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UNWTO、一部の国・地域に対する包括的渡航制限に反対を表明を選択

2021.12.13

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国連世界観光機関(UNWTO)はこのほど、新型コロナウイルス感染症オミクロン株の感染拡大が報じられて以降、一部の国地域における包括的な渡航制限などが導入されている事に反対を表明した。これは、11月30日から12月3日までの日程で行われた第24回UNWTO総会でUNWTO加盟国が提起した懸念を反映したもので、世界のすべての地域の国々は南部アフリカ諸国への連帯を表明し、特定の国に課せられた渡航禁止措置を直ちに解除し国際旅行の自由を維持するよう求めている。

昨今、国連事務総長と世界保健機関(WHO)事務局長は、南部アフリカ諸国に対する包括的渡航禁止措置が差別的で、効果が低いと考えられると発表している。これを受けて、UNWTOは各国に対し、包括的な渡航制限を課すことはWHOの勧告に反すると改めて指摘。また、包括的な制限は、国や地域全体に汚名を着せることにもなりかねないとしている。

UNWTO総会では、渡航制限は状況の変化に対応した最後の手段としてのみ実施すべきであるというWHOの助言を支持し、また、渡航制限を導入する際には、比例性、透明性、科学的根拠などが必要であることを強調した。海外への渡航制限が、発展途上国や、観光に依存している個人など、最も脆弱な人々にとってどのような意味を持つのかを十分に考慮した上で制限を導入する必要があるとしている。

COVID-19の流行が始まって以来、UNWTOは、公衆衛生上の懸念と観光のバランスをとるため、協調的で証拠に基づくアプローチを求めてきた。ここ数カ月間で、そのようなアプローチが最も効果的な方法であることが分かってきている。

さらに、ワクチン接種率が低い国地域で新しい変異株の出現が高い傾向がみられることから、渡航とワクチン接種率が密接に関係していることも指摘している。そのため、UNWTOはすべての国が連帯し、すべての人がワクチンを公平に接種できる機会を確保し、国際旅行の目的でWHOが承認したすべてのワクチンを認め、ワクチンの現地生産のための特許へのアクセスを容易にすることを呼びかけている。

 

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