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2026年春節、中国で5.96億人が国内旅行。消費額過去最高 訪日市場は減少

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2026年春節(2月15日〜23日)の中国国内旅行者数は延べ5億9600万人に達し、消費額も過去最高を更新した。9連休という大型日程を背景に国内需要が大きく拡大した形だ。一方、海外旅行は目的地によって回復度合いに差が生じ、日本を含む東アジア市場では明暗が分かれる結果となった。

 

国内旅行5.96億人、文化回帰と体験消費が拡大

中国文化観光部によると、春節期間中の国内出遊者数(国内延べ旅行者数)は5億9600万人で、2025年(8日間)と比べ約0.95億人増、約19増となった%。国内旅行消費額は8034億8300万元(約17兆2748億円)で、前年比約18.7%増と、いずれも過去最高を更新した。

2026年春節

9連休という日程要因に加え、近年続く伝統文化再評価の流れ、いわゆる「新中式」ブームが地方都市への関心を高めた。各地の年中行事や無形文化遺産イベント(伝統的な演目や少数民族の踊りなど)がSNSで拡散され、若年層を中心に地方都市への旅行需要が拡大したという

今回の春節で特筆すべきは、こうした文化回帰が「デジタル技術」や「エンターテインメント」と融合し、消費の質を一段引き上げた点だ。全国の博物館や美術館では、AIやプロジェクションマッピングを駆使した没入型の展示が相次ぎ、「博物館で年越し」といったイベントも注目された。また、ヒット映画やドラマのロケ地を巡る「聖地巡礼」型の観光も活発化した。

 

海外市場は二極化、タイ・韓国回復、日本減少

一方で、海外旅行は一様な回復とはならなかった。

この春節期間に最も中国人の入国者数が多かったのはタイだった。シンガポールに拠点を置く観光マーケティング・テクノロジー企業チャイナ・トレーディング・デスクのレポートによると、タイは、中タイ相互ビザ免除措置を追い風に、春節期間中に約25万人の中国人旅行者を受け入れたという、これは前年比約3割増に相当し、航空便の回復と価格安定が下支えし、東南アジアの中では存在感を維持した。

韓国もタイに並ぶ約25万人(前年比52%増)を受け入れ、日本を上回ったとされる。中韓路線の航空便は2019年比で約97%まで回復している一方、日本路線は同58%にとどまっており、供給面の差が影響した。ウォン安も追い風となり、ソウルや釜山でのショッピング、美容関連消費が伸長した。春節期間中の中国人による韓国での消費総額は3.19億ドル以上に達し、主要目的地の中でトップだったとの現地報道もある。

対照的に、2025年の春節の渡航先では1位だった日本は減少傾向が伝えられている。複数の情報によれば、春節期間中の訪日中国人旅行者数は前年の約26万人規模から大幅に減少し、半減に近い水準となった可能性がある。日中関係の緊張や航空供給の減少が、旅行心理に影響したとの指摘も出ている。民間シンクタンクは、中国人訪日客の減少が日本のGDPを最大0.3%台押し下げる可能性があると試算しているとも報じられている。

2026年春節

 

欧州・ロシアなど長距離市場が拡大

また、複数の中国OTAのレポートによると、長距離市場で欧州方面が存在感を強めた。ミラノ・コルティナ冬季五輪開催を背景にイタリアへの関心が高まり、現地でレンタカーを利用する個人旅行も増えたと報じられている。さらに、ビザ緩和が進むロシアや中央アジア諸国、オーロラ鑑賞を目的とする北欧も好調とされている。海外旅行先は、従来の東アジア・東南アジア中心から、より広範囲へと広がりつつある。価格や距離だけでなく、国際イベントや自然体験など、明確な目的を持った旅行が増えている。

 

【編集部コメント】

春節5.96億人移動が示す「目的型旅行」への転換

今回の注目は、春節の中国国内移動5.96億人、消費額過去最高という規模拡大と同時に、海外市場で明暗が鮮明になった点だ。日本の減少は一過性か、それとも構造変化の兆しか。中国人旅行者の選択基準が「近さ」や「価格」から「目的」へ移る中、量の回復を前提としない視点が欠かせない局面に入っている。

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