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世界で190兆円超規模のスポーツツーリズム、平均支出は23万円

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エクスペディアグループは、スポーツツーリズムが世界中で大きな成果を上げているとする最新調査結果を発表した。スポーツイベントのために海外旅行をするファンが増加しており、地域経済にも大きな波及効果をもたらしていることが明らかとなった。本調査は、英国の調査会社Censuswide社が、過去12か月間にオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、メキシコ、米国、英国でスポーツイベントのために旅行した2,000人を対象に行われた。

 

世界のスポーツツーリズム市場、2032年には196兆円へ

スポーツツーリズムは、現在、世界の観光支出の約10%を占めており、2032年には市場規模が1兆3000億ドル(約196兆円)に達すると予測されている。今後、2026年のFIFAワールドカップ、イタリア・ロサンゼルスでのオリンピック開催などを控え、さらに勢いを増すと見られる。

 

スポーツイベント参加者の4割超が海外へ、若年層ほど積極的

調査によると、直近のスポーツイベントで海外旅行をした人は44%にのぼった。特に16~34歳では56%と高く、若年層の間でスポーツ観戦と海外旅行を組み合わせる傾向が強いことが明らかになった。特に、カナダ(62%)、ドイツ(58%)、フランス(57%)などでは、さらに高い海外旅行率が見られた。

 

女子スポーツ観戦が増加、若い世代が牽引

伝統的に人気が高いサッカーに加え、女子スポーツ観戦も増加傾向にある。調査では、71%が男子スポーツを観戦したと回答した一方、16~34歳では24%が男女混合のスポーツイベント、12%が女子スポーツイベントを観戦したと回答している。特に女子ヨーロッパ選手権やラグビーワールドカップなどが注目されており、旅行会社にとっても新たな市場開拓のチャンスとなっている。

 

旅行先は開催都市以外にも拡大、地域経済への効果も

スポーツ観戦旅行者の約60%が、イベント開催地以外にも滞在している。約30%の旅行者が近隣の有名な観光地を訪問し、20%はイベント会場から1時間以上離れた場所に、さらに20%はあまり知られていない地域に足を延ばしていた。

また、宿泊を伴う旅行者の81%が他の目的地を訪れ、45%が近隣地域を探索、30%が国内移動、21%が海外旅行にも出かけており、スポーツツーリズムが広範な地域に経済効果をもたらしていることがわかる。

 

1回のスポーツ観戦旅行、平均支出は約23万円

調査によると、旅行者はスポーツ観戦旅行で、1人あたり平均1500ドル(約22万6500円)以上を支出していることが分かった。

内訳を見ると、イベントチケットに300ドル(約4万5300円)、航空券に420ドル(約6万3400円)、宿泊費に480ドル(約7万2500円)、さらに食事やショッピングなどにも370ドル(約5万5900円)を費やしていた。今後1年以内にスポーツイベント旅行を計画している回答者も、平均1,200ドル以上(約18万1200円)の予算を見込んでおり、スポーツ観戦が旅行需要を押し上げる要因になっている。

 

スポーツツーリズムは「より豊かな旅行体験」へ進化

エクスペディアグループCCO(最高商務責任者)のグレッグ・シュルツ氏は、「スポーツツーリズムは単なる試合観戦を超え、より幅広い旅行体験と地域経済活性化をもたらしている。ファンはイベントを中心に充実した旅行プランを立て、複数の目的地を訪問し、大切な人との体験を重視する傾向が強まっている」とコメントしている。

(※1ドル151円で換算)

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