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2023年の旅行動向、訪日外国人2019年比6割の2110万人と予測。コロナ禍も日本人気根強く —JTB

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JTBが2023年の旅行動向見通しを発表した。3年ぶりに海外旅行と訪日外国人旅行の見通しも発表され、2023年の訪日外国人客数を、2110万人(2019年比66.2%、前年比550.6%)と推計した。

2022年10月11日から、1日あたりの新規入国者数の上限撤廃、入国時の条件の緩和、訪日外国人観光客の個人旅行の解禁など、日本入国の水際対策が緩和され、日本人の海外旅行と外国人の訪日旅行が容易になった。

ただし、世界の物価上昇の加速化に円安が重なり、航空券の燃油サーチャージの上昇に伴う旅行費用も高騰していることや、ウクライナ情勢をはじめとする不安定な国際情勢も影響し、現在、日本人の海外旅行数の回復は緩慢だという。

一方、訪日旅行は、それとは対照的に、円安を背景に現段階では急速に回復しているという。10月単月の訪日外客数は49万8646人と前月の倍以上になり、日本人の出国者数と逆転した。12月の速報値は137万人で、コロナ禍前の2019年同月比で54.2%にまで回復した。2022年の国・地域別の年間の訪日外客数は、最も人数の多い国や地域から順番に、韓国(101万2700人、2019年比18.1%)、台湾(33万1100人、同6.8%)、アメリカ(32万3500人、同18.8%)となっている。なお、中国は2022年までゼロコロナ政策を続けており、旅行ビザ発給再開もしていなかったため、18万9000人に留まっている。

旅行先としての日本の人気はコロナ禍の間も根強いとしている。その根拠として、2022年2月に株式会社日本政策投資銀行・公益財団法人日本交通公社が発表した調査によると、アジア居住者・欧米居住者共に「次に海外旅行に行きたい国・地域」は日本が1位となったことを挙げた。また2021年に海外の著名な旅行情報誌「ロンリープラネット」のおすすめの旅行先の地域編に6位に選出された四国や、2022年11月に愛知県の愛・地球博公園跡に開業した「ジブリパーク」、2023年1月にニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52カ所」に選ばれた岩手県盛岡市は、訪日旅行者にとっては新しい魅力的な場所として反響がありそうだと予測する。

旅行者の回復に伴い、課題も浮き彫りになっており、その1つが観光業界を支える人材の不足だと指摘する。日銀が発表している雇用人員判断(日銀短観、四半期別)によると、「宿泊・飲食サービス」は21年10-12月期以降人員不足が続いている。今後急速に訪日需要回復が進むと、人手不足が一層進むことが懸念されるとしている。

 

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