インバウンドニュース

2025年のジャパントラベルアワード発表、持続可能性や地域貢献度が評価された「酒蔵ホテル」がグランプリ

印刷用ページを表示する


観光から社会を良くすることを目的とし、株式会社しいたけクリエイティブが2021年に発足した「JAPAN TRAVEL AWARDS(ジャパントラベルアワード)」の2025年版が発表された。2025年に訪れるべき「感動地」として、地域や企業に対しグランプリを始め、さまざまな部門別の受賞者が発表されている。

4回目を迎えた今回は、過去最多となる196件のエントリーがあり、多様性、公平性、包括性、サステナビリティ、インバウンドへの取り組みなどを審査。16の地域や企業がファイナリストに選ばれたのち、審査員による現地審査を経て、11部門の受賞者が決定した。以下でそれぞれの受賞施設、サービスとその理由を紹介する。

グランプリ:「酒蔵ホテル® KURABITO STAY」(長野県佐久市)

300年の歴史を持つ地元酒蔵と連携し、宿泊客が実際に酒造りを体験できる点が大きな魅力。また、女性が働きやすい持続可能な環境づくりにも注力しており、地域経済への貢献度も高く評価された。審査員からは、ソーシャルメディアやWebサイトにおける英語情報のレベルの高さが高評価だった。

アクセシブル部門:「wildwater」(滋賀県大津市)

琵琶湖で唯一のバリアフリーアウトドア体験を提供する「wildwater」。元消防士の熱い想いが形となった同サービスは、障害のある子どもたちにも自然の魅力を満喫できるよう、さまざまな工夫を凝らしており、まだ発展途上ながらも、その情熱と創意工夫が評価された。

LGBTQ+部門:「エースホテル京都」(京都府京都市)

エースホテルは、1999年にシアトルで誕生し、主にアメリカやヨーロッパで展開するホテルチェーン。エースホテル京都は、2020年6月にアジア初の拠点として開業した。同ホテルは、LGBTQ+コミュニティを支援するイベント開催や、スタッフのレインボーバッジ着用など、多様なゲストへの配慮が高く評価された。また、バリアフリー客室の設置などアクセシビリティにも力を入れており、多様なゲストを高いレベルで受け入れる姿勢も評価につながっている。

サステナブル部門:「AiAii」(兵庫県洲本市)

日本人とイギリス人の夫婦が経営する天然藍染め工房「AiAii」では、古くなった洋服を藍染めすることでアップサイクルを体験できる。藍を自社農園で栽培するなど、環境への配慮も徹底。さらに、子どもや障害者も楽しめるよう工房が設計されている点も高く評価された。

インバウンド部門:「SAMURAI TRIP」(東京都大田区)

剣道未経験者でも楽しめるよう工夫されている点はもちろんながら、単なる体験型ツアーではなく、本格的な稽古に近い感覚を味わえる点が魅力。さらに、剣道具職人との連携など、武道文化の持続可能性にも配慮した取り組みが評価された。

ファミリー部門:「伊賀の里モクモク手づくりファーム」(三重県伊賀市)

農業や畜産、宿泊など、家族で楽しめる農業テーマパーク。早朝の乳搾り体験やウインナー作りなど、食育を重視した体験プログラムが充実している点が評価された。また、8棟あるキッズコテージには、子どもたちが持続可能性を遊びながら学べる工夫が凝らされている。

観光開発部門:「HAKKO HOUSE Nagaoka」(新潟県長岡市)

雪国の暮らしに根付いた発酵文化を、宿泊と食事を通して体験できるユニークな施設。地元のシェフが運営し、地元企業や農家と連携することで、地域特有の食文化を観光資源として活用している点が評価された。

ソーシャルインパクト部門:「ume,yamazoe」(奈良県山添村)

美しい山里の風景の中で、食やサウナを満喫できる宿。注目すべきは、障害や病気を持つ人とその家族を無料招待する「HAJIMARI」プロジェクトだ。毎年12組の家族に、特別な時間を提供している。さらに、この取り組みを全国に広げ、多くの宿泊施設が参加するムーブメントを起こしている点が高く評価された。

宿泊施設部門:「箱根本箱」(神奈川県箱根町)

図書館と一体化したユニークなホテルで、出版業界の再興という理念を掲げている。地元住民のための本屋としての役割も担い、地域に密着した運営を行っている点が特徴。旧東海道をテーマにした料理体験も提供しており、地元の食材や歴史に触れられる。さらに、子ども向けにキッズデーを設けるなど、地域貢献にも積極的に取り組んでいる。

文化部門:「TEMPLESTAY ZENSŌ」(群馬県千代田町)

ホスピタリティ業界での経験を持つ僧侶が始めた、町内唯一の宿泊施設。伝統的な宿坊の雰囲気を残しつつ、現代的な快適さを兼ね備えている点が評価された。宿泊客が僧侶と一対一で対話でき、仏教への理解を深められるというユニークな体験を提供している。

ラグジュアリー体験部門:「ツリーフルツリーハウス サステイナブルリゾート」(沖縄県名護市)

大自然の中に佇むツリーハウスで、非日常的な滞在を楽しめる施設。モダンな建築と設備、地元食材を使った料理、そして持続可能な取り組みが評価された。大人たちが自然の中でリラックスし、遊び心を取り戻せる、まさにラグジュアリーな体験を提供している。

 

関連インバウンドニュース