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2021年旅行業の倒産 2年連続増加 コロナ禍起因が8割

2022.01.14

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東京商工リサーチによると、2021年に、負債1000万円以上で倒産した旅行業は、前年比19.2%増の31件となり、2年連続で増加した。2014年の37件以来、7年ぶりに30件を超えた。一方、負債総額は、前年比85.5%減の43億2300万円となり、2年ぶりに前年を下回った。前年は2020年6月に民事再生法の適用を申請した(株)ホワイト・ベアーファミリー(大阪府、負債278億円)の大型倒産が発生したが、2021年は、4月に破産したハートフルインターナショナル(株)の9億5000万円にとどまったことも影響している。

原因別では、最多は「販売不振」の25件(前年比19.0%増)で、旅行業倒産の8割を占めた。コロナ禍による業況悪化を反映している。このほか、「他社倒産の余波」と「既往のシワ寄せ」が各2件、「事業上の失敗」と「運転資金の欠乏」が各1件。 『不況型倒産』(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は27件にのぼり、旅行業倒産の約9割を占めた。コロナ禍の渡航制限で壊滅的な打撃を受け、再開のめどが立たない海外旅行に特化した旅行業者の倒産が散発した。

従業員数別では、5人未満が24件(前年比33.3%増)で最多。旅行業倒産の約8割(構成比77.4%)を占めた。そのほか、10人以上20人未満が5件(前年ゼロ)、5人以上10人未満(同6件)と20人以上50人未満(前年同数)が各1件。前年に1件発生した50人以上の規模の倒産は、発生がなかった。

地区別では、全国9地区すべて(前年7地区)で発生しており、最多は関東12件(同9件)で、旅行業倒産の約4割(構成比38.7%)を占めた。そのうち、東京都が10件(前年6件)だった。このほか、九州5件(同3件)、近畿4件(同7件)、東北(同1件)と中部(同3件)、北陸(同1件)、中国(同2件)が各2件、北海道(同ゼロ)と四国(同ゼロ)が各1件だった。

度重なる緊急事態宣言等の発令で人流が抑制され、出入国制限により海外旅行とインバウンド需要が落ち込んだ。旅行業界は、2年にわたる新型コロナウイルス感染拡大の影響が深刻だ。

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