県)の外国人延べ宿泊者数は1000万人泊で、前年同月比4.9%減となった。構成比も前年の66.4%から64.6%へと低下し、都市部の比重はやや縮小している。
一方、地方部は547万人泊で前年同月比2.8%増と増加に転じた。構成比は35.4%と2024年12月(33.6%)から拡大しており、三大都市圏からのシフトが進んでいる様子がうかがえる。
都市部では宿泊費の高止まりや観光地の混雑感が継続しているほか、一部市場での訪日需要の伸び悩みも影響している可能性がある。他方、地方空港路線の拡充や広域観光ルートの整備などを背景に、地方部での滞在が増加しているとみられる。年末需要期においても、訪日客の行動は分散傾向を強めているといえる。

都道府県別では大阪・沖縄で減少幅大きく、北海道は2桁増と好調
都道府県別の外国人延べ宿泊者数では、1位の東京都が541万8460人泊(前年同月比1.1%減)、2位の大阪府が188万9840人泊(同17.6%減)となった。特に大阪府は2桁減と落ち込みが大きく、都市部の主力エリアで明暗が分かれる結果となった。
3位の京都府は139万6920人泊(同3.9%減)と減少、4位の北海道は174万7520人泊(同14.1%増)と大きく伸長した。5位の福岡県は74万3120人泊(同0.2%減)でほぼ横ばい。一方、沖縄県は46万9530人泊(同26.1%減)と大幅減となり、リゾート地の不振が目立つ。
国籍別では中国が前年同月比36.4%減と大きく減少。東アジア市場の変動が都市部やリゾート地に影響しているとみられおり、都市部における宿泊者数減少と地方分散が進んでいる。


地方部で伸び率上位が続出、島根で100%超増
主要都市が減少傾向となる一方、地方部では外国人延べ宿泊者数の伸びが目立つ。伸び率上位を見ると、1位は島根県(前年同月比100.9%増)、2位は三重県(同66.7%増)、3位は福井県(同52.7%増)と、50%超の高い伸びを示した。
続いて、4位の福島県(同43.8%増)、5位の山形県(同41.8%増)、6位の愛媛県(同39.5%増)、7位の鳥取県(同38.0%増)、8位の新潟県(同36.1%増)、9位の山口県(同35.6%増)、10位の宮城県(同33.7%増)と続く。東北や山陰・瀬戸内エリアなど、従来は訪日客の宿泊シェアが相対的に小さかった地域で高い伸び率が見られた。
特に東北各県では、冬季シーズンに向けた広域観光ルートの整備や、スキー・スノーアクティビティ需要の取り込みが奏功している可能性がある。また、山陰や北陸などでも、地方空港の国際線活用や周遊型観光の促進により、都市部以外への分散が進んでいるとみられる。
三大都市圏で減少が見られるなか、地方部での伸びが全体の下支え要因となっており、インバウンドの裾野拡大という観点では、地方誘客施策の成果が具体的な数値として表れ始めているといえる。

中国36%減、欧米豪は堅調維持
国・地域別の外国人延べ宿泊者数を見ると、1位は韓国で190万180人泊(前年同月比8.5%増)、2位は台湾で187万3310人泊(同18.5%増)、3位は中国で155万5610人泊(同36.4%減)となった。続いて4位がアメリカ132万3310人泊(同10.4%増)、5位がシンガポール88万840人泊(同1.1%減)である。上位5カ国・地域で全体の56.0%を占める構成となった。
▶︎国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数(2025年12月[第2次速報])
![国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数(2025年12月[第2次速報])](https://yamatogokoro.jp/inbound/wp-content/uploads/2026/02/0defe8ac2d79b44d3353bf3de3f32e36-942x1024.jpg)
中国は前年同月比36.4%減と大幅なマイナスとなり、上位国の中で減少幅が最も大きい。一方で、韓国・台湾は2桁増を含む堅調な伸びを示し、東アジア内でも市場ごとの動向に差が見られる。
東南アジアでは、タイ62万3070人泊(同16.1%増)、マレーシア35万9880人泊(同20.9%増)、フィリピン33万2240人泊(同18.1%増)などが増加。シンガポールは微減となったものの、総じて底堅い動きだ。
欧米豪市場も好調を維持している。イタリア11万6810人泊(同50.0%増)、ドイツ11万3510人泊(同41.6%増)、フランス12万6490人泊(同36.2%増)、と欧州各国が高い伸びを示した。ロシアは5万7510人泊(104.9%増)と倍増超の伸びとなった。北米ではアメリカ(同10.4%増)に加え、カナダ21万8870人泊(24.4%増)と増勢が続く。
地域別構成比では、アジアが58.9%(うち東アジア48.2%、東南アジア9.7%)、北米13.2%、欧州8.7%。アジア市場が引き続き宿泊需要の中心である一方、中国が大幅減となっており、韓国・台湾や欧米豪の増加が補完する形となっている。
【編集部コメント】
いま進む分散傾向、地域戦略は対応できているか
今回の注目は、2025年の年間値で外国人延べ宿泊者数が過去最多を更新する一方、足元では減速感が強まっている点だ。三大都市圏の減少と地方部の2.8%増という対照的な動きは、分散化の進展を示唆する。とりわけ島根や三重の高い伸び率は、広域連携や季節資源の磨き上げが成果につながる可能性を示しているだろう。自地域のポジションを、都市依存からの転換という視点で見直してみてもよいかもしれない。
(出典:観光庁、宿泊旅行統計調査2025年12月・第2次速報)
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