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★医療ツーリズム受け入れ、愛知・大阪で推進の兆し

2018.02.28

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訪日客の増加に伴い、医療機関での健診や治療を目的とした「医療ツーリズム」が近年話題となっている。アジアにはタイやシンガポールなど「医療ツーリズム先進国」と呼ばれる国々が存在するが、日本では2009年頃から推進に向けた取り組みが進められている。

現在は中国からの富裕層がメインターゲットとなっているが、彼らが日本で医療を受ける理由として「待ち時間の短縮」や「医療の信頼度」が挙げられる。受け入れる側の日本の医療現場は今後、少子高齢化により診療よりも介護への需要が増え、日本人患者だけでは病院の経営が困難になっていく可能性もあり、実費で診療費を払う外国人患者が増えることで収入を確保でき、医師が経験を積む機会にもなるというメリットがある。一方で医療通訳者不足や、トラブル発生時の対処法などの課題を解消していく必要もある。

愛知県は、2016年度に医療機関とタッグを組み「あいち医療ツーリズム研究会」を発足。これまで病院が個々に行ってきた医療ツーリズムの受け入れを行政も一体となって推進していこうという動きが始まった。東京や大阪に比べて観光スポットが少なく知名度も劣るが、ワンストップで健診から治療までを行えることをウリに、「医療ツーリズム先進県」として誘致を進める。 

また、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指す大阪では、IR開発構想に参画を企てる米国の大手事業者2社が、共に関西の医療施設と連携した医療ツーリズムを展開する意向を示している。また南海電気鉄道は、南海難波駅の隣接地に建設中の複合ビルに、がん診断の最先端機器を備えたクリニックを開設し、インバウンドを誘致する計画を進めるなど、医療ツーリズムに向けた動きが活発化している。

(やまとごころ編集部)

 

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