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2022年の日本人の海外旅行実態調査、海外に比べて回復に後れ。円安や旅行費用の高騰が影響

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株式会社 JTBが、2022年の日本人海外旅行者の実態と今後の展望をまとめたレポート「JTB海外旅行レポート2023 日本市場における海外旅行のすべて」を発行した。このレポートは1988年から毎年発行され、36回目となる今年は、コロナ禍で中止していた「海外旅行実態調査」と「海外旅行志向調査」を再開。日本人旅行者の間で海外旅行の需要が回復しつつある現状が述べられている。

2021年は各国・地域の新型コロナウイルス感染拡大防止のための水際対策が最も厳しかった年。それに比べ、2022年の年間海外旅行者数は大幅に増加し、日本人海外旅行者数は277万人となった。とはいえ、海外旅行者数が初めて年間2000万人を超えた2019年と比べると13.8%に留まっている。世界各国・地域それぞれの海外旅行者数が、2019年同月から1割を超えた月を1カ月目とし、それ以降の推移を日本の同推移と比較したところ(下図参照)、主要6カ国、地域においては6割以上の回復を見せているものの、日本は5割にも満たず、諸外国に比べると回復が遅れていることが分かる。

同社が行った日本人旅行者への海外旅行実態調査アンケートでは、2022年に海外旅行をした旅行者の平均旅行費用が2019年以前と比べ、大幅に上がっている。円安や旅行先の物価の上昇などが要因で、それらが旅行需要の冷え込みに繋がっていることが考えられる。旅のプランにも影響を与えており、旅行費用の高騰からプラン変更をした海外旅行者が約4割いることが分かった。変更内容をみると、行きたい旅行先を優先し、その代わりに日程を変更したり、宿泊先を安く抑える努力をするといった動きがみられた。

アメリカ同時多発テロやSARSなどの影響で、旅行需要が落ち込んだ後の回復時期においては、海外旅行に慣れた旅行者が先陣を切る形で渡航再開する傾向があった。コロナ禍のケースも同様で、水際対策の緩和を経た2022年以降、旅慣れた旅行者による旅行の割合が次第に増えている。

旅行者の経験値別に2019年と2022年の旅行意欲を比べてみたところ、「予定はないが是非行きたい」が34.1%から44.2%と増加しているのは海外旅行経験10回以上の旅行者で、需要回復のきっかけとなることが期待される。また、この調査で「絶対行きたくない」「あまり行きたくない」とした人の割合は2019年とさほど変わらず、全体的な旅行意欲の低下はみられない。今後の需要回復には、コロナ禍により変わった旅行者の価値観を把握し、渡航に繋げることが重要だとしている。

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