インバウンドニュース
2022年度日本の訪日施策JNTOが発表、インバウンド回復に向けサステナブル/アドベンチャートラベル強化
2022.04.19
JNTOが日本のインバウンド施策に関する「2022年度の主な取り組み」を4月15日、策定した。
新型コロナウィルス感染症の状況や、それに伴う出入国規制や他国における観光客受け入れ再開の動向、コロナ禍を経て変化する旅行者の意識などを踏まえ、インバウンドの回復に向けた強化対策が述べられた。旅行消費額増に向けた「高付加価値旅行」、SDGsや旅行者のニーズに即した「サステナブルツーリズム」「アドベンチャートラベル」の3つが特に重点項目として挙げられている。
2022年度は、上記の3つの重点項目を含む6つの取り組みが挙げられている。具体的な内容は次の通り。
1)出入国規制の動向を踏まえた機動的なプロモーションの実施
世界各国の観光客受け入れ再開に応じた訪日旅行のデジタルプロモーションを継続して行なう。また、訪日航空路線の誘客回復への後押しや、日本への旅行者に対する実用的なコロナ禍の情報を特設ページで提供していく。
2)旅行消費額増に資する「高付加価値旅行」の推進
高付加価値のある観光を通した経済活性化を目指す。海外またはJNTO主催の富裕旅行商談会を通じたネットワークや観光コンテンツの強化を図り、旅行消費額の増加を推進していく。また、富裕層向けコンテンツを持つ国内プレーヤーのネットワーク化も行っていく。魅力あるテーマ性がある旅行コンテンツを、海外エージェントへ向けたニュースレターなどで発信し、InstagramやFacebookでの情報発信なども、コンソーシアム等と連携して行っていく。
3)SDGsへの意識や旅行者ニーズの高まりを踏まえたサステナブル・アドベンチャーツーリズム推進
1.サステナブル・ツーリズムの推進
サステナブル・ツーリズムとは、国連世界観光機関の定義によると、訪問客、産業、環境、受け入れ環境の需要に適合しつつ、現在と未来の「環境」「社会文化」「経済」への影響に十分配慮した観光のことをいう。
昨今、意識が高まる持続可能な開発目標(SDGs)への取組を強化していく。環境に配慮しつつ、旅行による地域の活性化に繋がる持続的な観光を目指すサステナブル・ツーリズムを推進、SDGsを体現する日本の観光コンテンツを積極的に海外発信する。
具体的なコンテンツ例としては、売上の一部を地域に寄付する山形県の「山伏修行体験」や、世界の持続可能な観光地100選に選ばれた岐阜県「白川郷」、地元農家と野鳥のの共生に向けた活動を行う「金武町やんばるバードウォッチング」などが挙げられている。
2.アドベンチャートラベルの推進
アドベンチャートラベルとは、アドベンチャートラベルの国際組織ATTAによる定義で「アクティビティ・自然・文化体験」の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行をいう。このジャンルは一人当たりの消費額が高く、欧米の市場規模は約72兆円(2017年)にもなる。北米からの旅行者で一人あたり着地で36万円と、地域への還元・雇用効果が高いのが特徴だ。
コロナ禍で高まったアドベンチャートラベルのニーズを受け、また2023年に北海道での開催が決定した「ATWS(アドベンチャーワールドサミット)2023 北海道」も踏まえ、日本全国の魅力あるコンテンツの発信を強化していく。取組としては、国際的な商談会への参加を通じ、北米・欧州のAT専門旅行会社やメディアとの関係強化を図る。また、地方運輸局や地方自治体・DMO等と連携し、JNTOウェブサイトのAT特設ページを拡充する。
具体的なコンテンツ例としては、長野県「長野の古道を巡る旅」や、鹿児島県「世界自然遺産の屋久島で黒見岳登山とリバーアクティビティ」などがある。
4)国内外メディアとの関係強化
JNTOのウェブサイトやSNSなどの自保有メディアや広告だけでなく、東京オリパラでの事業をレガシーとして継続させ、国内外メディアへの情報発信を強化していく。その一環として、在日本の海外向けメディアと連携拡大を推進する。また、認知度向上を図るため、メディア向けニュースレター等で新規の開業施設やイベントなど、最新情報を提供していく。
5)国内のインバウンド関係者との連携強化
地方の誘客促進を狙い、地域からの良質な観光コンテンツを海外向けの情報として発信。また、地方の観光コンテンツやプロモーションの高感度を促進し、地域へのコンサルティングや、海外の市場動向などの情報提供も実施する。
6)MICE国際団体と連携した国際会議の誘致強化
国際会議運営の専門会社などが加盟する国際PCO協会とのパートナーシップを2021年8月に締結したこともあり、これからより一層、国際会議開催地としての魅力発信、誘致活動を展開する。海外向けの取り組みとしては、国際会議の開催地選定に影響力のある国際PCO協会中心メンバーとのネットワーク構築やセールス強化など。国内向けでは、国内のMICE関係者に向けた、国際PCO幹部による研修実施などを予定している。
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