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歴史的建築物を観光資源として活用、名建築とアートのコラボ「マツモト建築芸術祭」 民間主導で開催

2022.02.10

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2022年1月29日より2月20日まで、長野県松本市で「マツモト建築芸術祭」が開催されている。市内に残る歴史的意味合いを持つ建築物にアート作品を展示することで放たれる新たな魅力が注目のイベントだ。

松本城の城下町として栄え、戦災を逃れたことから松本の街には数々の名建築が残る。しかし、国宝の指定を受けた旧開智学校などを除いて、近年こうした歴史的建築物のほとんどは、老朽化が進んだり、相続問題などで取り壊され駐車場などになってしまっていた。

そんな現状を目の当たりにして、今も残る建築物を観光資源として活用できないかと、長野県松本市出身で温泉旅館「扉温泉明神館」などを経営する扉ホールディングス株式会社代表取締役の齊藤忠政氏が発起人となって開催されたのが「マツモト建築芸術祭」だ。

会場は、松本城から約800m以内という中心地に点在する20カ所。たとえば旧開智学校、アルモニービアン(旧第一勧業銀行松本支店)といった著名建築物と並んで、昭和の雰囲気を残すコーヒーラウンジ紫陽花を飾るのは個性的な中島崇のインスタレーション作品だ。広告写真で著名な白鳥真太郎は、実家だった白鳥写真館の屋外に代表作を展示。また、明治創業で昭和初期に建築された旧宮島肉店や大正からの映画館で昭和に改築された上土シネマなど、今は使われなくなってしまった民間建築が、アート作品を飾ることで、あらたな魅力や価値を見せている。

▲(左:ヒカリヤ ニシの前で齊藤忠政氏 右:旧宮島肉店)

開催にあたっては、資金面では観光庁「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の助成を利用し、アート面では旧知のグラフィックデザイナーおおうちおさむ氏を総合ディレクターに迎えた。また「ボランティアで松本の建築物の歴史を長年調べていた人のリストを元に会場を選び、一つ一つ交渉をしてプロジェクトを進めた」という。

斎藤氏は「このイベントプロジェクトには、ボランティアも参画してもらい、建築物が取り壊されて空洞化していく自分たちの地域をどうにかしようという気持ちを松本の人が共有できる機会になった。会場の中には飲食店や宿泊施設もあるし、外から人が訪れマスコミにも取り上げられたことで、廃墟になっていた建物をオフィスに使いたいなど新たな需要も生まれた」と語る。

それぞれの会場が新たな個性を持つきっかけともなった「マツモト建築芸術祭」。会期中にはアーティストによるトークセッションやライブパフォーマンスも開催され、さらなる注目を集めそうだ。

会期:2022年2月20日(日)まで

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