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円高が訪日需要に与える影響調査、4人に1人が「旅行をためらう」と回答。消費動向に与える影響は?

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円安の影響もあり拡大する訪日インバウンド市場だが、今後、円高になる可能性も指摘されている。これを受け、訪日客にショッピングサポートアプリを提供する株式会社ペイクが、訪日意向のある外国人に「日本の円相場が訪日旅行に与える影響」のアンケートを実施し、結果を発表した。日本政府観光局によると2024年の累計訪日客数は3686万人、消費額は8.1兆円と、どちらも過去最高となったが、今後の金融市場の動きにより大きく変わる可能性もある。

調査は、繁体字・韓国語・英語を使用するアプリユーザーを対象に2週間行われ、4210人の回答を得た。なお、このアンケート回答者の94.8%は訪日経験があり、うち87.0%は1年以内の訪日経験者となっている。今回の回答結果とグラフは言語により通貨基準を変更し、ドル換算レートで示されている。

円高でも旅行する? 訪日客の消費行動と為替レートの関係

まず、「日本旅行をする判断に、為替相場はどの程度影響するか」と聞くと、「円高でも旅行する」が25%、「円高でも旅行するが、滞在中の消費を抑える」が49%、「円高だと旅行をためらう可能性あり」は25.5%となった。

「円高だと旅行をためらう可能性あり」と回答した25.5%に「訪日旅行を延期または中止する円のレート相場は」と質問すると、1ドル160円では10%、140円では45%、130円では65%という結果になった。1ドル160円から140円になった場合、回答者全体の10%が訪日旅行をすることをためらい、訪日客数が9.1%減少することが推計される。

「円高でも旅行するが、滞在中の消費を抑える」と回答した49%に、消費を抑える項目について質問すると(複数回答)、「時計、衣類・靴・かばん・革製品・財布、宝石に関しての買物費用」が最も多く37.3%だった。次いで「宿泊するホテルのグレードや部屋のグレードを落とすなどして、ホテルの利用費用を抑える」(32.7%)、「タクシーの利用をせずに徒歩やバスや電車に切り替えたり、新幹線の座席のグレードを落とすなどして移動費用を抑える」(26.0%)と続いた。

なお、「円安の際に、より積極的にお金を使いたい項目」についての質問(複数回答)では、「食事の費用」が38.0%でトップ。他には「医薬品・化粧品・香水・健康グッズに関しての買物費用」(35.7%)、「時計、衣類・靴・かばん・革製品・財布、宝石に関しての買物費用」(35.7%)などが挙がった。

 

円高でも訪日客数は増える?

また、為替相場による影響の大きさは、年代や性別によって異なることが調査で明らかになった。男性は「為替によって旅行をためらわない」層が多い一方、女性は「為替が消費行動や旅行に影響する」層が多い傾向が見られる。特に10代から40代では、この男女間の差が顕著となった。

今後の為替相場の動きは予測できないものの、コロナ禍の2年間を除く2012年〜2024年の10年間での訪日客数の平均成長率は13.3%のため、現状から一定水準の円高ではインパクトは限定的であるとした。ペイクでは、為替相場の影響から変化する訪日客数と消費額の2025年の増減見通しを、次のように予測。年間1ドル140円で推移したとしても、訪日旅行者数は2024年比で8.2%増、消費額は2024年比で0.5%増となる可能性があるとした。

年間1ドル150円のレートで推移した場合
訪日客数4,220万人(対昨年比+14.4%、対19年比+32,3%)
消費額9兆3893億円(対昨年比+15.3%、対19年比95.0%)

年間1ドル140円のレートで推移した場合
訪日客数3,992万人(対昨年比+8.2%、対19年比+25.2%)
消費額8兆1832億円(対昨年比+0.5%、対19年比+70.0%)

訪日客数や消費額は、世界的な景気や旅客便の増減、災害など、為替のみならず様々な要因が影響するため、総合的な判断が求められるとしている。

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