インバウンドニュース
訪日中国人のSNS投稿分析、多様なコンテンツ揃う主要都市から回復、地方は来年夏から本格化か
2023.08.15
中国向け訪日インバウンドを支援する(株)ENJOY JAPANが8月9日、メジャー観光情報源として中国で活用されているSNS「RED(小紅書)」の投稿データ分析を行い、その結果を発表した。
調査は、6月30日から7月8日までの新規投稿記事に対して『日本旅行』『日本旅遊』のキーワードで抽出し、そこから行動内容を特定できるキーワードを抽出して解析した。
2023年6月にコロナ後初めて、単月で訪日外国人旅行者数200万人を達成した日本。中国からの訪日客数は20万8500人と、2019年同月比で3割弱にとどまっているが、中国と日本を結ぶ航空路線が今年6月に増便が本格化したことから、今夏には30万人以上の訪日が見込まれている。SNS「RED(小紅書)」のデータ解析結果から、中国からの日本の話題の場所や旅行内容など、最新の観光訴求傾向を見ていく。
現在話題になっている都道府県をランキングにすると、トップから東京、大阪、京都の順になった。これは定番の人気エリアを久しぶりに再訪したいという心理の表れと言え、地方の本格的な回復は順次始まり、来年夏あたりから回復が期待できるとみている。投稿内容からは「食・買い物・宿泊体験・アクティビティ」という4大要素が全て楽しめる場所への期待が高まっていることが分かる。大都市ではこれらの要素の総合力が高いことが上位にランクインしている要因と考えられる。東京を例にとると「衣・食・住・場(アクティビティ)」の4大要素がバランスよく投稿されているのが特徴で、目的地として選択される理由だと思われる。
ランキング外の長野県、熊本県、長崎県などを例にとると、投稿内容に偏りがあり「場(アクティビティ)」に集中していることが判明。「食」も各県、5%〜12.5%のシェアはあるものの「住」では熊本県が5%以下、「衣」は3県とも皆無となった。訪日中国人を誘客するには、アクティビティ以外の魅力も積極的に発信する必要があると言えそうだ。そのためには買い物の魅力や立地のよい宿泊施設、名産品を味わえる機会など、地方自治体と民間が連携して複合的な魅力訴求を強化することが、直近の課題と言える。
地方でも、既知の観光名所をうまく利用すれば効果的な誘致ができるだろう。例えば、ランキングトップ10に入っている山梨県では、全ての「RED(小紅書)」に投稿されたキーワードが「河口湖」「忍野八海」であったことが判明。スポット名で認知を促すプロモーションを行うことが有効だと考えられる。また山梨県は東京と近いため、観光前後の買い物は東京というルートが出来上がっている。この構造を理解し、地方であっても隣接エリアとのスムーズな複合型観光ルートを築き、住・食・衣の訴求を行えば更なる誘客の可能性が広がっている。
中国人観光客には食と地名の繋がりを訴求することも有効で、「神戸牛」「夕張メロン」などのように地名(漢字)+商品カテゴリーという組み合わせで名産品をアピールすると、SNS上で拡散が期待できるとみている。
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