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2024年企業の雇用調査、宿泊業界インバウンド好調で正社員採用は8割。非正社員飲食店やホテルで高く

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2023年の平均有効求人倍率は、2年連続で上昇し、前年比1.31倍、0.03ポイント増となった。原材料価格の高騰の影響などもあり、コロナ前の2019年(1.60倍)の水準まで戻ってはいないものの、大きな落ち込みもなく推移している。コロナ禍で滞っていた社会・経済活動が復活したため、順調に推移している。

そうした状況のなか、2024年度の雇用に関する企業の意識調査を帝国データバンクが発表した。2005年より毎年実施しており、20回目となる今回は、全国2万7443社を対象に2月15〜19日に行った。有効回答企業数は1万1267社で回答率は41.1%となった。

調査によると、正社員の採用予定がある企業は61.5%。3年連続で6割超えとなったものの、その割合は3年ぶりに低下している。

規模別の内訳は「大企業」が84.9%、「中小企業」57.5%、「小規模企業」39.9%と、全体平均に対して大企業が全体を上回っている。業界別では「運輸・倉庫」が69.7%で最も高い。さらに細かく業種別に見ると「旅館・ホテル」が8割で、トップとなった。コロナが落ち着き人流が活発化、インバウンドも好調なことから、特に人手不足が深刻な課題となっている。他は「医療・福祉・保健衛生」や「人材派遣・紹介」が8割近くとなり、「2024年問題」懸念の影響が伺える結果となった。

非正社員の採用予定がある企業は45.9%だった。2021年度の36.8%、2022年度46.3%、23年度47.3%となっており、需要の回復が後押しし、上向きではあるものの、正社員と同じく3年ぶりに低下した。また「採用予定はない」とした企業は2年ぶりに4割を超えた。しかし飲食店やホテルなどの「個人消費関連」の業種では、非正社員の採用予定が88.1%(飲食店)、84.2%(ホテル)と高い割合だった。特に「飲食店」では「採用人数が増加する(見込み含む)」が全体(11.9%)を26.6ポイント上回る38.5%となった。外国人旅行者や国内旅行者などによる需要に対応するべく、採用を強化しているようだ。「採用予定がある人材」に付いて聞くと、4割近くが「女性」「外国人」といった人材による強化を考えていることがわかった。

人手不足の企業は2024年2月の時点で「正社員」が18カ月連続で5割、非正社員は3割となり、高く推移している。物価の上昇での経営状態の悪化、賃上げ実施による採用手控えなど、特に中小企業においては意向があっても実際的な採用が厳しくなっているのが実情だ。

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