インバウンドニュース
円高が訪日需要に与える影響調査、4人に1人が「旅行をためらう」と回答。消費動向に与える影響は?
2025.03.04
やまとごころ編集部円安の影響もあり拡大する訪日インバウンド市場だが、今後、円高になる可能性も指摘されている。これを受け、訪日客にショッピングサポートアプリを提供する株式会社ペイクが、訪日意向のある外国人に「日本の円相場が訪日旅行に与える影響」のアンケートを実施し、結果を発表した。日本政府観光局によると2024年の累計訪日客数は3686万人、消費額は8.1兆円と、どちらも過去最高となったが、今後の金融市場の動きにより大きく変わる可能性もある。
調査は、繁体字・韓国語・英語を使用するアプリユーザーを対象に2週間行われ、4210人の回答を得た。なお、このアンケート回答者の94.8%は訪日経験があり、うち87.0%は1年以内の訪日経験者となっている。今回の回答結果とグラフは言語により通貨基準を変更し、ドル換算レートで示されている。
円高でも旅行する? 訪日客の消費行動と為替レートの関係
まず、「日本旅行をする判断に、為替相場はどの程度影響するか」と聞くと、「円高でも旅行する」が25%、「円高でも旅行するが、滞在中の消費を抑える」が49%、「円高だと旅行をためらう可能性あり」は25.5%となった。
「円高だと旅行をためらう可能性あり」と回答した25.5%に「訪日旅行を延期または中止する円のレート相場は」と質問すると、1ドル160円では10%、140円では45%、130円では65%という結果になった。1ドル160円から140円になった場合、回答者全体の10%が訪日旅行をすることをためらい、訪日客数が9.1%減少することが推計される。
「円高でも旅行するが、滞在中の消費を抑える」と回答した49%に、消費を抑える項目について質問すると(複数回答)、「時計、衣類・靴・かばん・革製品・財布、宝石に関しての買物費用」が最も多く37.3%だった。次いで「宿泊するホテルのグレードや部屋のグレードを落とすなどして、ホテルの利用費用を抑える」(32.7%)、「タクシーの利用をせずに徒歩やバスや電車に切り替えたり、新幹線の座席のグレードを落とすなどして移動費用を抑える」(26.0%)と続いた。
なお、「円安の際に、より積極的にお金を使いたい項目」についての質問(複数回答)では、「食事の費用」が38.0%でトップ。他には「医薬品・化粧品・香水・健康グッズに関しての買物費用」(35.7%)、「時計、衣類・靴・かばん・革製品・財布、宝石に関しての買物費用」(35.7%)などが挙がった。
円高でも訪日客数は増える?
また、為替相場による影響の大きさは、年代や性別によって異なることが調査で明らかになった。男性は「為替によって旅行をためらわない」層が多い一方、女性は「為替が消費行動や旅行に影響する」層が多い傾向が見られる。特に10代から40代では、この男女間の差が顕著となった。
今後の為替相場の動きは予測できないものの、コロナ禍の2年間を除く2012年〜2024年の10年間での訪日客数の平均成長率は13.3%のため、現状から一定水準の円高ではインパクトは限定的であるとした。ペイクでは、為替相場の影響から変化する訪日客数と消費額の2025年の増減見通しを、次のように予測。年間1ドル140円で推移したとしても、訪日旅行者数は2024年比で8.2%増、消費額は2024年比で0.5%増となる可能性があるとした。
年間1ドル150円のレートで推移した場合
訪日客数4,220万人(対昨年比+14.4%、対19年比+32,3%)
消費額9兆3893億円(対昨年比+15.3%、対19年比95.0%)
年間1ドル140円のレートで推移した場合
訪日客数3,992万人(対昨年比+8.2%、対19年比+25.2%)
消費額8兆1832億円(対昨年比+0.5%、対19年比+70.0%)
訪日客数や消費額は、世界的な景気や旅客便の増減、災害など、為替のみならず様々な要因が影響するため、総合的な判断が求められるとしている。
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